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2016年03月09日08:41

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読書日記No.896(いつまでも若いと思うなよ)

■橋本治「いつまでも若いと思うなよ」2015年10月新潮新書

タイトルを見て、自分に忠告されている気がして、ドキッとして
著者が、馴染みの橋本治さんだったので、手に取った本。

昔読んだ、山本夏彦さんのコラムで印象に残っている文章があって、
それは、講演会などに出向くと、いつも自分が一番若かったが、ある時
気づいたら、自分が一番年寄りになっていた、というもの。

浦島太郎の物語でもないが、現在61歳の私は、それに近い感覚を
最近、時々、味わうようになった。

会社でも、まだ現役の前線にいるが、周りは、私より若い社員ばかり。
仕事に歳は関係ないと言っても、ふと、「いつまでも若いと思うなよ」
という言葉が、天から降ってくるような気がする。

さてさて、本書のまずは帯のフレーズを紹介。

“明日に向かって老いろ! 「前期高齢者」の仲間入りをした著者が、
自らの「貧・病・老」を赤裸々に告白。老若男女のための年寄り入門。”

続いて、惹句も紹介。

“若さにしがみつき、老いはいつも他人事。どうして日本人は年を取るのが
下手になったのだろうか――。”

“バブル時の借金にあえぎ、過労で倒れて入院、数万人に 一人の難病
患者となった作家が、自らの「貧・病・老」を赤裸々に綴りながら、「老い」
に馴れるためのヒントを伝授する。”

“「楽な人生を送れば長生きする」「新しいことは知らなくて当然」「貧乏でも
孤独でもいい」など、読めば肩の力が抜ける、老若男女のための年寄り入門。”

「読めば肩の力が抜ける、老若男女のための年寄り入門」というフレーズ
が本書がぴったりで、著者は、難病にかかって、外からみると、結構大変
だと思うが、脱力して、老いをむしろ面白がっている。

そういえば、昔、脱力系の「老人入門書」に、赤瀬川原平さんの「老人力」
という本があったことを思い出した。

著者の橋本治さんは、多作・異能な人で、著書だけでも軽く、100冊は超え、
私は、その2割くらいしか読んでいないが、とにかく、この人以外には書けない
テキストを書き、平易な言葉が紡がれながらも、内容は深くて面白い。

デビュー作は「桃尻娘」だが、いつまでも桃尻娘の作家ではなく、渉猟する
ジャンルは、八方に広がり、まあ、異能の天才ですね。

「老い」は、夭逝しない限り、誰にでも訪れるもので、著者が身を持って体験し
本書で伝授しているように、馴らしていくことが大切ですね、たぶん。
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