トルコのクーデターも気になるところだけれど、フランスのニースで起きたテロも重大な事件である。
2015年11月にパリで起きた同時多発テロの記憶も冷めやらぬなか、再びフランスで悲劇が起きた。ニースは、地中海に面して気候も穏やか、保養地としても知られている。
もちろん、こうした地域で80名以上の死者を出したこともショックなのだけれど、それが昨年から続く「非常事態宣言」下で起きたことが意味するものはとても重い。
昨年の同時多発テロ事件以降、フランスでは国家の非常事態、緊急事態における法整備や体制づくりの議論が活発になっていた。一方で、そのような動きが恒常化してしまうと、国民の権利を侵害してしまうのではないかという慎重派からの懸念もあった。
今回の事件が起きる前までは、非常事態宣言の延長について否定的な声もあった。テロに対する憤りと悲しみに包まれた時期から、正常への回帰に世論もようやく向かい始めていたのである。
ところが今回の事件でそうしたムードは一気に洗い流されてしまった。「非常時」が逆に日常となっていくような社会が、フランスでますます広がっていくのではないだろうか。
2017年の初夏から夏にかけて、フランスでは大統領選・国民議会選が行われる。今回の事件とその後の経過が、世論を強く拘束することになれば、政治のかたちにも大きな影響を与える可能性は高い。
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仏ニースで84人死亡、群集にトラック突っ込む チュニジア人の男射殺
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=4094432
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