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2016年05月17日23:05

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【映画】 宇宙大怪獣ギララ (1967年、松竹)

今日は外出先から直帰で、早く帰宅できたので、久しぶりに映画「宇宙大怪獣ギララ」を自宅でDVDで観た。この映画に登場する怪獣ギララと原子力宇宙船アストロボートのプラモデルを作ったのは先日の日記のとおりだが、そんな訳で久しぶりに映画を観たのである。

東宝の「ゴジラ」、大映の「ガメラ」の人気シリーズに対抗したのか、松竹が唯一製作した怪獣映画である。東宝の怪獣映画とはだいぶ雰囲気が違うが、結構楽しめる映画だ。

ストーリーは、こんな展開である。これまでいくたびか失敗した火星探検を成功させるべく、富士宇宙飛行センター(FAFC)で開発された「アストロボート」で火星に向けて、機長の佐野(和崎俊也)、宇宙生物学者のリーザ(ペギー・ニール)、通信員の宮本(柳沢真一)、医師の塩田(園井啓介)の4人が出発した。火星に近づくと「半熟の玉子焼きのような」謎の円盤が出現し、行く手を阻まれる。医師の塩田も体調を崩し、月面基地に一時着陸する。ここでしばしの休憩のあと、医師は月面基地に駐在していたスタイン(マイク・ダニーン)に交替して再び火星に向けて出発。しかし、やはり謎の円盤が妨害して進めない。リーザが機体に謎の発光体が付着しているのを発見し、これを採取して真空容器に入れて持ち帰る。宇宙船の原子エネルギーは消耗し、出力も低下、軌道も外れて航行困難と判断し、月面基地からの救援を待つ。月面基地からは道子(原田糸子)らが救援に向かい、原子エネルギーを積み替えて、地球への帰還を果たす。

火星到着はできなかったが、無事帰還できたことを喜んだ。謎の発光体を持ち帰ったという大きな成果もあった。しかし、その発光体が突然容器を破壊し、足跡を残していずこかへ消えた。と、箱根の山中に怪獣が出現。その足跡が研究室に残された足跡と同一と断定し、発光体が怪獣に変じたと断定した。暴れまわる怪獣。FAFCにより「ギララ」と名付けられた。地球上のエネルギーを吸収して、ますます凶暴化するギララ。自衛隊の武器は全く通用しない。しかし、発光体に付着していた白い泡状の物質に何か秘密があると考えたリーザは、その物質を分析し、月面基地に飛んで合成に成功。ギララニウムと呼ばれるその物質は、原子エネルギーをはじめ宇宙のあらゆる放射線を反射する性質があることを発見した。これでギララを包み込んでしまえばギララはエネルギーを吸収できなくなるはず。ギララニウムを地球に持ち帰り、自衛隊によるギララニウム噴霧作戦により、ギララはもとの小さな球状の発光体に戻った。地球上に置いておけば再び怪獣化する可能性があるため、無人ロケットで宇宙のかなたに運び去った。めでたしめでたし。


この映画は、2/3くらいまで進んでようやく怪獣が登場する。その怪獣が登場する前までが面白い。月面基地では野菜や果物も出来るし(ただしかなり大きいし地球にくらべて大味だそうだ)、水も合成できる。檜の風呂に入り、そのあとコニャックを飲みながら談笑する宇宙船クルーと月面基地の面々。このあたりの場面はちょっと笑える。宇宙船アストロボートはカッコイイ。船内は重力安定装置が働いて、地球の引力圏内を飛んでいるのと変わらない。謎の円盤が何だったのかは結局最後まで分からず、なんとなく中途半端だ。攻撃を仕掛けてくる訳ではないが、火星への進路を妨害しているのは確かだ。アストロボートには戦闘機能はないため、攻撃されたらイチコロだろう。

途中で交替した医師スタインは、「火星へは行きたくない。最愛の妻のいる地球へ帰りたい」とダダをこねるし、宇宙食にはケチをつけるし、挙句の果てに機長の指示を無視して、勝手にエンジンを全開させてエネルギーを無駄に消費するし、しょうもない人だが、乗員同士のトラブルにはならず、穏やかムード。道子とリーザとは、佐野をめぐる恋敵ではあるが、結局佐野が愛しているのは道子だと最後に分かったリーザ。「ギララが教えてくれた」って、え?どこで? 宮本はリーザに気があるものの、リーザからは冷たくあしらわれ三枚目役。

怪獣よりも宇宙探検に主軸があるような映画で、そもそも冒頭に流れる歌が「地球 ぼくたちの星、宇宙 ぼくたちの世界、未来 ぼくたちの明日、みんな ぼくたちのもの」である。音楽はいずみたく。いずみたくの音楽が、ほのぼのとした雰囲気を出していて、同じ特撮怪獣映画でも、伊福部昭の音楽とは180度違う。怪獣の恐怖や、戦いの緊張感があまりないのも音楽のせい? そういえば、ギララの鳴き声も、酔っ払いのオヤジが吠えているような感じで、ゴジラなどとはだいぶ雰囲気が違う。

いや、これは面白い映画である。東宝怪獣映画とはテイストの違う、突っ込みどころが多くて楽しめる(?)映画である。
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