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2014年06月08日18:18

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【映画】 宇宙大怪獣ドゴラ (1964、東宝)

木曜日から日曜日までずっと雨続きで気が滅入る。
土日も出かける気分になれず、家でのんびり過ごすことにして映画を観た。

今日観たのは『宇宙大怪獣ドゴラ』 (1964年、東宝)だ。

東宝怪獣映画では、この映画を最後に、単独の怪獣ではなく、ゴジラ+他の怪獣のシリーズとなる。

タイトルから想像して、キングギドラのような凶悪な宇宙怪獣が現れて地上を破壊しまくるのかと思えば、実は全く違うのである。

そもそも怪獣らしい姿がはっきりとは現れないし、地上の建造物もほとんど壊さない。
展開もコミカルな部分もあり、他の怪獣映画とは趣が違う。

冒頭の宇宙のシーンは、何やらわくわくさせるような雰囲気はあるのだが...

人工衛星が日本上空で消失するという事件が起こる。
また、各国の宝石店からダイヤモンドが盗まれる事件も頻発する。

深夜の銀座の宝石店前で車を止めている浜子(若林映子)が何やら怪しい雰囲気。
警察をうまくあしらうが、実は宝石強盗団の一味で見張り役だったのだ。
強盗団は宝石店を襲うが、得体のしれない不思議な力で妨害されて失敗する。

ダイヤモンドを研究する宗方博士(中村伸郎)宅に現れた駒井刑事(夏木陽介)と、マークと名乗る謎の外国人(ダン・ユマ)。

刑事は、マークを強盗団の仲間で、一連の宝石強盗事件に関係があるとみている。
強盗団は、世界各国の一連の宝石強盗はマークの仕業と思っている。

マークは博士宅からダイヤを奪い、宝石ブローカーと自称して強盗団の事務所に乗り込む。
しかし、実はそれは博士が研究していた人造ダイヤであった。

何やらストーリーが複雑に絡まってきた。
怪獣映画というよりは刑事ドラマのようだ。

強盗団は横浜港から山梨の工場に運ばれるダイヤの原石を強奪することを計画する。

宗方博士の秘書をしている昌代(藤山陽子)の兄の桐野(小泉博)は、電波実験所に勤めていて、怪しい現象を調査している。

ダイヤ輸送車を計画通り襲撃した強盗団。浜子が道に倒れて車を止めさせ、その隙にダイヤを奪い取るという古典的(?)手段で強奪に成功する。

そこにたまたま通りかかった石炭輸送のトラックが、空中に吸い上げられるという現象が起きる。

マークは実はダイヤGメンであった。

どうやら一連の宝石強盗はこの強盗団の仕業ではなく、もっと大きな力によるもののようだ。
マークは、強盗団を「あんな連中はいつでもアウトに出来る」という。
確かにちょっと間抜けな強盗団のようだ。

宗方博士らの調査によって、この不可解な事件は、放射能により突然変異した宇宙細胞の仕業だと判明する。日本上空は放射能の吹き溜まりになっていたのだ。
(「日本上空は放射能の吹き溜まり」とはちょっと重い内容だが、この現象が判明する経緯の説明がなく、唐突すぎる印象。)

そして、炭素をエネルギー源としているため、地上の炭素を吸収しているのだ。すなわち、石炭やダイヤである。

この宇宙細胞は「ドゴラ」と命名される。

炭田のある北九州地区が危険とのことで、北九州への旅行は避けるよう警戒情報が出される。
しかし、博士と昌代は九州に乗り込むことにする。

「万が一のことがあっては」と止めようとする桐野だが、「その万に一つが学者にとってはチャンスなんだよ」と返す。この言葉は説得力あるなあ。

九州行きは寝台特急「さくら」。この時代は飛行機よりも列車が一般的だったんだな。
FE60+20系のブルートレイン「さくら」、懐かしい。

マークも強盗団の浜子も、なぜか同じ列車で九州へ。

駒井刑事はあることに気付く。
炭素を吸い上げる宇宙細胞が、石炭を積んだトラックは襲ったのに、同じ場所にあったダイヤ輸送車は襲わなかった。つまり、ダイヤ輸送車にはダイヤはなかったのだ。

実際、それは氷砂糖で、強盗団はまんまと一杯食わされた訳だ。
では、本物のダイヤはどこに?

そんな中、北九州に「ドゴラ」が現れる。
クラゲのような浮遊物体が姿を見せ、これが「宇宙大怪獣ドゴラ」という訳だ。

ドゴラが唯一破壊した建造物は橋(たぶん若戸大橋)だけだ。
あとは石炭を吸い上げるだけ。

そして、突然岩石の塊が降ってくる。

自衛隊による攻撃でドゴラは死滅したかに見えた。
しかし、博士の見解は「死滅したのではなく細胞分裂しただけだ」という。
そのとおり、ますまず増殖して現れた。

電波実験所では、ドゴラの音とは違う、虫の大群が飛んでいるような音を捉える。
これはハチの大群と判明する。

巣を奪われたハチがドゴラを襲ったのだった。
ここで博士の見解は、ハチの毒素でドゴラが化学変化を起こしたという。
その結果、無害な岩石の塊になって落ちてきたのだ。
(これも単なる推測なのにあっさりと結論。「科学的裏付けがなされておらん」と突っ込みたくなる)

そうと分かれば退治方法はたやすい。
ハチの毒素を合成し、ドゴラに放射することで解決した。

一方、宝石強盗団は、マークからダイヤの隠し場所である貸金庫の鍵を奪い、浜子とサブ(加藤春哉)が取りに行った。しかし、浜子は仲間を裏切りダイヤを独り占めして逃走する。
それを知った強盗団は浜子を追いかける。マークと駒井は縛ってダイナマイトを仕掛けていく。

マークと駒井は(もちろん)脱出に成功し、浜辺で強盗団と銃撃戦となる。
仲間を裏切った浜子はボスに射殺される。
強盗団一味には、岩石化したドゴラの大きな塊が空から都合よく降ってきて、その下敷きになりお陀仏。

めでたしめでたし、という訳だ。

最後は、飛行場でのマークの帰国と博士の国連会議への出発の場面。

本物のダイヤなどはじめからなく、全てはマークによる囮捜査であったという。
また、博士の会議出席目的は、「宇宙細胞の平和利用について一席ぶつ」こと。
石炭に代わる新しいエネルギー源としての宇宙細胞の利用だろうか。
平成の現在にもつながるような、余韻を残すラストである。

伊福部昭の音楽も、「ドゴラ」ではちょっと他の映画ではない作りをしている。
ミュージカル・ソーを用いて、空中に漂う得体の知れない物体の雰囲気を作っている。
地上をノシノシ歩き回る怪獣の音楽とは違う訳だ。
ハチの毒素合成作業の場面での、ハチの大群を思わせるような(?)音楽も面白い。

その後のゴジラシリーズでもたぶんドゴラは登場しないし、内容も他の怪獣映画とはテイストが違う作品ながら、つっこみどころ満載で(?)楽しめる映画である。
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