mixiユーザー(id:2230131)

2010年02月26日00:02

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Gantz Graf

いいかげんラブ・ソング特集にも飽きてきました。
というか、いい歳こいた大人の男が愛だ恋だと真面目に語ってるのは滑稽だし、このへんで歌詞の内容からも離れたくなってきた。
で、どうせならラブ・ソングとはまるっきり正反対なものを挙げたい。

言わずもがなラブ・ソングとは、人間の「とある感情」にフォーカスした、言わば文学的な表現である。なのでその逆は、「一切の感情を介在しない無機的な音楽」ということになる。
そこで僕が思い浮かべるのは、現代音楽におけるミュージック・コンクレートと、電子音楽におけるエレクトロニカやIDMというタームである。
というわけで、今回は後者でいってみます。(単に現代音楽に詳しくないからだけど)

「エレクトロニカ/IDM」に分類されるアーティストの多くは、それぞれ音楽性は異なれど、楽曲にまつわる「意味」や「意図」を徹底的に排し、「匿名性」を重視するという点において、どこか共通するアティテュードがあった。彼らの音には、従来までのポップ・スターへの偶像崇拝、あるいはそれに付随するリスナーの過剰な意味付けに対する痛烈なアンチテーゼを内包していた。ともあれ、そうした極端なスタンスは、付加価値に左右されない純粋な“音楽”であろうとする彼らなりのピュアリズムの表れだったのかもしれない。

オウテカは、そんなエレクトロニカのシーンを代表するアーティストである。
幾何学模様を模したアートワーク、あるいは『LP5』や『EP7』なんていう身も蓋もないアルバム・タイトルからも分かる通り、彼らもまた「何事も象徴しないし、何者も模倣しない」というスタンスを徹底していた。

今回紹介する曲は、オウテカでも有名な曲の一つにあたるんじゃないだろうか。
金属音がランダムに掻き回されるように連打される、まさにエレクトロニカを象徴するような、複雑極まりないミクロな分子構造を持ったテクノである。

正直、この手の音に接したことがない人にとっては、ただただ混乱させられるに違いない。だが、この曲に一定のグルーヴを捉えることさえできれば、ひたすら興奮せずにはいられないアッパーなダンス・トラックに聴こえてくるだろう。もっとも、前半こそわかりやすいをグルーヴを維持するものの、リズムの法則性は除々に崩れていくので、3分以降のアブストラクトな展開はさすがに俺もまいっちんぐだけど…。(笑)

これを聴くと、普段我々が接しているダンス・ミュージックと呼ばれるものが、いかに行儀よくビートが配置されているか思い知るだろう。そして、我々がいかに既成の音楽理論に飼い慣らされてしまっているか、という事実にも。

リリシズムばかり垂れ流すラブ・ソングに飽き飽きした人は、“ガンツ・グラフ”を聴いて既成概念をぶっ飛ばしてしまうがいい。俺も今からぶっ飛びます。ビィーン。


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