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2014年04月13日20:40

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【音楽】 アイノラ交響楽団演奏会 (シベリウス)

アイノラ交響楽団の定期演奏会に行ってきた。

アイノラ交響楽団はシベリウスの作品を演奏するために結成された東京のアマオケで、今回は第11回の定期演奏会だ。最近はほぼ毎年聴きに行っている。

本日のプログラムは次のとおりである。

・シベリウス:組曲「歴史的情景」第1番
・シベリウス:組曲「歴史的情景」第2番
・シベリウス:音詩「大洋の女神」
・シベリウス:交響曲第1番

  指揮:新田ユリ
  会場:杉並公会堂 大ホール

シベリウスの作品の根底にあるのは祖国愛だろうが、今日のプログラムは特にそれがよく表れた作品ではないだろうか。

最初の「歴史的情景」は、それぞれ3曲から成る2つの組曲で、フィンランドの情景を、神話の時代から現代までを描いた音楽である。フィンランドの歴史は被支配の歴史でもあり、1917年のロシア帝国の崩壊とともに初めてフィン人の国として独立を果たすまで、長い年月を要したのである。シベリウスがこの「歴史的情景」を作った時はまだロシアの支配下にあった。フィン人の民族独立の気運が高まると、ロシアはフィン人の自治権を剥奪しフォンランド語の使用を禁止した。これに対抗する形で開催された「愛国歴史劇」に付けた音楽が、この「歴史的情景」組曲のベースになっているのである。

「解説」が長くなったが、そんな訳で、シベリウスの祖国愛に満ちた音楽を、これまたシベリウス愛に満ちたオケによる演奏で堪能することが出来た訳である。太古の神話時代を描いた「序曲」は、最初の音を聴いた瞬間にシベリウスだと分かる。17世紀の30年戦争を描いたという「情景」は途中から激しく盛り上がり、16世紀のトゥルク城内を描いたという「祝祭」は、優雅で華やかな雰囲気だ。まずは良い感じに始まった。

第2組曲は、歴史というよりもフィンランドの情景そのものを描写した音楽。「狩」、「愛の歌」、「跳ね橋にて」の3曲だ。第2組曲は要所で現れるフルートが大変素晴らしく、聴いていて心地よかった。

続いては、「大洋女神」(「波の乙女」ともいう)だ。ギリシャ神話に登場する「オーケアニデス」である。生涯ただ一度の大西洋横断航海でアメリカに行ったシベリウスだが、その時の演奏会のために作曲した曲である。まさに大洋女神に導かれるように海を渡って行ったのであろう。そんな情景を思い浮かべながら聴いていた。これもフルートが良かったね。

後半は交響曲第1番だ。後半の番号の交響曲とはやや趣が違い、先人の作曲家の影響を受けつつも自らの音楽を模索しているような作品とも言えるようだが、すでにシベリウスの魅力を、やや荒削りながらも感じられる曲だと思うし、やはり好きな曲である。すっかり耳に馴染んでいるはずの交響曲だが、何度聴いても良い曲の1つだ。

アンコール曲は、祖国愛のプログラム(?)だからということか、「フィンランディア」を演奏してくれた。続いて、このオケの定演でお馴染みの「アンダンテ・フェスティーヴォ」と、今日は2曲の大サービスであった。

シベリウスに思い入れの強い人たちが集まってシベリウスを演奏している訳だから安心して聴ける。(若干の乱れなど)細かい所を気にすればキリがないが、シベリウスの作品そのものを楽しむことが出来る演奏会である。今日も満足の演奏会であった。

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