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2006年03月15日00:13

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●寄り道ついで (77)/■家の中(2)

■愛情問題

 ●我が家で夫婦喧嘩は、だいたいが「愛情問題」だった。
  カネはなかったし困ることもあったが、これでケンカすることは
  ありがたいことに、あまりなかった。

  我が家の「愛情問題」とは、浮気や不倫のことでなく、もっと
  基本的なことで、自分が「愛しいてるのか、愛されているのか」
  ということだった。



 ●結婚する前に、私は「好きだ」とは言えたが、「愛している」と
  言えなかった。「愛している」というのが、どんな気持ちで
  どんな心の状態を言うのか、また、その延長としてどんな行為に
  つながるのか、それが実感としてよくわからなかった。


  「世の中に多くの女性がおり、その中であなたが一番すばらしい
   というのではなく、たとえ、もっとすばらしい人がいたとしても
   僕はいつわりなく、きみが好きだと言える」


  みたいなことを、私は言った。



 ●私が結婚することを知って、御用聞きでまわっている家の奥さんが
  私に言った。

  「あのね、結婚したら奥さんに、やさしい言葉をかけてやりなさい。
   ご飯がおいしかったら、おいしいと。親切にしてもらったら、
   ありがとうと。そんな、一言が大切よ。それと、疲れているときは
   いたわること。どちらも疲れることは、あるんだから」



  もう50歳を超えていたか。ふっくらとした色白でおとなしい
  感じの、いつも和服ででてくるその奥さんは、私への餞として
  そう言った。それは、そんな風に自分たちがやってきた、というように
  聞こえた。



 ●その奥さん言がったことは覚えていても、私はそのように
  できなかった。

  できないというより、「感謝する」とか「いたわる」とか、
  そんな心持をまだ、十分には持ち合わせていなかった。


  男にもいろいろあって、やさしい男もいるかと思うが、概して
  男のほうが、こんな心根に欠けるように思う。



  ひとのことはどうでもいいのであって、私の場合、ただ
  「好き」を連発するばかりで、「いとおしさ」「かれんさ」
  みたいなものを感じても、それが「感謝」や「いたわり」には
  つながらず、愛情とは互いに「好き」関係みたいに勘違いしている
  ようだった。



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