久しぶりにWilhelm Kempffの新盤が発売されたので即購入。
まだまだCD化されていないケンプの音源はたくさんあるのね。
・シューベルト:ピアノソナタ第16番/第21番
(1950年/1953年録音、DECCA)
シューベルトのピアノソナタといえば、前期のものは習作っぽい作品ばかり、後期のものはただただ長大なだけ、こんな評価を覆すように、実は名曲揃いであることを知らしめた演奏が、1965〜1970にDGにケンプが録音した全集である。
決して派手ではないが、しみじみと味わうような、聴けば聴くほど深みが出てくるような曲は、まさにケンプにうってつけだった。
ケンプの全集録音に出会わなければ、シューベルトのピアノソナタの良さを知らずにいたままだっただろう。
そのケンプが、1950年代に録音したシューベルトの16番と21番がCD化された。
(21番は「First release on CD」と明記してあるが、16番は既にCD有り?)
16番は、DGへの全集録音のに比べてかなりテンポをゆっくり取っている。
もしかしたら、遅めのテンポの方がこの曲には良いのかもしれない。
もう冒頭から完全に引き込まれてしまう。この曲の魅力をじっくりと味わうことが出来る演奏だ。
というより、神が降臨したかのような演奏といってもいい。
特に終楽章は圧巻である。
21番も、じっくりと噛み締めるように、この曲の魅力を伝えてくれるような演奏だ。
しみじみと語りかけるような第1楽章に始まり、最後までケンプらしい素晴らしい演奏だ。
実はケンプ以外の演奏でシューベルトのピアノソナタをまともに聴いたことがない。
というより、聴く気がしないのである。
ログインしてコメントを確認・投稿する