mixiユーザー(id:12784286)

2011年11月20日20:06

10 view

【歌劇】 黛敏郎 オペラ「古事記」鑑賞

本日はオペラの鑑賞のため、上野の東京文化会館へ行った。

黛敏郎のオペラ「古事記」である。
東京文化会館50周年記念の一環であるが、この「古事記」は、日本ではコンサート形式で1回上演されたのみで、舞台上演は今回が日本初演となる。

そもそも、私自身もオペラは「食わず嫌い」もあって、最近まではほとんど守備範囲外だったし、黛の作品にしても交響詩「立山」がちょっといいかな、くらいの作曲家で、とても積極的に聴いているとは言い難い。

こんな状態で、黛のオペラを観に行きたくなったことは自分でも不思議だったが...。

・管弦楽:大友直人指揮 東京都交響楽団
・演出:岩田達宗
・主な配役:
 イザナギ−甲斐栄次郎
 イザナミ−福原寿美枝
 スサノヲ−高橋淳
 アマテラス−浜田理恵
 オモイカネ−妻屋秀和
 アシナヅチ−久保田真澄
 クシナダ−天羽明恵
          他
・新国立劇場合唱団/日本オペラ協会合唱団
・会場:東京文化会館

もちろん、今回全く初めて聴く/観る作品であるが、「古事記」自体は日本人で知らない人はいない物語だし、ストーリーもよく分かっているので安心だ。

全4幕からなるが、まずは語り部が登場し、神秘的な音楽に始まる。古事記冒頭の「天地初めて發けし時」だ。イザナギ、イザナミの登場から「国生み」、「黄泉の国」、そしてアマテラス、ツキヨミ、スサノヲの誕生までだ。全体に暗めな舞台が、アマテラスが登場した瞬間にパッと明るくなるなど、照明のちょっとした演出もなかなかうまい。

第2幕は、スサノヲの乱暴狼藉と、それによるアマテラスの「岩戸隠れ」、そして神々が集い、オモイカネの考えにより、再びアマテラスが姿を見せるまで。アマノウズメの踊りが楽しげで、まさに「高天の原動みて八百萬の神共に咲ひき」だ。踊りの場面は、歌はなく踊りだけがしばらく続き、ちょっと「サロメ」みたい? (でも少し短め? もう少し長くてもいいような気がした。) なお「胸乳をかき出で裳緒を陰に押し垂れき」は無いので、変な期待はしないように(笑)。

第3幕は、スサノヲが中つ国に降りてクシナダと出会い、八岐大蛇を退治する場面。おろちの張りぼてでも登場するのかと思ったら、そのようなものは出て来ない。合唱によって歌われるオロチ退治の場面を聴きながら観客がイメージするものだ。これに限らず、派手な演出もほとんどなく、「古事記」ならみんな知ってるよね、ということを前提に、音楽によってイメージしてくださいという作り方で好ましい。

第4幕は10分程度と短く、やや強引に(?)「天孫降臨」まで持ってってしまった感じだが、古事記のエッセンスを「国生み」から「天孫降臨」までストーリーにしたのがこのオペラなのである。

ちなみに上演はドイツ語。日本人が、まさに日本そのものの話を歌劇にしたのに、ドイツ語で作られているのだ。これは、日本の起源というよりも、世界の神話の持つ普遍性を表現したかったからだという。もちろん「字幕」付き上演だったが、字幕無しでも「古事記」を知っていれば、舞台を見れば現在どのようなストーリーが展開しているのか大体わかる。


正直、こんなに面白く素晴らしい作品だとは予想していなかった。おそらく今後も上演される機会は少ないと思われるので、今日は貴重な時間だった。(カメラが入っていたらしいから、そのうち放送されるかも??)

今日の「古事記」をきっかけに黛作品ももっと聴かなくてはいけないな。あと、オペラもたまにはいいかなと思っている。(「食わず嫌い」解消?)
4 5

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2011年11月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930