池上彰「昭和の青春 日本を動かした世代の原動力」2023年11月講談社現代新書
今年は、はや令和6年。昭和は遠くなりました。
俳人の中村草田男が、「降る雪や明治は遠くなりにけり」という句を詠んだのが
昭和6年なので、あやかって、昭和を偲んだ次第です。
折しも、2023年のGDPがドイツに抜かれて世界4位になるというニュースが流れ、
ました。高度成長期で、GDPが世界2位になったのは、昭和40年代でしたですね。
先月には、半世紀前に爆弾テロで指名手配されていた「犯人」が、末期がんで没する
前に名乗り出たという、タイムマシンの解凍のようなニュースもありました。
30代以下の若い世代は、平成生まれなので、昭和生まれは中高年以上となり、生まれ
育った時代を偲ぶには、ひとつのタイミングかもしれないですね。
過去は、美化しがちのところもありますが、振り返れば激動の時代でした。
そんな気持ちになり、手に取ったのが本書です。
惹句を紹介しますね。
”あの熱い時代は、何だったのか。”
”学生運動、高度経済成長、新たな文化、そして繁栄の「陰」・・・。
池上彰が実体験を交えて語る、現代日本の「源流」。”
目次と小見出しの抜粋も紹介します。
第1章 青春の学生運動
・なぜ60年代に学生運動が盛り上がったのか
・学生運動に世間が同情的だった理由
・学生運動が急速に勢いを失った理由
・学生たちの挫折と転向
第2章 青春の高度経済成長
・人々の生活を劇的に変えた「三種の神器」
・バナナは贈答品、卵は病気の時だけ食べられるもの
・汲み取り式便所が当たり前、水洗便所は珍しかった
・モーレツに働けば働くほど豊かになった
第3章 青春の昭和文化・社会風俗
・ビートルズがもらたした自由の風
・テレビドラマで知るアメリカの豊かな生活
・登場人物の葬儀が行われた「あしたのジョー」
・海外への憧れを掻き立てた「何でもみてやろう」
第4章 新たな時代を切り拓いた人物たち
・日本の未来地図を描いた「田中角栄」
・スーパーマーケットの覇者・ダイエー中内功
・消費に文化を持ち込んだセゾングループ堤清二
・新しい皇室像をつくった昭仁上皇・美智子上皇后
第5章 高度経済成長と繁栄の「陰」
・企業が原因を認めず被害が拡大した水俣病
・ゴミ処理が追い付かず「東京ゴミ戦争」勃発
・第四次中東戦争とオイルショック
・沖縄返還と現在も残る米軍基地問題
第6章 「昭和の青春」世代のこれまでとこれから
・給与は頭打ち、負担は増加する現役世代の苦難
・団塊の世代の高齢化が引き起こす「2025問題」
・若い世代への思いやりと「自立」した生き方
・社会との関わりの維持が元気に生きるカギ
現代の現状があるのは、過去の蓄積あってのことなので、現状の光と陰の源は
過去にあります。
それは、現状を変えるヒントも隠れているので、若い人にも知ってもらいたい
ですし、昭和時代に青春を送った世代である中高年も、過去を美化して振り返る
だけでなく、若い世代に何を残せるかも、考えてもらいたいですね。
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