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2018年10月20日20:54

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【音楽】 新日本フィルハーモニー演奏会 〜リントゥのフィンランド音楽

今日は、錦糸町にコンサートに行った。新日本フィルハーモニー交響楽団の定期演奏会である。

今日のプログラムは次のとおりである。

 ・J.シベリウス: ヴァイオリン協奏曲
 ・M.リンドベルイ: タイム・イン・フライト
 ・J.シベリウス: 交響曲第7番

   指揮:ハンヌ・リントゥ/ヴァイオリン:ヴァレリー・ソコロフ
   会場:すみだトリフォニー (14:00 開演)


リントゥが振るフィンランド音楽の演奏会である。これは行きたいと思い、穏やかな秋空のもと、錦糸町に出かけていった。シベリウスの2曲は何度も聴いているお馴染みの曲だが、マグヌス・リンドベルイの作品は初めて聴く。それも楽しみだ。

まずは、いきなり協奏曲から始まる。シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、生で聴いたヴァイオリン協奏曲としては、突出して回数が多いが、何度聴いても良い曲は良い。今回のヴァイオリニストは初めてだが、男性のソリストで聴くのも初めてかもしれないと気付く。今まで聴いていたのとは一味違う演奏が聴けるかもしれない。

演奏は実に素晴らしいもので、音が実によく響く。個人的好みからすれば響き過ぎかなというくらい朗々と鳴り、難しいパッセージも何でもないようにさらりと弾いているようで、完璧な演奏だ。素晴らしい。これはリントゥによるオーケストラのサポートが大変素晴らしいことによるところも大きいことも、このあとのプログラムで明らかになる。

マグヌス・リンドベルイの「タイム・イン・フライト」は「飛び去る時間」と訳すようだが、もともとはラテン語で「Tempus fugit」で、「時は過ぎ行く」という意味。「光陰矢の如し」と訳しているのもある。そういう曲である。2017年にフィンランド独立百年の記念として作曲され、リントゥ指揮で初演され、リントゥに献呈された。今回は日本初演である。

リントゥは、日本のオーケストラはシベリウスの感覚に近いと語ったらしいが、シベリウスをはじめフィンランドの音楽は日本人の感性に通じるものがあるのだろうか。だからという訳ではないが、冒頭の木魚、ではなくウッドブロックと、そのあとに続くメロディーを聴いて、「あれ? 日本人の作品?」と一瞬思ってしまった。こういうのは私だけだろうが。30分間切れ目なしの音楽は、今日のプログラムの中でも最も大編成で、打楽器群がずらっと並んでいるのも現代音楽らしい。次々と展開する音楽が、最後まで密度の濃い演奏で、息をつく暇もないほどだった。初めて聴く曲で、集中力をもって最後まで聴くことが出来たのは、実は稀有なことなのかもしれない。現在もこんなに素晴らしい音楽が生み出されて演奏されているのかと感慨深くなる。

休憩のあとは、シベリウスの7番だ。濃厚な前半のあとは25分ほどの交響曲で、前半の方が重いプログラムだ。このシベリウスの7番は、もうなんというか、シベリウスがたどり着いた交響曲の究極の作品を、これ以上はないだろうという演奏で聴かせてくれたとしか言いようがない。もはや音楽を超えた精神の高みに達したような気さえした。リントゥの棒が魔法のように音を引き出して、圧巻の名演だった。演奏が終わってから、しばらくは客席も静まり返り、やがて大きな拍手となった。

このような素晴らしい演奏だったにもかかわらず、やや空席が目立ったのが気になった。リントゥのシベリウスだから当日券もないかもしれないと心配すらしていたのに余裕で購入できたし、ちょっと複雑な心境だ。今日(昨日も同じプログラムがあった)、すみだで演奏を聴いた人は、幸せだったと断言できる。リントゥがシベリウスを振るとすごい演奏になるのは間違いない。

夕方から雨になりそうな気配なので、寄道せずに帰宅したら、家に着く直前に雨が降り出した。
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