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2016年07月07日08:35

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読書日記No.928(いちばん自分らしい場所)

■内田樹・平川克美・名越康文「僕たちの居場所論」2016年5月角川新書

本日は、七夕ですね!

七夕は梅雨の真っ只中なので、たいていは星は見えませんが、本日の
東京は快晴なので、天の川が見えるかも。(でも、東京ではみえないか・・・)

本書は、「内田組」3人による、鼎談で、テーマは居場所について。
旧知の仲の3人が、相好を崩して、武装解除して語り合った胸の内とは。

リーダブルかどうかは別にして、ワクワクしながらすらすら読み進められる
本と、そうでない本がありますが、本書はまさに前者。

まぁ、だいたいが、私自身、対談や鼎談が好きということもありますが、
興が乗ったときの、対談や鼎談ほど、展開にドキドキ・ワクワクするものも
ありません。

早速、惹句を紹介。

“自分の居場所を見つけられない人が増えていると言われる時代、それぞれ
違う立場で活躍してきた内田樹・平川克美・名越康文の朋友の3人が、自分
らしさとは、つながりとは何かについて鼎談。昔話に花が咲いたと思ったら、
話は思わぬ方向に…。叡智が詰まった言葉の数々にハッとさせられる1冊。 ”

与太話もたくさんありましたが、まさに、羊頭どおり、叡知が詰まった言葉の数々に、
ハッとさせられることも多々あり、面白くて、仕方ありませんでした。

おじさんたちの井戸端会議でもありますが。(笑)

そのおじさんたちが、三者三様の生き様を通して、居場所とは何か、自分らしさ
やつながりとは何かについて、胸襟を開いて語り合う姿がよくて、心が温まり、
思わず笑いがこみあげる話の中に、キラリと散りばめられた叡知を感じました。

因みに、三人の一番居心地がいい居場所は下記とのことです。

内田樹 「人通りの多い書斎」
平川克美 「偶然の喫茶店主」
名越康文 「居場所という聖域」

章立ても紹介しておきますね。

第1章 いちばん自分らしい場所
第2章 つながるということの本質
第3章 好き嫌いと価値観の共有
第4章 師匠の存在、家族が自己にもたらすもの

あとがきの、内田樹さんの言葉が、胸に響きましたので、抜粋で紹介しますね。

“僕にとっての「出入り口」とは第一に書物である。
書物は「異界への入り口」だからである。ページを開いた数秒後に僕たちは
別の時代の、別の国の、見知らぬ風景の中に連れていかれる。その浮遊感が
たまらない。”

“「出入り口」の第二は他者である。
他者もまた僕にとっての「異界への入り口」である。二言三言、言葉を交わして
いるうちに、僕の理解も共感も絶した遠く広い世界を壁の穴から覗きこんで
いるような気になることがある。その隔絶感がたまらない。”

“そういう二種類の「異界への入り口」が開口しているところ、すなわち書物が
あり、他者が来たりまた去っていくところ、そこが僕の居場所である。”

こんな殺し文句をシレッと言えるのが、内田樹さんで、こんなところが、内田樹さん
に私が馴染んでいるところです。まさに、読書の愉楽です。

本書、とっても、いい本でした♪
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