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2019年02月17日18:14

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若者の自己顕示欲とSNS

 若いアルバイトの店員が、業務中に不適切な行為を自らネット上にアップする「炎上」が相次いでいる。これについては、企業に与えた損害に対する責任を負うべきとする意見もあれば、安い賃金で働かせている労働環境にこそ問題という見方などあった。

 私は、不適切な行為を自分たちの手でネットに公開する「自爆」行為を行っているのが、専ら若者たちという点に目が向く。多かれ少なかれ、若いうちは誰かに認められたいとか、有名になりたいといった自己顕示欲が強い。いまやスマホが当たり前になり、SNSを通じて簡単に動画を上げられるようになっている環境が、若者たちの欲望を必要以上に満たし、拡散させている、というのが騒動の背景にはありそうだ。

 少し整理すると、若者は自己顕示欲が旺盛であるという条件があり、そこにスマホとSNSの普及という条件が加わる。これが「反応」することによって、当人が想定しないほどの問題となりやすい、ということだ。

 大人たちの不適切行為というのは、本人以外がネット上に動画を公開するなどして発覚することはあっても、自分でそれをやってしまうということはほとんどない。それは労働環境というよりも、職場や家庭があり、体面を保たなければ生活が成り立たないからということもあるだろう。大人にとって悪いことは隠れてするものである。

 今回の若者たちは、ちょっとした「いたずら」のつもりだったんだろうし、知人レベルの範囲で「バカなことやってるな」と笑ってくれるくらいの反応を期待していたに違いない。
 インターネットの「炎上」は、それこそダイヤルアップ時代(90年代後半)から起きてはいたけれど、ネット環境が大幅に更新されたことで、炎上するのはあっという間、けれども鎮火させるコストは膨大という状態になった。ほんの「いたずら」が、企業イメージのダウンにまでつながるなんて、やっている本人は想像できないだろう。

 同じことは不適切行為だけに限らない。たとえば、徒歩で日本一周とか、ヒッチハイクで大陸横断といったものを「みんなに勇気を与えたい」みたいな言葉で配信しようとするような心理も似たところがある。日本を一周したいならそうすればいいのだけれど、その行為によって注目されたいという自己顕示欲があって、それを手ごろに実現させるツールとしてSNSが利用されているからだ。

 自己顕示欲とどう付き合っていくか。これは理屈だけではなくて、失敗を経験しながら距離感を見出していくものであろう。しかし怖いもの知らずだと、気軽にSNSを利用しがちで、ちょっとした失敗どころか、その蛮行が一気に拡散され、大きな責任を負わされることにもなりかねない。これ自体は気の毒だとも思う。

 こうした騒動の防止には、自己顕示欲を満足させるために不用意なネット利用をしないといった若者たちへの指導はもちろんなのだけれど、同じように受け手側にも求められる姿勢がある。
 私たちが週刊誌のネタなどを職場や身近な人に話すのと同じようなノリで、SNSを利用する。しかしそれは、自己顕示欲を抑えられない若者と同じく、SNSが手軽だけれど恐るべき拡散機能をもつツールだということを軽視している。それが企業イメージを著しく損なうものであれば、企業側とて火消しに対応せざるを得ず、問題も責任もさらに大きくなるという悪循環が起きる。

 こういうことが重なると、ネット規制を求める声も高まってくるに違いない。それを防ぐためには情報の発信と受信それぞれの立場において、自制が求められる。不適切行為が「原因」であったとしても、騒動にまで発展した背景にSNSというツールと、それを利用する人たちの意識が齟齬をきたしていた意味を、私たちは自分のこととして考えなければいけない。

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■大炎上のバイトテロ騒動! 辛酸なめ子と考える「不適切動画を拡散する者の正体」
(週刊女性PRIME - 02月17日 13:00)
https://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=235&from=diary&id=5501763
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