mixiユーザー(id:1040600)

2006年03月02日05:35

35 view

●寄り道ついで (63)/■「教養」と「漢字」 (4)

■造語能力

 ・6世紀に漢字を使い始めてからたった200年で、日本人は
  奈良に世界一の巨大な木造建築と金銅仏をつくった。

  また明治になって、漢字の造語能力をフルに活用して、日本人は
  西欧文明のエッセンスを理解した。


  現在では、中国で使われている「高級語彙」の半分以上が、
  実は日本で作られた「新漢語」である。「人民」「共和国」
  「権利」「義務」「憲法」「金融」「投資」「抽象」すべて
  日本製の漢語である。


 ・「網膜剥離」「盲腸炎」「認知症」「性同一性障害」など、
  一般の人にとって、漢字の便利さを痛感するのは「病気の名前」で
  ある。もしこれが英語圏の言葉であったら、こうは簡単にどんな
  病気か理解できない。



■日本語としての漢字
  
 ・和語には色彩をあらわす言葉は、明暗・濃淡を表す語しかなく、
  赤は「明(あか)し」、青は「淡(あわ)し」、白は「著(しる)し」、
  黒は「暗(くら)し」からの転用で表現した。


 ・古来、中国人は色彩に敏感な民族だと言われている。
  同じ、「ミドリ色」でも

   緑 ・・・ 植物系の暖かいミドリ
   碧 ・・・ 宝石のような無機質で冷たいミドリ
   翠 ・・・ カワセミの羽のように光り輝く高貴なミドリ 
  と、使い分けた。

  これに反して、和語に色の「ミドリ」を表すことばはなく、
  水(ミズ)の派生語で、「みずみずしい感触」を表す「ミドリ」と
  いうことばを転用した。「みどり子(嬰児)」や「みどりの
  黒髪」などに、その本来の用法を残している。


  また、和語の「淡い」という意味の「アオ」という音を、
  漢語の「若い」という意味の漢字「青」にあてて、そして
  この「青」の漢字をブルーの色彩の意味に使った。

  そのため、「ミドリ」と「アオ」は色彩と文字が混乱する結果となった。

  たとえば、グリーンの野菜は「青物」であり、ミドリの信号機の
  色は「青」である。



  しかし、日本人は漢字を使い始めてから、この外国の文字を
  あたかも日本の文字のようにして使ってきた。

  「文」という字は、訓で「あや」「ふみ」、音で「ブン」「モン」
  などのように読み、使ってきた。一文字にいくつもの読みがある
  という「棲み分け」を行ってきた。


  呉音は「モン」で、文書(モンジョ)、天文(テンモン)など のように
  読み、仏教関係の用語では「呉音」で読むものが多い。
  
  一方、いわゆる「漢音」というのは、時代が下って
  遣唐使として中国にわたった留学生が持ち帰ったもので、
  唐の都・長安(現在の西安)での中国語の発音を真似たものである。

 
  
 ■案内
 ・日記「総目次」 −テーマ別−
 ・「Home」&「更新記録」
 




0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する