あの日から1年...
まだ復興には道のりは長そうだけれど、日本人という民族は過去に何度も災いを乗り越えてきて、世界に誇れる素晴らしい国を作り上げてきたのだ。
明るい兆しは見えている。さあ、前に向かって進もう。
今日3月11日という日にたまたま行った演奏会は、いつもとは違う特別なものになりそうだ。
◎オーケストラ・ダスビダーニャ 第19回定期演奏会
・伊福部昭:管絃楽のための「日本組曲」
・ショスタコーヴィチ:交響曲第7番「レニングラード」
指揮:長田雅人
会場:すみだトリフォニー
伊福部昭の「日本組曲」は、「盆踊」、「七夕」、「演伶(ながし)」、「佞武多」の4曲からなる。いわゆる「西洋の伝統」とは異なる伊福部節で、まさに「日本」を音にしたもの。この曲を聴いていて、東北地方をはじめ日本の色々な風景が浮かんできて、不覚にも涙が出てきてしまった。いつも、「日本のお祭りだ〜!」と何気なく聴いていた曲だ、まさか涙を誘うとは...
休憩のあとで、ちょうど14:46。
ステージ上、客席、スタッフみんなで1分間の黙祷。
こんな形になってしまったが、1年前犠牲になった方々の冥福をお祈りする。
ショスタコーヴィチの7番も今日はいつもと違った。第1楽章の例のところが、津波がだんだん襲って来るように聞こえてしまう。普段は、「チ〜チ〜ンプイプイを大真面目に演奏して、それが却って笑える」みたいに聞いているような不真面目な(?)鑑賞も、津波を連想した瞬間、1年前テレビで何度か見たあの映像がよみがえり、ここでも涙が...
第2楽章では不安に駆られる人々の思い、第3楽章では失った故郷への祈り、そして第4楽章では復興へ向かう明るいきざし、今日はそんな風に聞こえた。
いつも演奏の批評や分析をするために演奏会に行っている訳ではないが、今日は特にその思いが強い。だから多くは書かないことにする。
さまざまな思いがよぎり涙した、それで十分だ。
アンコールは最初何の曲か分からなかった。明らかにショスタコーヴィッチと思うのだが、と思っていたら、弦楽四重奏曲第1番第4楽章を団員の方が管弦楽に編曲したものだという。「春のあしおと」と題した編曲版は、なるほど今日に相応しい。
アンコールはもう1曲。外山雄三の「管弦楽のためのラプソディー」だ。日本の有名な旋律を盛り込んだ曲で、最後は八木節で盛り上がる。
「日本は元気だ! がんばろう!」
全ての演奏が終了し指揮者がステージを去る時、指揮台に「日の丸」を残していった。またここで感動の涙が...
今日は、こんな演奏会だった。
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