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2017年10月25日21:53

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本。


●「無限の果てに何があるか」 (足立恒雄著、角川ソフィア文庫)

恩師の本。以前も読んだが、文庫版のために「かなり加筆・修正をした」とのことで、改めて読むことにした。数学という抽象的な「異文化」の世界を、決してお手軽ではなく(この辺が足立先生らいい)、分かりやすく(?)書いた本。虚数とは何か、非ユークリッド幾何学はいかなるものか、なぜ1+1は2なのかを、論理や集合という現代数学の基本を用いて、丁寧に(でも、数学的思考に慣れていない人には難解だろうな)記す。実無限(集合)と仮無限(極限)という、無限の概念を述べ(無限は一つではない−数学屋には常識)、ゲーデルの不完全性定理で締めくくる。やはり、数学は奥深くて面白い!


●「トラクターの世界史」 (藤原辰史著、中公新書)

人類が農業をはじめて以来、土を耕すことは最も基本的な作業として続けられているが、19世紀にアメリカで発明されたトラクターの登場により、人類を苦役から解放し、効率的な作業が可能になった。トラクターは牛馬のように疲れることもないが、牧草を食べないかわりに燃料を必要とする。肥料となる糞も出さない。必ずしも最初から諸手を挙げて歓迎された訳ではないのだ。ソ連では国家主導による大規模農業の推進役となり、欧州やアジアなど各国に広がっていく。日本では、日本の農業に適した形で発展していく。クボタ、ヤンマー、イセキ、三菱農機の四大メーカの発展にも触れ、興味深い本であった。


●「弦楽四重奏」 (シルヴェット・ミリヨ著/山本省訳、白水社)

弦楽四重奏曲について、その起源から現代までの流れを概観した本である。十六世紀に四重奏曲の起源を見ることが出来、十八世紀までにボッケリーニ、ハイドン、モーツァルトに発展している。十九世紀はベートーヴェンにて大きな変化があり、シューマン、シューベルト、ブラームスにつながっていく。そして、現代のフランク、サン=サーンス、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェル、そしてバルトークからシェーンベルクへ。(「現代」とは二十世紀という意味で、これらの作曲家が「現代音楽」という意味ではないと思うが。) オリジナル本は1986年に出版されたということで、今読むとちょっと物足りない内容にも思える。ただ、譜例がたくさん載っているのは参考になりそう。


●「オーケストラ解体新書」 (読売日本交響楽団編、中央公論社)

オーケストラの舞台裏を、さまざまな視点から書いた本。指揮者のエピソード、事務局からみたオーケトラ運営のあれこれ、コンサートの企画から演奏会当日までのドキュメント、読響の誕生、現在、そして未来への展望、日本のオーケストラの抱える課題など、なかなか面白い本である。著者の一人である読響事務局長の飯田政之さんとは、以前お話しする機会があり、その時に聞いた話も思い出した。音楽を聴くだけの私は気楽に楽しんでいるだけだが、その音楽との「一期一会」の出会いのために、オーケストラ運営側は様々な苦労があるのである。
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