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2024年05月04日20:24

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読書日記N o.1613(神学でこんなにわかる村上春樹)

■佐藤優「神学でこんなにわかる『村上春樹』」2023年12月新潮社刊

世の中は大型連休中で、マイミクの皆さんはつつがなくお過ごしのことと思います。

私は連休などまとまった休みの時は、実家に帰省し、母と過ごしていたのですが、
3年前に母を亡くしてからは、帰省することなく、東京に留まっています。

帰省時は、まとまった小説等を携帯し、村上春樹の長編などもよく読んだことを
思い出していました。

今回は、馴染みの評論家・佐藤優さんが、村上春樹を論じている本を見つけたので、
手に取って読了しました。

佐藤優さんの本は、日頃からチェックしていますし、ハルキ本もそうなのに、本書は
全くノーマークでした。書評でも取り上げられなかったし、新聞広告などもなかった
ように思います。

偶々、見つけたのは、大型連休に読みなさいという、天の啓示なのかなと思って。

本書は、佐藤優さんが、「騎士団長殺し」を丁寧に神学的に読み解いた本で、刊行され
た当時読んだ「騎士団長殺し」を、序章から、改めて追体験できました。

全体の印象は深く記銘されていますが、細部は忘れていることが多々あり、改めて
最初から再読した雰囲気です。

本書の惹句を紹介しましょう。

”欧米人は「ハルキ」をこう読んでいる! 世界的共感の源を示す画期的作家論。”

”村上作品をキリスト教神学で読めば、ページから違う声が聞こえてくる。悪の問題に
正面から取り組んだ『騎士団長殺し』を「不可能の可能性に挑む」「神なき時代の
愛のリアリティ」のキーワードで詳細に読みほぐし、最新作『街と〜』に至る展開まで
鋭く考察。神学と海外事情に精通する著者だから書けた、発見と驚き満載の書。”

少し、牽強付会かなと思いますが、佐藤優さんにとって、「騎士団長殺し」という
小説は、プライベートでも論じなければならない本だったようです。

その切実さが、胸に迫って、どんどん読み進めることができ、魂の深いところに届いた
ような気がします。

佐藤優さんの理解と、ハルキの「騎士団長殺し」の再読を兼ねたような、一粒で二度
美味しい本でした。

佐藤優さんは言います。

”21世紀の今日、作家と文芸批評家の相互作用は非常に細くなって、思想が閉塞して
います。このような状況を打破したいと思って、この10年間、村上作品の読み解きを
行ってきました。”

”私の基礎教育はプロテスタント神学ですが、大学院終了後,外交官になり、対ロシア
外交を専門としてきました。この世界で私は悪の実在を皮膚感覚で知ることができ
ました。”

”ウクライナ戦争、ハマスによるイスラエル攻撃で悪が顕在化しています、このような
状態から抜け出すためにも「騎士団長殺し」の解釈を通して深く考える必要があります。”

■ところで、「騎士団長殺し」は、2017年刊行された当時読んでいました。↓

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