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2015年04月26日11:58

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【音楽】 東京交響楽団演奏会〜秋山和慶による鉄道讃歌

昨日(4/25)は楽しいコンサートに行ってきた。「東京交響楽団 オペラシティシリーズ第85回演奏会」とだけ書くと、クラシック音楽のコンサートですね、となってしまうが、今日はいつもとちょっと違う特別なプログラムなのである。

 ・E.シュトラウス: ポルカ「テープは切られた」
 ・J.シュトラウスII: ポルカ「観光列車」
 ・ヴィラ=ロボス: カイピラの小さな列車(ブラジル風バッハ第2番より)
 ・ロンビ: コペンハーゲンの蒸気機関車のギャロップ
 ・オネゲル: パシフィック231
 ・青木望: 組曲「銀河鉄道999」
 
  指揮:秋山和慶、ソプラノ(スキャット):半田美和子、語り:堀江一眞
  会場:東京オペラシティコンサートホール (14:00開演)


プログラムを見て明らかなように鉄道に因んだ曲ばかりを演奏するコンサートである。以前、鉄道にちなんだクラシック音楽を集めたCDのことを書いた時に、「秋山和慶さんあたりがやってくれないかなあ」と書いたら、本当にそれが実現したのである! しかも、日本のオーケストラならではの作品もプログラムに加えてある。こういうコンサートなら指揮者は秋山さん以外には有り得ないだろう。いうまでもなく秋山さんは筋金入りの鉄道マニアである。

前半はいわゆるクラシック音楽である。どれも比較的知られている曲ではあるが、まとまって演奏される機会はそう多くはないだろう。1曲目の「テープは切られた」は、オーストリア北部鉄道公社の、鉄道開通を祝う舞踏会のために書かれた曲で、まさに今日の1曲目に相応しい曲である。秋山さんの指揮で快調に出発進行!

2曲目もシュトラウス一家の作品から「観光列車」である。末弟のエドゥアルドは鉄道に因んだ作品も多く、鉄道好きだったに違いないと勝手に思っているが、兄のヨハンII世も負けてはいない。「観光列車」は、オーストリアの山岳鉄道ゼメリング線の開通10周年を祝う曲だ。シュトラウス一家のポルカが続くと、ウィーンのニューイヤーコンサートでも聴いている気分にもなる。

3曲目以降は、さらに鉄道そのものの描写が秀逸な作品が続く。次はヨーロッパからブラジルの田舎に飛んで、「カイピラの小さな列車」だ。小さな汽車が長閑な田園風景の中をトコトコ走る様が見事に表現された曲である。これを運転、いや指揮するのは秋山さんだから、コントロールも見事である。風景が目に浮かぶようだ。

続いては「コペンハーゲンの蒸気機関車」である。北欧のヨハン・シュトラウスの異名もあるロンビの代表作の一つで、出発進行の笛や、汽車の鐘、汽笛の音など、パーカッションも大活躍の楽しい曲だ。女性パーカッション奏者が次々取り出す「楽器」も、見ていても楽しい。秋山さんの運転する機関車に牽かれて、出発してから次の駅に到着するまで一緒に汽車に乗っている気分になる。蒸気機関車は現在の電車のようにサッと加速してサッと停まるという訳にはいかない。ゆっくりと加速して、駅に近付くとゆっくりと減速するのである。そういうことも、鉄道を知り尽くしている秋山さんの指揮によるテンポで演奏されるので、何の違和感もなく聴けるのである。

前半の最後はオネゲルの作品だ。蒸気機関車を描写した作品の代表ともいえる「パシフィック231」である。パシフィック231とは、前輪2軸、動輪3軸、後輪1軸で構成される機関車のことで、「パシフィック」はアメリカの言い方、「231」がフランスの言い方である。高速運転に適した軸配置であり、日本では「2C1」と言い、C51〜C57、C59などが2C1だ。この中でもC57(シゴナナ)は「貴婦人」の愛称でも呼ばれて特に親しまれ、山口線での「やまぐち号」もC57で、ここからSLの復活運転が始まった。おっと、音楽の話だった。この曲も蒸気機関車の疾走を見事に表現した作品で、それを秋山さんの指揮でこれまた見事に表現されていた、としか書きようがない。


前半だけでも、小品集なのに中身の濃い演奏会だったが、後半はさらに濃い。

ある程度予想通りではあるが、秋山さんが国鉄の(?)車掌の制服に着替えて登場。後半の語りを担当する声優の堀江さんは銀河鉄道999の車掌の格好で登場した。この語りは急遽決まったもので、その「お知らせ」を見た時は、音楽を壊すような余計な語りなら止めてほしいと半ば不安だったのだが、実際に始まってみると、音楽を邪魔をすることはなく、むしろところどころに語りが入ることによって、この銀河鉄道999のストーリーを知らない人にも、イメージが膨らむように構成されていた。鉄道マニアの秋山さんだし、たとえ地球を離れ銀河に飛び出しても、ダイヤグラムをきちんと組んで、しっかりと確実な運転をしたのである。

組曲「銀河鉄道999」は、次の8曲から構成される。

 第1曲:序曲−出発(たびだち) きらめく銀河〜アンドロメダへ
 第2曲:慕情 母の面影〜青い地球
 第3曲:挑戦 襲撃〜怒り〜苦悩
 第4曲:不思議な星 未知への誘い
 第5曲:流浪(さすらい) 悲しみの旅路
 第6曲:冒険 孤独〜追跡
 第7曲:出会い 宇宙の盗賊たち
 第8曲:終曲−永遠(とわ)の祈り 望郷〜目覚め〜祈り

これだけ書けばこれ以上この組曲の解説は不要で、ここに書いたイメージのとおりに音楽が展開する。この組曲はCDでも聴いていたが、45分ほどの中にいろいろな音楽が詰まった作品で、いわゆるクラシック音楽に収まらないところもあるが、それもしっかり演奏されていた。ハーモニカも木管の奏者が持ち替えて、哀愁ある音色を聞かせてくれたし、ジャズっぽいのやら、ユーモラスな音楽やら、様々な音楽が展開する。スキャットを歌うソプラノの半田さんの歌声も素晴らしい。ステージ上ではなく、3階のバルコニーで歌うことによって天上からの声というイメージを作り出す演出だ。歌声も素晴らしかったが、半田さんは細身の身体にロングヘアーで、しかも黒い衣装。これはメーテルのイメージそのものである。出演者には視覚的要素も考えられているなと感心した。

全曲が終わり、照明がフッと消えてステージ上に仄かな青い光が灯ると、感動のあまりウルッと来てしまいそうだった。


終演後はロビーで、熊本から駆けつけたマイミクのクラインディーンストさんと合流。何年ぶりかの再会を果たして、そのまま新宿の居酒屋にて感動を分かち合い、濃い話で盛り上がった。適当な店に入ったのだが、熊本のクラインディーンストさんが九州の匂いを感じたのか、九州料理の店であった。熊本の焼酎「鳥飼」を結構飲んでいい気分になって店を出て、このあとはカラオケへ。2人だけで2時間というのは、休む暇もなく交代で歌い続けなければならず、久しぶりにたくさん歌ったし、クラインディーンストさんの美声も聴かせていただいた。

このあとは新宿駅西口に向かい、山梨から駆けつけたマイミクのこめへんさんとも合流。日中の演奏会はお仕事の関係で来られなかったが、夜の部では合流出来たのである。3人で会うのはさらに久しぶりだが、いつもmixiでやりとりしているので、あまりそんな感じがしない。さらにワインなどを飲みつつ語り合い、ラストオーダーという追い出しがかかったので、店を出る。演奏会の後も濃い時間を過ごした、楽しい一日だった。
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