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2016年05月02日22:31

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【散策】 都電荒川線沿線さんぽ

今日は月曜日だが仕事は休みなので、どこかに出かけようと思い、久しぶりに都電に乗って、沿線を巡ることにした。都電は昭和時代は都区内に網の目のように走っていたが、昭和40年代から廃止が進み、現在は早稲田−三ノ輪橋の1系統のみが、荒川線という線名を与えられて存続している。荒川線は道路と併用する軌道が少ないことや、代替の地下鉄を同じルートで建設することが難しかったことなどが理由であろうが、何よりも「下町の足」として利用客が多いのである。

今日の都電沿線巡りは、早稲田から始めることにした。早稲田は学生時代に馴染んだ町だが、早稲田通り沿いの店などは、自分が学生の頃からかなり様変わりしている。しかし、大学の周辺は昔のままのところが多い。早稲田大学のシンボル的存在である大隈講堂の前をとおり、都電の駅に向かう。大学構内はひっそりとしているようだが、今日は月曜日で平日のはずだ。まだ朝早いだけなのだろうか。

早稲田から都電に乗り込む。乗ったのは自分の他に母子1組だけであった。車内で都電一日乗車券を購入する。400円だ。都電は1回の乗車が170円(ICカードなら165円)だから、3回以上乗れば元が取れるお得な乗車券である。面影橋をすぎて右に曲がり、明治通りに沿って走る。どこに行くとも決めていないので、気まぐれな途中下車となるが、最初に鬼子母神前で降りてみることにした。電停付近は何やら工事中である。

駅名のとおり、すぐ近くに雑司ヶ谷鬼子母神堂がある。まずはここにお詣りする。鬼子母神は夜叉神の娘で、近所の子供をさらっては食っていたが、釈迦により自分の子を隠され、子を失った親の気持ちが分かるかと諭されて改心し、釈迦に帰依して、安産、子安の神となったのである。鬼子母神の「鬼」には「ノ」がないのが正しい。改心して角が取れたのだ。境内には樹齢六百年以上とされる公孫樹の木があり、天然記念物に指定されている。大都会の中のひっそりと静かな場所である。近くからピアノの音が聞こえたが、すぐ近くにある東京音楽大学からの音だろうか。誰が弾いているのか知らねど、いずれステージで弾く演奏を聴くことになるかもしれない。

都電の駅に戻り、少し先まで進む。東池袋四丁目はサンシャインの近くだが、ここは素通りし、大塚駅前も過ぎて庚申塚で降りることにした。大塚駅前からは結構混雑してきた。庚申塚は、これも駅名のとおり、駅のすぐ近くに庚申塚がある。庚申塚は中山道の立場として栄え、現在は猿田彦大神を庚申堂に祀っている。猿田彦大神は天孫降臨の際に道案内をしたことから、旅の安全をつかさどる神とされ、道祖神と同一視されている。ここから巣鴨駅方面に延びているのが、巣鴨地蔵通商店街であり、通称「おばあちゃんの原宿」である。少し行くととげぬき地蔵で有名な高岩寺があるが、今日は行かないことにする。

庚申塚駅に戻り、再び都電に乗車する。豊島区を抜けて北区に入ると間もなく飛鳥山だ。ここで降りて飛鳥山公園に行ってみる。飛鳥山と王子駅前の間は都電も路面を走るため、いつも写真を撮っている人を見かけるが、今日もいた。飛鳥山公園は桜の名所として名高いが、すでに桜の花は終わっている。花見客はいないが、今日は小学生の団体がいるようだ。引率の先生も大変そうだ。公園内には北区飛鳥山博物館、紙の博物館、渋沢史料館があるが、いずれも入ったことがあるので、今日は省略する。都電沿線巡りをしているので、公園内に保存されている都電の車両は見ておきたい。6080である。都電といえばこれという、典型的都電スタイルの車両である。ついでに旧渋沢庭園にも行ってみる。小学生の団体の喧騒からは逃れて静かな場所かと思いきや、すぐそばを電車が頻繁にとおるので、やはり賑やかである。公園内をぶらぶら歩いて、山頂モニュメントのところに行く。飛鳥山は標高25.4mのれっきとした山なのである。この「山頂」近くと王子駅前を結ぶ飛鳥山公園モノレールが運行されている。ちょうど来るところだったので、「乗りますか」と言われ、乗ることにした。小さな車両は「アスカルゴ」という名前が付いている。わずか1分、待つより歩いた方が早いが、無料で乗れる珍しい乗り物だし、乗って損はない。(乗るのは初めてではない。)

王子駅前に出たので、王子稲荷神社にも行ってみよう。落語の「王子の狐」でも有名だ。今日はひっそりとしているが、ふと美人でも現れたらひょっとすると...。扇屋は現在は飲食店等の入った雑居ビルになっているが、名物の卵焼きは今でも売っている。ただし、販売時間はごく限定されているようで、今は閉まっていた。昼も近いので、この扇屋ビルの3階にある中国料理店「王子夜市」で食事をした。ランチメニューは安くて美味しいが、ふと向かい側に狐が化けた美人がいたら面白いな、などと考えたりしつつ食事をする。そんな雰囲気もありそうな店である。王子駅前には音無親水公園もある。ここも桜の名所だが、もちろん花はすでに終わっている。しかし、緑と水の公園もきれいである。以前、ここから板橋まで石神井川に沿って歩いたことがあるが、今日は都電沿線巡りを続けることにして、王子駅前から再び都電に乗る。

荒川区に入って最初の駅が荒川車庫前だ。文字通り都電の車庫のある駅で、ここで乗務員も交代する。ついでに私も降りてみた。都電の車両が何両か車庫内に待機している。この車庫内にあるのが「都電おもいで広場」であり、かつて都電の線路を走った5501と7504が置かれているが、広場に入れるのは土日祝日のみで、今日は月曜日なので閉まっている。無料で入れる広場で、都電の車両が置いてあるだけなのに、お役所的なやり方だなと思いつつも、車両を眺めるだけなら外からでも十分だ。

荒川車庫前から1駅だけ乗って、次の荒川遊園地前で下車する。折角ここまで来たのだから、あらかわ遊園にも行ってみよう。今まで中に入ったことはなかったが、今日は200円の入場券を買って中に入った。あらかわ遊園は、唯一の区立の遊園地で、日本一遅いコースターがあることでも知られている。日本一遅いコースターは乗ってみたかったが、子供連れでない大人が乗るのは気が引けるので、眺めるだけにした。本当にほのぼのとするようなコースターで、こういうのもいいなと思う。園内には下町都電ミニ資料館もあり、ここには入ってみた。資料といえるものはわずかで、都電の模型がたくさん並べてあるだけだ。それでも、都電の車両のバリエーションを模型を通じて見ることが出来るので、それはそれで楽しめる。屋外には、実物の「金太郎塗りの一球さん」6152が展示してある。

園内には乗り物もいろいろある。豆汽車など結構本格的な鉄道っぽくて、乗ってみたい気もするが、眺めるだけにする。奥には動物がいる。ヤギやヒツジがいるし、ニホンザルもいる。あらかわ遊園は、下町の古き良き時代の遊園地という感じで、こういうのがまだ残っているのはうれしいなと思う。

荒川遊園地前駅に戻る。駅名は「荒川」は漢字で最後に「地」が付く。微妙な違いもおおらかだ。再び都電に乗る。来たのは黄色に赤いラインの入った車両だった。昔ながらの都電カラーである。やはり都電はこの色が似合う。あとは終点まで行ってしまおうかと思っていたが、宮ノ前駅の前に神社が見えたので降りてみた。尾久八幡神社だ。この神社の前に駅があるから宮ノ前駅だ。応神天皇を祭神とする尾久の総鎮守である。ただし、神社創建の経緯は定かではないようだ。八幡神社にもお詣りする。

再び都電に乗る。日暮里・舎人ライナーと交差する熊野前を過ぎ、京成電車と交わる町屋駅前も過ぎ、終点の三ノ輪橋で下車した。これで都電沿線巡りは、今日は終わりとする。まだ降りたことのない都電の駅はいくつもあり、どの駅で降りても小さな発見がありそうだが、それはいずれかの機会にする。三ノ輪橋駅近くから続く、ジョイフル三ノ輪は下町らしい活気ある商店街だ。その中の蕎麦屋「朝日屋」でてんぷら蕎麦を食べて休息。再び都電に乗って、同じルートを戻っていった。
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