mixiユーザー(id:12784286)

2016年09月25日20:59

499 view

【音楽】 オーケストラ・ナデージダ演奏会@船堀

久しぶりに太陽が出て、気温も上がった日曜日。昨日に続けて、今日もコンサートに行った。オーケストラ・ナデージダの第15回演奏会である。

京王稲田堤から船堀まで約1時間。今日は東京都内だが、東の端の江戸川区で、気分的な距離感は昨日のつくばとあまり変わりないように感じたのは気のせいか。船堀駅前にある高いタワーが目印だが、今日もタワーの展望台には行かなかった。ホールは5階である。

今日のプログラムは次のとおり。

 ・A.ルビンシテイン: ピアノ協奏曲第4番
 ・S.ラフマニノフ: ヴォカリーズ
 ・E.スヴェトラーノフ: 3つのロシアの歌
 ・A.アリャービエフ: ナイチンゲール
 ・A.グラズノフ: 交響曲第4番

    指揮:渡辺新
    ピアノ:ナターリヤ・コーリチェヴァ/ソプラノ:中村初惠
 
    会場:タワーホール船堀 (14:00 開演)


このオーケストラは、ロシア音楽を中心に(あとは北欧の作曲家の作品も)演奏するアマチュア・オーケストラである。団員にもロシア人が5人いる。いつものとおり会場にはロシア人も多い。

1曲目はルビンシテインのピアノ協奏曲第4番だ。ソリストのナターリヤ・コーリチェヴァと指揮者がステージに現れ演奏が始まる。第1楽章冒頭は木管による「不穏な序奏」だが、演奏もやや不穏な感じで少しヒヤヒヤしたが、ピアノが入ると引き締まったようで安心した。第2楽章の出だしも少し不安定なところがあったが、細かいところを気にしていたらキリがない。第3楽章になる頃にはオケもエンジン全開となったようだ。ルビンシテインのこの曲は最近まで聴いたことがなく、数週間前にようやくCDで初めて聴いたような曲だが、ピアノ協奏曲らしさを存分に楽しめる音楽であると感じた。今日の演奏も、ナターリヤのピアノがさすがの貫禄の演奏で、しっかりと曲全体を支えていたようで、良かったと思う。演奏後のナターリヤの仕草がお茶目で素敵だった。

休憩のあとは、ソプラノの中村初惠さんが指揮者とともに現れてはじまる。最初の「ヴォカリーズ」は有名な曲だが、オーケストラとソプラノによる演奏を聴くのは初めてだ。ピアノ+声、ピアノ+チェロなどの楽器の演奏とは違った雰囲気が味わえるだろうか。聴いてみると、あまりの素晴らしい歌と演奏で、完全に魅入られてしまった。中村初惠さんの歌唱を聴くのはおそらく初めてだが、久しぶりに素晴らしいソプラノを聴いたといってよい。「ヴォカリーズ、あっ、あれね、良い曲だね」という感じで気楽に構えていたら、予想を遥かに上回る素晴らしい演奏に感動してしまった。

続いては、エフゲニー・スヴェトラーノフの「3つのロシアの歌」で、「マーシャは川を渡れない」、「いちごは熟れた」、「陽気なカーチェンカ」の3曲からなる。同じ名前の指揮者がいたなと思ってしまうが、実はそのスヴェトラーノフ自身である。指揮者であるとともに作曲家として作品もかなり残している。今日はその中でも珍しい歌曲で、今回初めて聴く作品だが、3曲とも素敵な曲で、それを中村さんの素晴らしすぎる歌で、十分に堪能させてくれた。

ここで、異例の中村さんの挨拶が入った。なんと、数日前に咳喘息を患い、今日の演奏会出演も危ぶまれたらしい。しかし、会場に来る人やオケのメンバーに迷惑をかけてはいけないと養生して臨んだという。しかし、そんな心配は全く無用である。最後のアリャービエフの「ナイチンゲール」を聴いて、これはもう圧巻としかいいようがなかった。作曲家名も含めて全く初めて聴くが、高度な技巧を要する非常に難しい曲であることが分かる。どうやったら、あんな歌い方が出来るのかというようなのを、さらりと歌って、この1曲だけでも来た甲斐があったといってもいいくらいだ。素晴らし過ぎる。まさに感動の歌声である。

最後はグラズノフの交響曲第4番だ。今日の主目的はこれを聴くことだった。(しかし、この前の歌曲集ですっかり感動してしまった。) 最後はきちっと決めてくれるのが、このオーケストラである。冒頭のうっとりするようなメロディー。どこからこんな美しい旋律が生まれてくるのだろうというような、グラズノフの素敵な交響曲を、きれいに響かせて、そのままいい流れで最後までじっくりと聴かせてくれた。

今日も素敵な演奏会だった。ただ、ルビンシテインもグラズノフも楽章間に拍手が客席の一部から入るのが気になった。「ナイチンゲール」も途中でも拍手が入り、中村さんに制止されていた。演奏終了後の拍手も早過ぎる。チラシには、「江戸川区民は無料」、「65歳以上は無料」と書いてあるが、これによって、普段クラシックのコンサートにあまり行かない人々が混じっていたのではないか。音楽の流れを断ったり、余韻を破ることになるので、拍手はタイミングに気を付けてほしいものだ。

演奏は良かったし、楽しめたことは間違いないので、余計な愚痴はやめておこう。ルビンシテインもグラズノフも、チャイコフスキーやラフマニノフに比べて演奏される機会が不当に少ないが、もっと演奏されてもいいと思う。今日はそれらが聴けたという意味でも貴重な演奏会だった。
0 8

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2016年09月>
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930