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2015年08月01日20:33

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読書日記No.843(どんな小さな命もかけがえのないもの)

■クレア・キップス、梨木香歩訳「ある小さなスズメの記録」2015年1月文春文庫

日記のタイトルをご覧になって、何を思われましたか?

私は、こう見えても、子どもが大好きで、昨夕も長女が孫娘をふたり(1歳10ヶ月と
2ヶ月)連れてきていたので、お風呂にいれたりして、慈しみました。

幼児や子どもが虐待されるニュースを見聞きすると、いたたれなくなります。

ペットの趣味は、東京のマンション暮らしなので、謹慎していますが、子どもの頃
は、飼い猫をやはり、慈しんでいました。

人でも動物でも、命、特に小さな命のかけがえのなさは、はかりしれません。

毎日、酷暑が続いているので、積読書の中から手に取ったのが本書。
そんな気持ちに寄り添うような本で、堪能しました。

早速、惹句を紹介。

“第二次世界大戦中のロンドン郊外で、足と翼に障碍を持つ一羽の小スズメが
老婦人に拾われた。婦人の献身的な愛情に包まれて育った小スズメは、爆撃機の
襲来に怯える人々の希望の灯火となっていく―。”

“ヨーロッパやアメリカで空前の大ベストセラーとなった英国老婦人と小スズメの
心の交流を描いたストーリーを、梨木香歩が完訳。 ”

本書が書かれたのは、1952年のイギリスで、今から半世紀以上前の作品だが、
馴染みの作家、梨木香歩さんが、訳そうと思ったのは、次のような思いがあったと
訳者あとがきで書いている。

“この小さなスズメが、「ただ、生まれて在ること」の歓びを、全身で伝えてくる、
その事実に打たれる。巣篭もっているとき鳥がどんな気持ちでいるか、という
ことを、これほど感動的に報告してくrた例は、これからもないだろうと思う。”

“生物には、こういう生の歓喜を味わうようなプログラミングが潜在的になされて
いると考えると、救われる気がする。”

“私事になるが、この仕事の最中に、飼い犬を亡くした。彼女は、このスズメと
ほぼ同じ、十二年のその生涯を通じ、私を支え続け、その「死」は、この著者
がこの本を書かざるを得なかった心情の、真の理解へと私を近づけてくれた。”

“その「不在」の「穴」が、それまで延ばし延ばしにしていたこの本の翻訳を
集中的に行わせてくれた。かつて人の傍らに在って今は亡き、すべての
「同伴者」たちに、このささやかな訳業を捧げたい。”

“何か熱に浮かされたように強大なものへ向かっている今、現代にあって、
この小さなスズメが、再び、けなげにも時代の小さな錘りの役割を果たして
くれることを願い、また信じている。”

会社の建物の真下に、小さな公園の砂場があるのだが、先日、休憩時間に
その砂場をみていたら、スズメの群れが来て、砂場に穴を掘って砂浴びして
いる光景に出くわした。

20羽くらいいただろうか。

東京にも、そんな小さなかけがえのない命が息づいている光景に、ちょっと
癒される経験をしたばかりだ♪
20 16

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