雲間にもれだした月明かりに触れると
雫はふるえる手をはなしてしまう
誰も知らない夜空の星を
身にいくつも集めて夢うつつ
包みこんでくる風とたわむれ
奏でられる音が共鳴する
近づいてくる地上の星にふちどられ
月を大きくうつす湖が見える
次第にあたたかくなる風に目をとじて
やがて合わさる幸せを思う
いつかの記憶はよみがえり
委ねた空に悦びがあふれる
行く手から発するけたたましさに
大きくひらいた瞳は黒い灰色にそまる
叩いた、と同時に激しく押し流され
ひしめき合う大量の泥と雫
明滅する脳裏に個はなく
強烈な叫び声が噴出する
こじ開けられた門に引きよせられて
なすすべなく闇の隧道へと突き落とされる
轟音の中の静寂、闇の中の光
なりゆきに縛られた身が離れていく
思い描いた美しい未来に
時はそしらぬ顔で朝を呼ぶ
雫は暗い湖の底で夢になり
再び空へ舞い上がる日まで
湖面に光を映し
いつまでも月を探している
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