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2014年08月25日02:40

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■獺狐余話(19) / 「素数ゼミ」の話(6)

●2014年08月25日 (月)  未明  涼し

 ▼「ナラトさん。

   秋ですねー、地虫が鳴いています」


  「ああ、そうだねー。

   鳴いてるねー」



  「きょう、3時過ぎ、急に、ザ、ザー、ザー

   って、降ってきたでしょう・・。

   川西あたりも、随分、降ったように、

   ここらも大雨降るのか、と思っていたら、

   雨は、10分もせぬうち、やんでしまったでしょう・・」


  「うん、そうだったけど・・・」



  「その雨がやんだあとです。

   オレ、秋やなー、

   と思ったんです・・」



 ▼「ナラトさん。

   ふたりとも、よう寝たですね・・」


  「ほんと、ぐっすり眠ったよ・・」

  
  「体がひんやりして目が覚めたんだけど、

   もう、2時すぎてて、

   オレ、びっくりしてもうたです」


  「ああ、ボクもそうだ。

   晩飯を食べた後、布団ひろげて横になったら

   もう、すぐに眠って、

   気がついたら、この時間だ・・」


  「秋は、頭がすっきりしますね・・。

   すぐにも、頭にはいりそうで、

   心にも、染み渡っていきそうです」


  「そうか、それじゃあ、はじめようか!」



 ▼「キツネくん。

   復習だけど、『最小公倍数』というの覚えてる・・?」


  「ええ、覚えてますよ。

   ふたつの数が、最初に出会うときのことでしょう」


  「あああ、あ、そうなんだけど、

   ボクたちは、そんな言葉使いで話してきたんだけど、

   普通に言うと、ある数とある数の『倍数』のなかで、

   最小の数のこと、そうだったね」



  「ええ、そうですよ。

   2と3が、一番最初に出会うのは、6でしょう・・。

   2年ゼミと、3年ゼミは、偶然出会ったときから数えて、

   次に再会するのは、6年後でしょう。

   そのあとは、12年後、18年後、24年後、と

   『最小公倍数』の倍数の年に出会うのでしょう・・」


 ▼「すっ、すごい。

   言葉使いは変だけど、その通り。

  『倍数』の言葉の意味も正確だ、キツネくん」



  「オレ、マスターしました・・!」


  「うん、では、キツネくん。

   セミとしては、できるだけ、他の周期のセミと出会わないように

   するためには、この『最小公倍数』をできるだけ大きな数にすれば、

   他の周期ゼミと出会う間隔は、大きく広がって、次に出会うのは

   だいぶ飛んで、ずっとあとになる、という事だったね・・・」




 ▼「ああ、オレ、わかってきました・・。

   ナラトさんの言いたいこと・・」


  「えっ、そう・・。 もう、わかってくれた!」


  「6年ゼミと8年ゼミの場合だと、6と8は『素数』じゃなくて、

   『合成数』だから、2年ゼミと3年ゼミのように『素数』の
 
   セミのように、2×3=6で、6年後が『最小公倍数』になる、

   ちゅう具合には、いかんよ、ちゅうことでしょう・・」



  「うわぁ、すごい。

   すごい先読みじゃないか。まさに、その通りなんだ。


   ちょっと調べてみようじゃないか。

   6年ゼミの周期は、

   6、12、18、24、30、36、42、48、54、60・・


   一方、8年ゼミの周期は、

   8、16、24、32、40、48、56、64、72、80・・。


   すると、6年ゼミと8年ゼミの出会いは、一番最初は、

   24年後、ということになる。そして、そのあとは、24の倍数の年、

   24、48、72、・・
   
   と、なっていく。6年ゼミは60のあと、66、72、・・と周期は

   続くから、たしかに、72年後も、6年ゼミと8年ゼミは出会うことに

   なっている」


    
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             拡大図はこちら





 ▼「ナラトさん。

   2と3は『素数』やから、大きな『素数の表』で、横に、かけ算の

   式、書いてなかったけど、6と8は、『合成数』やから、

   下に、かけ算の式が書いてあったんと、ちがいます・・?」


       
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 ▼「ほんと、キツネくん。

   よくそこまで、『表』の意味を読みとったねー。

   6 = 2 × 3
   8 = 2 × 2 × 2

   と、なっているだろう。 そして、6と8には、ともに

   2という数が、かけ算の中に含まれている。


   だから、『最小公倍数』は、

     6 × 8 = 48  でなく、


   両方の『約数』の「 2 」 を 1個、省略して、


     48 ÷ 2 =  24


   になる。





 ▼「オレも気づいとったけど、

   2年ゼミと3年ゼミの場合は、2×3=6、で、6、が『最小公倍数』やけど、

   6年ゼミと8年ゼミの場合は、6×8=48、で、48、が『最小公倍数』に

   なるか、と思ったら、それは間違いで、その半分の、24が『最小公倍数』に

   なる、ということですね」



 ▼「その通り。

   つまり、6と8には、2という『約数』が含まれているので、

   その分、6と8の『最小公倍数』は小さくなってしまう、ということなんだ・・」



  「キツネくん。よく、わかったねー!!

   じゃあ、キツネくん。

   セミは、自分が『合成数』の周期のセミであるよりは、

   『素数』のセミであるほうが、きっと『最小公倍数』、つまり、

   他の周期のセミと出会う間隔を広げられる、と考えるだろう・・。


   『最小公倍数』を、より大きくするためには、自分が『素数』のセミである

   ということが、とても有利に働く・・。


   このことを、次の『表』で確かめてみよう・・」


     
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 ▼「キツネくん。

   6年ゼミと8年ゼミとの出会いと、5年セミと7年ゼミの出会いを

   比較してみよう。

   この組み合わせでは、6は5より大きく、8は7より大きい。

   従って、見かけのうえでは、6年周期×8年周期のほうが、

   出会いにくいように見える。


   しかし、実際はそうじゃないんだ」


  「ナラトさん。

   もう、オレ、だいぶ、わかってきましたよ。

    6 = 2 × 3
    8 = 2 × 2 × 2

   したがって、これは、さっきやったように、『最小公倍数数』は

    (2 × 3) × (2 × 2 × 2)

   とはならずに、両方にある「2」の1個を減らした、

    2 × 3 × 2 × 2 = 24

   となり、「24年」ごとに出会います。



 ▼「では、5年ゼミと7年ゼミの出会いは、どうなるのだろう、

   キツネくん」


  「それは、5も、7も、ともに『素数』ですから

   5 = 5 × 1
   7 = 7 × 1

  であり、『最小公倍数』は、「 5 × 7 = 35 」ですから、

  「35年」ごとに出会います。



 ▼「そう、その通り。上の『表』で、そのことを確かめてみよう。

   ちゃんと、そのようになっているね。


   このように、周期の数が大きいからといって、2つの周期の異なるセミが

   出会う周期が大きくはならず、その数が『素数』であれば、『素数』は約数を

   もたないので、かえって、『最小公倍数』は大きくなるんだ。


   これが『素数』の特徴なんだ」



 ▼「ナラトさん、それで、セミは『素数』が好きなんですね」

  
  「実際に『氷河期』を、北アメリカのレフュージアで生き延びたセミたちの

   仲間は、比較的に暖かな南方では、12年から15年かけて成虫になり、
   
   そして、12年ゼミ、13年ゼミ、14年ゼミ、15年ゼミとなった。


   また、北方では、14年から18年くらいかけて成虫なる、14年ゼミや

   15年ゼミ、16年ゼミ、17年ゼミ、18年ゼミ、というのがいた。


   地中で幼虫期を過ごすのも、大変なことで、あんまり長期に地中にいると

   カビや細菌にやられたり、体力保持ができなかったりして死んでしまう。

   だいたい18年くらいが地中で暮らす限界だったのではないか、と考えられている」



 ▼「ナラトさん、

   ナラトさんの言いたいこと、もうわかってます。


   南方の12年〜15年の周期のセミの中では『13年ゼミ』が生き残り、

   北方の14年〜18年の周期のセミの中では『17年ゼミ』が生き残った、

   というんでしょう。


   そして、12〜15の中では、「13」が『素数』であり、

   同じように、14〜18の中では、「17」が『素数』である、

   というんでしょう!」



 ▼「やだなー。結論を先回りして・・。

   でも、キツネくんのいう通りなのだ。


   まえに、こんな『絵』を見たね」

  
    
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 ▼「この『絵』は、北米のあるレフュージアに、

   15年ゼミ、16年ゼミ、17年ゼミ、18年ゼミ

   の、4つの異なった周期をもつセミが生き残ったとき、

   100年後、1000年後、1万年後に、
 
   それぞれのセミには、どんなことが起きるか、

   それを、描いたものなんだ。



   いっぺんに描くとややこしいので、

   『絵』は、15年ゼミと18年ゼミとの関係を、例として

   描いている」


   


 ▼「そして、注意してほしいのは、『絵』の左側の一番下に、

   『やがてどちらも絶滅してしまう』と書いてあるだろう。


   しかし、こうゆう風に言うためには、ほんとは、まだまだ

   確かめなければならない事が、いくつかあるんだ」



  「どんなことですか、それは?・・」





 ▼「15年ゼミと18年ゼミでは、すでに調べたように、

   15 = 3 × 5
   18 = 2 × 3 × 3

   と、両方に「3」という約数が1個入っているので、

   『最小公倍数』は、

     3 × 5 × 2 × 3 = 90

   となり、「90年」に1回、15年ゼミと18年ゼミは出会うことになる。

   それぞれのセミの周期を書いて、いつ周期が一致するか、その年を調べてもいい。


    15年ゼミ : 15、30、45、60、75、90、105、・・・
    18年ゼミ : 18、36、54、72、90、108、・・・

   確かに、『最小公倍数』は「90」で、90年ごとに出会う。



 ▼「しかし、これは、15年ゼミと18ゼミだけの関係であって、この

   レフュージアには、ほかにも、16年ゼミと17年ゼミがいる。


   したがって、他の周期のセミ(もう、これを周期ゼミと呼ぼう)との

   関係も考えなくてはならない。


   すると、組み合わせは、

    15年ゼミ と 16年ゼミ
    15年ゼミ と 17年ゼミ
    15年ゼミ と 18年ゼミ
    16年ゼミ と 17年ゼミ
    16年ゼミ と 18年ゼミ
    17年ゼミ と 18年ゼミ

   この、6つの組み合わせ、つまり、出会いがある。

   したがって、これらの組み合わせの周期ゼミの出会いの間隔、

   つまり、出会いの周期がどうなのか、も調べなくてはならないのだよ。



 ▼「さっき調べたのは、この6通りの組み合わせ、出会いのうちの

   15年ゼミ と 18年ゼミ  出会いの周期  「90」年

   という、ひとつの組み合わせの『出会いの周期』であった。


   では、キツネくん。

   次の『表』の、あと残り5つの、『出会い周期』はどうなるだろうか。

   
    15年ゼミ と 16年ゼミ  出会いの周期    ?
    15年ゼミ と 17年ゼミ  出会いの周期    ?
    15年ゼミ と 18年ゼミ  出会いの周期  「90」年
    16年ゼミ と 17年ゼミ  出会いの周期    ?
    16年ゼミ と 18年ゼミ  出会いの周期    ?
    17年ゼミ と 18年ゼミ  出会いの周期    ?


 ▼「ええ、また、オレが計算するんですか・・。

   なんか、だまし討ちみたいやけど、オレにも

   計算できそうー・・」


  「それはよかった。

   きょうが『最終回』と思っていたが、また

   終わらなかったね・・」



  「いいえ、ナラトさん。
   
   少しだけわかるようになったので、

   この『話』つづけても、苦にはなりません」



   ★★★  ★★★  ★★★  ★★★  ★★★

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