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2013年03月19日16:50

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桂枝雀 落語『八五郎坊主』『住吉駕籠』

DVD<枝雀落語大全>第5集の演題は『八五郎坊主』と『住吉駕籠』。

『八五郎坊主』…MBSミリカホール「笑いころげてたっぷり枝雀」のライブ収録、1983(昭和58)年9/11放送。

ふらふら遊んでばかりきた八五郎という元気で賑やかな男が、人に言われて、寺の住職にでもなろうかと、勝手な発念をする。
この男のいちびり振りが、大きな寺の本物の住職の落ち着きと比較され、その落差が誠に面白い。急と緩、ハイ&ロー、このテンポの差で一気に引っ張っていく枝雀のリズムの良さ。

意外だが、上方落語には秋の季節感を出すような噺は少ないようで、この日は9/11の公演、秋のさわやかな風情を少しでも感じてもらおうという演題選択であったろう。
寺の目印は大きな銀杏の木、大門を入ると境内には人影もない、片方には釣鐘堂、正面には石畳で敷き詰められた道がある、その左右にはケイトウの真っ赤な花が並んで咲いている、と、見事な秋の季節表現。
そこを、件のいちびり男が、坊主にしてもらおうと、紹介状を胸に入っていく。
ここでも、男のから元気ないちびり振りと、秋の寺の森閑とした様子とが、くっきりとした比較を見せる。
庫裏の入口から奥に声を掛けると、
こんちわ〜
 (こんちわ〜)
ごめ〜ん
 (ごめ〜ん)
と、かっこ内は、こだまの返答である。
男がこだま相手にもひとくさりいちびるのは言う迄もない。

住職は心得たもので、まずは気が変わらぬ内と、早速に頭を剃り上げてしまう。
男は、青い頭を秋風に吹かれながら、紹介状を書いてくれた人物にお礼参り。
頭の涼しくなった男が「チョンコ節」を大声で歌いながら、初めて着た坊主独特の長い着物の裾を尻からげしながら元気に歩く。
このアンバランスの可笑しさ。


『住吉駕籠』…東京・国立劇場にて収録のTBS「落語特選会」、1992(平成4)年10/26放送。
 
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