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2015年09月10日22:15

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

ある程度読んだ本がたまったら、不定期に書いている備忘録。


●「人工知能は人間を超えるのか」 (松尾豊著、KADOKAWA)

 人工知能の研究は、ブームが来ては去ることの繰り返しであった。自分も第2次ブームに相当する1980年代後半〜1990年代前半に少し関わっていたので、半分懐かしく読んだ。人工知能は2012年以降に第3次のブームが始まり、新たな動きを見せている。その鍵となるのがディープラーニングだ。これはこれまでとは違い、飛躍的な進歩なのである。この本は、これまでの人工知能研究の流れと、これからの進む方向を概説したものであるが、さて、ある日突然人工知能が人間の知能を上回ることが起き得るのか...。


●「数学の大統一に挑む」 (エドワード・フレンケル著/青木薫訳、文藝春秋)

 数学も、分野が違えば一見まるで違う世界のようであるが、実は根本のところでつながっているはずである。フェルマー予想が、志村・谷山予想の証明によって解決されたのも、そのほんの一例である。本書は著者の半ば自叙伝的な内容だが、それがそのままラングランズ・プログラム−ガロワ表現のゼータと保型表現のゼータの間の双対性に関する壮大なプログラム−という「数学の大統一」に向けた動きを叙述しているのである。原題は「Love and Math(愛と数学)」。まさに、数学は信じられないほど美しいのである。


●「笑うに笑えない大学の惨状」 (安田賢治著、祥伝社新書)

 少子化で受験生の数は減っているのに大学の数は増えている。大学を選ばなければ、大抵どこかの大学には入れる時代だ。大学も生き残りに必死で、あの手この手で学生の獲得を画策する。これは有名大学とて同じことで、決して安泰ではない。定員割れを起こして経営破綻した大学も多い。著しく学力の劣る大学生も増え、学生のレベルはニ極分化してきた。とにかく、自分が大学生だった四半世紀前とは、大学を取り巻く状況はかなり変わってきているらしい。


●「鶴川日記」 (白洲正子著、PHP文芸文庫)

 現在「武相荘」として公開されている白洲邸は実家のすぐ近所である。この本はタイトルのとおり、鶴川での日々を綴った随筆集で、自分が子供の頃は、農村とまでは行かないまでも、鶴川はまだ田舎であたっため、この本の内容も手に取るように分かる。他に、鶴川に移る前の山の手の生活の思い出とからめた「東京の坂道」と、芸術家との交流を綴った「心に残る人々」を収録。東京は坂が多い起伏の多い土地だということは意外と知らない人が多いが、それぞれの坂に名前もあり表情があるのだ。こちらも格調高い名随筆だ。


●「新宿駅最後の小さなお店ベルク」 (井野朋也著、ちくま文庫)

 新宿に多少なりとも縁のある人ならほとんどの人が知っている、東口改札を出て15秒のところにある小さなお店。新宿の縮図のように、年齢、性別、職業、国籍を問わず、雑多な客でいつも賑わう店。大手ファーストフードチェーンにも負けず、個人経営の店として超一等地で奇跡的ともいえる長い営業を続けているが、それには個人経営店ならではこだわりがあった。経営者自身による著書である。
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