鷹野晃「定点写真で見る東京今昔」2024年3月光文社新書
「東京は普請中の街である」。
そんな言葉を、何かで読んで記憶していましたが、何だったのか記憶は飛んでいます。
でも、記銘していたのは、なるほどと、深く腑に落ちたからです。
令和の今でも、東京駅周辺も、新宿駅周辺も、渋谷駅周辺も、再開発の大規模工事が、
終わるともなく続いていて、街は、刻々と姿を変えつつあります。
本書の著者は、1960年生まれの写真家で、ライフワークとして、東京を独自の視点で
撮り続けている人とのことです。
そんな著者が、見つけた答えが、定点写真とのことだったようです。
惹句を引用します。
”どのような写真なら東京の魅力を伝えられるのか。40年ほど撮り続け、見つけた答え
のひとつが定点写真でした。古写真と同じ場所を新たに撮影する手法は、変化したもの
とそうでないものを一目瞭然にしてくれます。(中略)この旅に欠かせないのは
「空想力」や「妄想力」です。”
本書の帯には、以下の文言が。
”江戸・明治・大正・昭和。破壊と創造の首都比較。40年の集大成。写真点数451点
収録。”
章立てと、小見出し(どこの場所の定点写真か)の抜粋を紹介。
昔の写真と対で、2023年の写真が掲載されています。
第一章 江戸時代
・王子の料理屋(1859),島原藩下屋敷(1863)、亀戸天神太鼓橋(1868)
第二章 明治時代
・お茶の水(1872)、銀座七丁目(1880)、新橋停車場(1887)、溜池山王(1875)
神田川昌平橋(1868)、柳橋(1880)、工部大学校(1875)、弁慶堀(明治期)
愛宕山男坂(1890)、石川島造船所(1903)、銀座街頭の街鉄(1903)
第三章 大正時代
・渋谷公園通り(1922)、日本橋魚河岸(1923)、隅田川永代橋(1923)
日比谷交差点(1923)、皇居前広場(1923)、上野駅(1923)
両国旧国技館(1923)、浅草凌雲閣(1900)、西郷隆盛像(震災後)
第四章 昭和時代【戦前戦中編】
・築地市場(1935)、日本橋白木屋(1932)、浅草神谷バー(1945)、
九段軍人会館(1934)、銀座四丁目教文館前(1945)、上野駅(1945)
汐留川土橋(1927)、昭和通り江戸橋付近(1928)
第五章 昭和時代【戦後編】
・佃島住吉神社神輿(1956)、上野不忍池(1947)、池袋東口付近(1953)
飯田橋神楽坂(1959)、数寄屋橋交差点(1960)、東十条商店街(1962)
原宿国立代々木競技場(1963)、練馬谷原ガスタンク(1964)
街の変貌を、このように、定点で比較写真として掲載されると、タイムマシンに乗った
ような不思議な感慨に浸されます。
人や街の相貌は変われど、地形は変わらず、人の営みが、脈々と継承されていることに
深い感慨を感じます。
まぁでも、この連休に、東京の街角へ出るのは控えようかなとも、思っています。
円安で、海外からの観光客でごったがえしでいることは、確実です。(汗)
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