mixiユーザー(id:3341406)

2013年03月18日20:14

372 view

2つのピアノトリオ演奏会from<クラシック倶楽部>

3/8(金)のNHK-BS<クラシック倶楽部>で放映された、2つのピアノトリオ演奏会を聴いた。
1つは、「ウィーン・フィルハーモニア・ピアノトリオ」。
2つ目は、トリオの名前は付けていないようで、3人の演奏者の名を連ねて、そのままトリオの名称にしている。「川久保賜紀・遠藤真理・三浦友理枝トリオ」である。

(1.)
2012年11/22、横浜フィリアホールでの演奏会ライブ収録より。

トリオを構成するメンバーは、以下の通り。

ヴァイオリン(vn) ウェルナー・ヒンク
・・・元ウィーンフィル、コンサートマスター
チェロ(vc) フリッツ・ドレシャル
・・・現ウィーンフィル、チェロ首席
ピアノ(p) ジャスミンカ・スタンチュール

採り上げられた曲は、W・A・モーツァルト(1767-91)、ピアノ三重奏曲ホ長調K.542。第4番と言われたり第5番と言われたりもする。
1788年完成、自身としても愛着が濃かった作品のようだ。

3楽章制の、極めて均整のとれた古典のピアノ三重奏曲。ピアノが中心的にフィーチャーされていて、協奏曲的な色彩もある。
ウィーン古典派は、このトリオにとって自家薬籠中のものだろう。
気持ちのいい、整然とした演奏である。ただ、ウェルナー・ヒンクは今年70歳になる計算だが、技術的にはお歳を召した感がある。
第2楽章はアンダンテ・グラツィオーソの歌謡と変奏の楽章で、モーツァルトらしい転調に満ちて、心地好い。

(2.)
2011年7/20、新潟県長岡市長岡リリックホールのコンサートホールでの公演より。

メンバーは、トリオの名前通り。
それぞれ各賞を受賞してきた若手ソリストで、生年からすると、中心の川久保(vn)が今年42歳、遠藤(vc)31歳、三浦(p)32歳という計算になる。2009年にこのトリオを結成し、共演活動を続けている。

演奏曲は、アントニン・ドポルザーク(1841-1904)が1891年に完成させたピアノ三重奏曲第4番ホ短調op.90『ドゥムキー』。
「ドゥムキー」というのは、スラブ民謡「ドゥムカ」の複数形。ウクライナ起源の憂鬱な叙事的歌謡。
また、同語がチェコ語で「回想」とか「瞑想」を意味するとの説もあるが、ドポルザークが曲に付した意味ははっきりしない。

6つの楽章によってなっているけれども、各楽章とも形式的なまとまりはなく自由で、全体としても、主題やモチーフで貫くものもなく、調性もテンポもバラバラ、キャラクターピースによる組曲というように捉えていいかもしれない。但し、それぞれ標題を持っている訳でもない。
ともかく、スラブ的な愁いと憂鬱な気分、物悲しさを持つ旋律に富み、人気のある曲ではある。
各楽章とも、大筋、緩急緩急の、歌謡と舞踊という構成で、歌謡部分では、チェロが楽章の気分をリードして醸し出している。
チェロを演奏する遠藤真理は、音楽をより大きく捉えようとする姿勢があって、ドポルザーク独特の歌を雄大に歌わせている。今後期待したいチェリストだと思った。
 
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2013年03月>
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31