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2015年08月27日10:44

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デパート、地下街の飲食店戦争

 大都市のデパートや地下街に集まるレストランや、そのコンセプトなどには、その時々の世相というか、「こういうものが求められているはず」というものが表れているように思う。デパートのレストラン=食堂みたいなイメージも多様化していき、バブル期にはフレンチなどの高級路線が広がった。しかしその後は、家族連れをターゲットとして気軽に楽しめる雰囲気に傾いていく。

 デパートは、90年代以降、デフレの影響で厳しい環境にあった。交通の便が悪く、顧客が集まらないようなところは、老舗でも倒産、撤退が相次いでいた。そういうなかで、彼らはデパ地下に力を入れていく。有名店の惣菜を売り出しただけでなく、ちょっとした食事ができるスペースを設けるなど、新たな試みをはじめたのである。これは話題になり、全国的なものになっていった。

 他方、地下街は「目的地までの通り道」であることは否定できないので、レストランも回転の早い店が集まる。ファストフードやラーメン店などが多いのはそのためだ。けれども地下街はデパートと隣接しているところも多く、そこの顧客を取り込むような店舗づくりをはじめるところもあった。和洋中など雑然と店が並ぶのではなく、イタリアンやラーメンなど、特定のジャンルを集めたエリアを作った。これも90年代後半〜00年代に特徴的なものだったように思う。

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 顧客の好みや流行に、レストラン街が合わせていこうとすると、当然のことながらテナントの入れ替えも早くなっていく。パンケーキが流行すれば、そうしたお店、カフェが入る。流行が収まれば撤退する。数年で、お店の多くが入れ替わっているケースも少なくない。

 また、ターミナル駅の地下街などは、新しい路線ができて利用客に変化が生じることに合わせて、大規模な改装を行うところもある。もっともこれは、路線が増えて顧客が増えるためというより、それによってほかに顧客が奪われる可能性を考慮したものかもしれない。

 横浜駅はどこかしら工事が行われていて、「いつまで経っても完成しない駅」なのだけれど、現在は駅ビル建設がようやくはじまって、西口の再開発に伴う地下街のリニューアルが進んでいる。ただこれと同時に、神奈川県央部と横浜を結んできた相鉄線の、渋谷乗り入れが迫っていることもあって、これに対する危機感もまた大規模改装を後押ししているように思われる。

 現在、横浜駅は全国でも有数の利用客で賑わっているものの、相鉄沿線の人たちの流れが渋谷に向かうとその数も減少すると予想されている。相鉄沿線に住む人たちは、土地持ちの富裕層が多く、それが伊勢佐木町を上回る西口の発展に貢献してきた。こうした層が分散化するのは大きな懸念材料となり得る。

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 いずれにしても景気動向、購買層の変容に加え、周辺の大規模開発や路線ひとつでも利用客が大きく増減するのが大都市の特徴である。巨大な消費者を抱えて順風のように思われる都市部でも、ミクロ的にはさまざまな外部要因に振り回される小売、飲食店の悲鳴が聞こえる。

 かつては出せば売れるといったデパート、またそれに代わって台頭した郊外型ショッピングモールも、小回りを利かせなければ撤退に追い込まれる時代となった。スケールメリットは、十分な需要が見込めるからこそ活かせるのであって、限られた顧客に対してはかえって図体が大きいぶん、後手に回りかねない。

 新たな顧客層の開拓と、リピート率の向上は、いまや大規模店舗においても欠かせない視点となっている。

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都内最大規模の百貨店レストラン街刷新、東武池袋本店に46店舗集結。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=3585632
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