オーケストラ・ナデージダの第7回定期演奏会に行ってきた。
すっかりお馴染みの(?)オケとなったが、今日のプログラムは次のとおりである。
・グリエール:ハープ協奏曲
・ボリス・チャイコフスキー:クラリネット協奏曲
・ミャスコフスキー:交響曲第5番
指揮:渡辺新
ハープ:津野田圭
クラリネット:ジョン・ヒクソン
(会場:渋谷大和田さくらホール)
グリエールのハープ協奏曲は美しい曲で、もともと大好きな曲である。そもそも、ハープの曲というのは、大抵こんなイメージだと勝手に思っている。すなわち、「緑豊かな静かな湖畔で、清楚な乙女が奏でる天上の響き」。
グリエールの協奏曲もそんなイメージにぴったりで、聴いて幸せな気分になれる曲で、この時代のロシア/ソ連の作曲家の作品には珍しいのではないか。
本日の演奏も、そんな期待を裏切らない素晴らしい演奏で、聴きながらまさに天国にいるような気分になってくる。ハープの音って、本当にきれいなんだよね。うっとりと聴き惚れて、至福の時を過ごした。
続いて、ボリス・チャイコフスキーのクラリネット協奏曲。1回の演奏会で、ソリストが違う別の協奏曲を2曲も聴けるとは、なんという贅沢!
実はこの曲に限らず、ボリスの作品はほとんど知らない。クラリネット協奏曲もどんな曲なのか、今日初めて聴くのである。でも、こういう形での未知の作品との出会いもまたよろしい。オケは弦楽合奏+トランペット+ティンパニというちょっと変わった構成だ。
さて、曲が始まってみると、これが結構面白い曲なのだ。クラリネットの楽しげなメロディー! (1〜2ヶ所おや?というところもあったが)ヒクソンのクラリネットも軽やかに響き、こんな楽しい曲を今まで知らずにいたとは、と思ってしまったくらいだ。
いわゆる「有名曲」以外でも、そこそこ聴いているつもりだが、まだまだ知らない良い曲がたくさんあるのだなと実感してしまう。気に入ったので、CDを探してみよう。
休憩のあとは、本日のメインプログラムである、ミャスコフスキーの交響曲第5番。ミャスコの交響曲は27曲とも一通り聴いたが、どれも悪くはないけれど分かりにくいというか、決め手になるものがないというか、要するにまだまだ理解しているとは言い難い状態である。そんな中で、比較的聴きやすいと思ったのが第5番である。最初にCDで聴いた時も、わりと明るく穏やかな曲だという印象を持った。
今日の生演奏で久しぶりにじっくりと聴いてみると、これは予想外に良い曲なのではないか、という気がした。これは大きな収穫だ。ミャスコフスキーにもっと親しもう、こんなに良い曲なんだよということを教えてくれた演奏でもあった。(これは、ナデージダの方が期待するとおりの結果ですね。)
さて、盛大な拍手のあと、指揮者の渡辺さんが挨拶。
「今日のプログラムにあったボリス・チャイコフスキーを、あのピョートル・チャイコフスキーと間違えて来た人もいるかも知れないので」ということで、アンコール曲はそのP.チャイコフスキーの曲をやるという。白鳥か胡桃割から何かやるのかと思っていたら、演奏したのはなんと交響曲第6番「悲愴」! もちろん全曲通してではなく第3楽章だけだが、これは予想外のアンコールだった。なかなか楽しいことをしてくれる。冒頭ちょっと金管が乱れたところがあったけど、そこはご愛嬌。第3楽章が盛り上がったまま終わり、再び盛大な拍手。このあと続けて第4楽章をやったらどうしようかと思ったが、その心配はなかった。
今日の演奏会も楽しんで聴くことが出来た。一般的にはマイナーな作品だれど、このオケで取り上げるのはどれも実は良い曲なんだよということを伝えるのが使命と心得ているようだが、今日のはまさにその目的が果たせたのではないだろうか。
今日も満足の演奏会だった。
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