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2014年08月09日16:23

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【映画】 「ゴジラ」 (1984年、東宝)

週末は台風の影響で関東も雨らしい予報だったが、今日の午後から少し降り出してきた。そんな訳で、たまっていた未見の「ゴジラ」映画を自宅で観ることにした。

今日観たのは1984年の「ゴジラ」。ゴジラ第1作から30年、昭和シリーズ実質最後の「メカゴジラの逆襲」から9年振りの復活ということで、原点に帰りゴジラを人類に対する恐怖の存在として描いたものである。それまでの「ゴジラ対ナントカ」ではゴジラは人類の味方のヒーローになってしまって、子供の頃は面白かったかもしれないが、やはり違うのである。

いろいろと突っ込みどころはあるにせよ、予想したよりは良かった。ただ、何かが欠ける気がしたというのも正直な印象だ。その一番の要因は音楽だ。音楽が伊福部昭ではない! 他の「ゴジラ」シリーズでは、音楽を担当したのが他の人であっても、伊福部の「ゴジラのテーマ」などは使わているものもあるが、ここでは全く伊福部音楽が流れない。これは致命的なマイナスだ。

沢口靖子の演技も大根すぎて、どうにかならないのか...。
浮浪者役の武田鉄矢も味は出しているが、ストーリー的には必要ない役割だ。

沢口靖子の下手な歌(笑)が流れるカセットテープを聴きながらヨットで航行中、遭難した漁船を発見して船内に乗り込む若い記者。そこの展開がややホラー映画っぽい(?)が、ミイラ化した船員がいかにも作り物っぽくて笑ってしまう。巨大化したフナムシもなんだかちゃちな造形だ。この漁船に乗っていて1人生き残った学生が救助される。病院にて30年前のゴジラの写真を学生に見せる教授。漁船が遭遇したのはゴジラだと確信する。

政府から圧力がかかってゴジラの存在を報道することが禁止される。しかし、ソ連の原子力潜水艦が撃沈されて米ソの戦争に火が付きそうになるや、それを避けるためにゴジラの存在を公表することを即決断する首相。ソ連原潜はゴジラにやられたことが写真で明白だったのだ。この首相は格好いい。東京でゴジラに対して核攻撃をせよと迫る米ソの圧力にも屈せず、内閣総理大臣が自分自身の決断として、非核三原則を貫き断固拒否する。「米ソともゴジラ退治を大義名分にして日本国内で核ミサイルの実験をしたかっている」という統幕議長の言葉が、総理の核使用拒否の決断の決め手となったようだ。

「安全な核兵器など有り得えない。非核三原則が日本のエゴイズムだというなら、核を使いたがるのはアメリカとソ連のエゴイズムだ。もしゴジラが貴国に現れても、ワシントンやモスクワで、ためらわずに核兵器を使用できますか。」 格好いいね。

他にも毅然とした態度で自ら決断して指示する場面が多い。現実の総理はどうか知らんが、この映画の総理は素晴らしい。

銀座や有楽町を破壊する場面は30年前の「ゴジラ」を彷彿させる。こんな時でも新幹線は動いているのね(笑)。ゴジラはそこから永田町を経由して新宿に向かう。

ソ連は誤って新宿にいるゴジラを目がけて核ミサイルを発射してしまい、それを日本の首相の依頼により、嘉手納基地から飛び立った米国の迎撃ミサイルで空中で爆発させることに成功する。(現実世界では、この映画の少しあとで、米ソ冷戦が終結に向かい、1991年にソ連が崩壊する。)

ゴジラを「生きた原子炉」ととらえて、核物質の活動を抑止するカドミウム弾で倒そうとする自衛隊側に対し、あくまでも生物ととらえて、帰巣本能を利用して大島三原山に誘い込もうとする学者側。首相はどちらのやり方も並行して進めるよう指示する。結局どちらも効果はあった訳で、「スーパーX」の放ったカドミウム弾でゴジラは一時昏倒する。昏倒した新宿のゴジラが、ソ連の核ミサイルの成層圏での爆発で発生した電磁波の衝撃を受けて目覚めると、三原山から発した超音波に誘導されて三原山へ向かう。ここで人工的に噴火を起こした火口にゴジラを沈めることに成功する。(この2年後に本当に三原山は噴火してしまった。)

最後にゴジラが三原山に沈んだ映像を見て涙を流す首相。たとえ人類に害を与える怪獣といえども、自らの命令により一つの命を奪ったことに対する鎮魂の思いか。この映画の主役は内閣総理大臣かもしれない。
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