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2015年09月28日23:43

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【音楽】 安達朋博ピアノリサイタル〜ペヤチェヴィッチ

今日は早々に仕事を終えて、夜は荻窪に向かった。「安達朋博ピアノリサイタル2015」と題する演奏会に行くためである。

今日行くことにした最大の理由は、そのプログラムである。

 ・ドラ・ペヤチェヴィッチ: 大オーケストラのための序曲
 ・ドラ・ペヤチェヴィッチ: ピアノ協奏曲
 ・ベラ・バルトーク: ピアノ協奏曲第3番
 ・ドラ・ペヤチェヴィッチ: ピアノと管弦楽のための協奏的幻想曲

   ピアノ:安達朋博
   指揮:井上喜惟/管弦楽:ジャパン・シンフォニア
   会場:杉並公会堂大ホール (19:00開演)

ドラ・ペヤチェヴィッチ(1885-1923)というクロアチアの女性作曲家を知ったのは、たまたま購入した1枚のCD(cpoから出ている交響曲/協奏的幻想曲)が発端であった。「お嬢さん作曲家による、美しいメロディーの可憐な曲」あたりを想像して聴いてみると全然違うのである。力強さと繊細さを合わせ持った曲で、それが独特の素晴らしい構成力の元に作られている。その後もcpoのCDを中心にペヤチェヴィッチの作品をいろいろ聴き、すっかりこの作曲家の作品が気に入ってしまった。これまでにほぼ全作品を聴いている。ここmixiでも時々書いていたので、何人かのマイミクさんへは布教活動(?)も出来たようだ。

クラシック音楽好きでも知らない人の方が多いだろうペヤチェヴィッチだが、やはりこのような知られざる作曲家を積極的に取り上げている演奏家はいるのである。今日の主役の安達朋博さんもその一人だ。日本クロアチア音楽協会を立ち上げ、ペヤチェヴィッチをはじめとするクロアチアの音楽の紹介に尽力されている。今日の演奏会もその一環だ。

「安達朋博リサイタル」とのタイトルだが、1曲目はオーケストラだけで演奏される曲だ。ややゆったりしたテンポで、細部まで丁寧に鳴らしていて、CDではなんとなく過ぎてしまう部分も、よく分かる演奏だ。指揮者もオーケストラもピアニストも、私にとってはいずれも初めてだが、これはこのあとも期待できそうだ。

その期待に違わず、今日のメインであるピアノ協奏曲も素晴らしかった。CDでしか聴いたことのない(しかも、おそらく唯一の録音の)曲だったが、生演奏で聴くと何倍も良く感じた。今日の演奏は、細部まできちんと、この曲そのものの魅力を最大限に引き出そうとしているようであった。

休憩のあとはバルトークである。今日の客席は、バルトークの方は知っているという人の方が多いと思うが、私はむしろ逆だ。最近はペヤチェヴィッチはよく聴いているので、今日の3曲はいずれも馴染んでいるが、バルトークの方は未聴ではないにせよ、どんな曲だったかも忘れかけるほど聴いていないことに、今さらながら気付いた。そのような状態で、久しぶりに今日の演奏で聴いたが、こんなに素敵な曲だったのかと思った。これは再度きちんと聴かなくてはなるまい。

最後は再びペヤチェヴィッチで、協奏的幻想曲である。ドラマチックな出だしに始まり、ピアノと管弦楽が絶妙に絡み合い、やや長めのピアノのソロ部分では圧巻の演奏。今日のプログラムの最後に相応しい作品であり演奏であった。

アンコールは何を弾くのかと思ったら、ベートーヴェンの「エリーゼのために」だ。えっ?と意外に思っていると、オーケストラとピアノに編曲したものであった。編曲したのは西澤健一という作曲家だ。このあと安達朋博さんのトークが入り、2曲目のアンコールはリストの「愛の夢第3番」の、やはりオーケストラとピアノ用に編曲したものである。編曲も結構いい感じに仕上がっていたとは思う。

ペヤチェヴィッチの作品を生演奏で聴けるということで、平日に川崎から荻窪まではるばる(?)出かけたが、行った価値は十分にあった。幸せな一時を過ごしで会場を出ると、荻窪の空に大きな月が輝いていた。
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