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2014年08月24日00:14

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■獺狐余話(18) / 「素数ゼミ」の話(5)

●2014年08月24日 (日)  曇り ときどき 雨

 ▼「キツネくん。

   こうやって、二人して遊んでいる訳だけど、

   ときどき、申し訳ない気分になるときがあるんだ・・」


  「えー、それ、なんですか?」



  「いやぁ、遊び呆けて、これでいいのか、

   と思ったりしてね・・」



  「ナラトさん、それは反省ですか?

   イイモトさんが、何もすることがないと言って

   悩んでるときには、何かしなければならないと『反省』するな、

   って、言っていたんじゃないですか・・」



 ▼「それは、そうなんだけど・・・」

 

  「じぁ、ナラトさん。

   オレといっしょに、ハローワーク、行ってみませんか・・?」


  「それは、冷やかしかね?」



  「いいえ、本気ですよ!

   今、高齢者で仕事を求めている人はいっぱいいます。

   70歳すぎても、そうしないと暮らせない人もいます。

   ナラトさんも、そうやって、必死になって仕事を探してみては

   どうですか?

   そうすれば、もっと自分の置かれている状況を自覚するんじゃ

   ないですか?」



 ▼「確かに・・・、

   キツネくん。きょうはヤケに張り切っているじゃないか」


  「そりゃあ、そうですよ。

   オレに、勝手に『宿題』なん出して・・・!!」


  「ああ、それで怒っているわけか・・・」



  「いいえ、別に怒っている訳ではありません。
 
   人の身に立つ、ちゅうことが、いかに難しいか、

   そうゆうことです」


  「ほんと、キツネくんの言うとおりだ・・」




 ▼「じゃあ、キツネくん。

   『宿題』は、やってきたんだね?」



  「ほらっ、そうやって、すぐ突っ込んでくるでしょう。

   オレは、オレなりに考えてみたんです・・。

   オレが数字を使うのは、ニワトリの数を勘定するときくらいで、

   セミに『素数』が必要であっても、オレにはどうでもいいことなんです」



  「キツネくん。

   きみは、セミが『氷河期』をどう凌(しの)いだか、

   そのことに興味を抱いたじゃないか」



  「それは、オレも、凌がなければならない時があるからです。

   セミの知恵が、キツネにも役立つ、って事はあるでしょう・・」



 ▼「まあ、すぐに役に立つかどうか、

   それは、はっきりしないが、数を使って考えるということは

   いろいろな場合に応用できるからね。


   では、『絵』を見ながら、いっしょに考えてみよう」


     
フォト




 ▼「この『絵』を見ると、2、3、5、7、11、13、17、19

   それから、23、が、赤い大きな数字で書かれている。

   これらの数が、実は、『素数』なんだ。


   『絵』は、23の所までしか描かれてないけど、23より

   大きな数の『素数』は無限にあるが、それは省略しています・・、

   という意味なんだ」



  「ああ、なるほど。

   なんで、21から24の行の、下のほうが切れとるのかと

   オレ、思とったんや。23より大きい『素数』ちゅうの、

   省略、という『絵』なんや・・・。うまいこと描いている

   やないか」



 ▼「キツネくん。

   こんどは、小さい、青いほうの数を見てみよう。

   すると、1を除いて、みんな、数字の下に、= で、

   書かれた、掛け算の式があるだろう・・」



  「ああ、4は、=2×2、 6は、=2×3、と書いてあります」




  「そう、それ。

   キツネくん、簡単な掛け算だからわかると思うけど、たとえば、

   6は、2の3倍であり、3の2倍でもある。

   別の言い方をすれば、6は、2でも3でも割り切れる、という

   性質をもっているだろう?」


  「ああ、そこまで言われると、

   バカじゃないから、オレでも、わかります・・・」


 ▼「キツネくん。

   それじゃあ、『素数』ってどんな数か、定義してみよう!」


  「『定義』って、それ、なんですか。ときどき、聞きますし、

   大体の意味は耳学問で知っていますが、正面切って、『定義』って

   ゆわれると、オレ、説明でけへんわ」



  「ああ、ボクも同じだ。

   日常生活では、『定義』しなくても、お互い、分かった気でいるから、

   それで十分だからさ。



   しかし、『学問の世界』では、言葉を使って、考えを進めるから、

   対象となる事柄の『意味』は、当事者間で、その言葉の正確な意味、

   つまり『定義』をしっかり決めておくことが、まず、はじめに

   必要になってくる。


   日本の法律を見ても、まず最初のほうで、「第○条 (定義)、この法律で

   『○○○○』とは、『△△△△』をいう」と、条文の中で定義しているよ」




 ▼「へえーっ、そんなもんですか、

   なんかカタグルシイですね・・・」



  「あっ、また横道にそれちゃったが、

   『素数』とは、1 と自分自身以外に正の約数を持たない自然数で、

    1 でない数のことである、とされている。


   簡単に言えば、『割り切れない数』のこと・・、言い換えれば、

   ほかの数の倍数(何倍かした数)ではない数のこと、・・・」



  「なんか、言葉がややこしいですが、だいたい、わかりました」


  「それで十分、まあ、マイミクの数学に関心のある方には、ウィキペディア
   見てもらうことにして、次に進もう・・」



 ▼「さて、キツネくん。

   いよいよ大詰めだ。


   キツネくん。

   セミたちの、生き残り戦略の最大のポイントは、何だったかね・・?」



  「それは、自分たちの仲間を後世に残すために、自分と同じ周期の仲間のセミと

   交尾することです」


  「そうだったね。言い換えると、それは、違う周期のセミと出会わないこと、

   そういうことだったね・・・」


  「はい、それは了解しています・・」




 ▼「それでは、どうやったら、別の周期のセミと出会わないようにすることが

   できるだろうか・・・」


  「ずっーと長いこと、地中で暮らして、たまにしか、地上に上がってこない

   ようにすれば、ほかのセミに出会うことはない、と思います・・」



  「おや、おや、それじゃ、ほかのセミに出会わないかもしれないが、

   仲間のセミにも出会わない、繁殖をあきらめ、自滅の道を自ら選ぶ、

   ということになる。

   地上に出てきて、交尾することこそ、目的なのに、それじゃあ

   自分本位の、本末転倒の考え方ではないだろうか?」



  「あははは・・、ほんまですね。

   オレ、なに考えておったのやろ・・・」



 ▼「キツネくん。

   ほかの周期のセミと出会わない方法を考えるときに、役に立つのが

   実は、『素数』なんだ!」


  「えっ、それ、どうゆうこと・・・?」



  「さっき、『素数』と『素数でない数』(これを『合成数』という)の

   ふたつの数の性質を見たけど、『素数』は約数をもたないけど、

   『合成数』は約数をもっている・・、と言えるだろう」



  「ええ、ちょっと待ってください、『約数』って、割る数のこと?」


  「そう、その通り・・。

   割られる数を、割る数で割る、これが割り算だけど、

   たとえば、6は、2でも割り切れるし、3でも割り切れる。

   だから、6は、「2」と「3」、ふたつの『約数』をもつ『合成数』だ。


   ところが、7、7は、7と1でしか、割り切ることができないから、

   『素数』である」


 
 ▼「ナラトさん、それ、さっきの繰り返しじゃないですか、

   オレ、もう知ってます・・・」



  「じゃあ、次だ。

   いま、ある周期のセミが、ほかの周期のセミと出会う、

   ということは、どういうことだろう。


   いま、仮に、ある年、地上に出てみたら、たまたま、

   自分とはちがう周期のセミとであったとしよう・・」



  「では、キツネくん。

   その次に、その違う周期のセミと出会うのは、いつだろう?」



  「ええ、具体的にゆうてもらわんと、考えられません・・。

   何年ゼミと、何年ゼミが出会う場合か、ゆうてもらわんと

   考えられへんやないですか・・」



 ▼「そうか・・。

   では、2年周期のセミ、つまり、卵が幼虫になって地中にもぐり、
 
   羽化して地上に出てきて、交尾し、死ぬまでのサイクルが2年のセミが

   いたとして、これを2年ゼミと呼び、同じように、そのサイクルが3年の

   セミを、3年ゼミと呼ぼう・・」


  「あははは・・・、ナラトさん、それ、『定義』ですか・・」



  「うん、簡単な『定義』だけど、そうすると、キツネくん、

   2年ゼミと3年ゼミがある年に出会って、次に出会うのは何年後だろうか・・」


    
 ▼「ナラトさん。ちょっと待ってくださいね。

   オレ、考えますから・・。

   2年ゼミは、次に地上に出て来るのは2年後でしょう、そして

   その次は4年後、またその次は6年後・・・、簡単やないですか、

   2、4、6、8、10、12、14、16、18、20・・、

   なんぼでも言えますよ」


  「じゃあ、3年ゼミが地上に出て来るのは・・?」



  「ナラトさん、待ってくださいね・・、

   ええと、3年後、6年後、9年後、・・、ああそうか、3を順番に

   たしていったらええから、

   3、6、9、12、15、18、21、24、27・・・、

   3の九九じゃないですか!」


 ▼「キツネくん。

   その通り、ある周期ゼミの次に地上に現れる年は、倍数の年だから

   九九になるじゃないか・・」


  「なあーんだ、簡単ですね・・」



  「ちょっと、キツネくん。

   これは、今、それぞれの出現する年を調べただけで、出会う年じゃないよ」


  「ええ、わかってます。

   2年ゼミと3年ゼミが出会う年でしょう・・、両方に同じ数字があれば、

   それは出会う、ちゅう事でしょう」



 ▼「すばらしい・・!、

   その通りだよ!」


  「また、また、おだてて・・、

   えーと、2年ゼミと3年ゼミが出会うのは、

   6年後、12年後、18年後、24後、30年後、36年後・・、

   あれっ、これ、6の倍数の年じゃないですか・・」


  「そう、その通り、すごい、すごい・・!!」



  「ナラトさん、それ、やめてくれます・・、

   オレ、馬鹿にされてるみたいで・・、

   かえって、やる気なくすから・・・」



 ▼「ごめん、ごめん、そんな積もりは、毛頭ないよ。

   ほんとうに、キツネくんが自分の頭で考え、自分の力で
  
   発見したことを称賛しているだけだから・・・」


  「なら、いいですけど・・・」


  「キツネくん、いま見た、この2と3が出会う数、つまり、

   2と3の『公倍数』、これが、2年ゼミと3年ゼミの出会う年に

   なっている、という事だね・・」


  「ええ、そうです」


  「2と3の『公倍数』の中で、最小のもの「6」のことを、これを

   『最小公倍数』といい、『最小公倍数』を2倍、3倍、4倍・・、

   と、順に『最小公倍数』を加えていった年に、2年ゼミと3年ゼミは

   出会う、ということだね・・」



 ▼「ええ、そうです」


  「キツネくん、きょう『最終回』にするつもりだったが、ここらで

   ちょっと休憩して、こんどこそ、本当に、おしまいにしよう・・」



  「ああ、それがいいです。

   実をゆうと、オレも頭、使いすぎて、少々、疲れてきとった所やねん。

   コーヒーにしましょう」



   ★★★  ★★★  ★★★  ★★★  ★★★

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