■半藤一利「漱石先生ぞな、もし」2016年10月3刷文春文庫
本書、文庫の初版は、1996年3月で、さらに、単行本の初版は、
1992年5月。それが、最近、紀伊國屋書店・新宿店に行ったら、
文庫本の新刊が並んでいるコーナーに平積みされていて、思わず
手に取ってしまった。
帯には、ちゃっかり、“大反響!NHK土曜ドラマ「夏目漱石の妻」”の
文字。
新刊だけではなく、最近の紀伊国屋書店・新宿店には、既刊本の
話題に関する本も並んでいて、それが、リアル書店を利用する醍醐味。
おもわず手に取ってしまったのは、「夏目漱石の妻」は見逃したが、
文学好きの尊敬するマイミクさんたちが、盛んに、mixi日記において
「夏目漱石の妻」を誉めそやしていたのに、影響されてしまったようだ。
でも、読んで、大正解。面白くて、手に触れたのを、感謝しきり。
著者の半藤一利さんは、元文芸春秋の名編集者で、昭和史著述の
大家でもあり、2年前に、「日本のいちばん長い日」を読んで感動した
クチ。
でも、半藤さんは、もうひとつの顔があって、奥様が、夏目漱石の孫で
結果、半藤さんは、夏目漱石の義理の孫にあたるのですね。
だからか、漱石本も多く、それがまた、面白い。
さてさて、本書の周辺のことばかり書きましたが、本書でしたですね。
惹句を紹介します。
“歴史探偵の異名をとる著者にとって漱石先生は義理の祖父である。
漱石についてのよもやま話、ちょっといい話満載。”
“動乱の昭和の原点は、明治の中でも日露戦争以後十年の時代に求め
られる。その歴史の転換点を小説家として生きたのが夏目漱石であった。”
“漱石の義理の孫にあたる歴史研究家の著者が、知られざるエピソードを
発掘しながら、文豪の生きた時代と、文明批評家としての彼の側面を、
ユーモラスな語り口で綴った新田次郎文学賞受賞作。 ”
章立てと小見出しも、抜粋で紹介。
第一話 「べらんめえ」と「なもし」
・「坊ちゃん」のモデル
・落語の中の悪口雑言
第三話 ロンドンの憂鬱
・池田菊苗博士 ・
・ロンドンの古本屋
第四話 恋猫や主人は心地例ならず
・苦沙味という名
・名古屋弁の「猫」
第六話 ストレイ・シープ
・「三四郎」の食い物
・美爾子の身長
第八話 教師として師として
・一高の教室で
・神田を救った門下生
第十話 ある日の漱石山房
・箒をかついだ爺さん
・ある日の漱石山房
私は、漱石の原典は、「吾輩は猫である」と「坊ちゃん」と「こころ」しか
読んでいなかったが、一昨年思い立って、「草枕」を読んでみたが、注釈
がないと、正直、読めなかった。
明治の漱石も、現代日本人には、ちと読みにくくなっているが、それでも
というか、だからというか、漱石に関する本やドラマが、今でも盛んに出される
のは、漱石は、いよいよ、国民文学のレジェンドになりつつあるかも。
凝りもせずに、また、最近、「三四郎」を買って、積読状態になっている
私めであります(^^♪(汗)
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