【散策】　上野三碑

4/29から5/7まで９連休だが、今年は特に予定も入れていないので、のんびりと過ごすことにしている。とは言っても、ずっと家にこもっているつもりもないので、今日は出かけてきた。目的は何もない。

小田急線で新宿に出て、なんとなく湘南新宿ラインの高崎行きに乗車する。それならば高崎線で下車したことのない岡部、神保原、新町のどこかに降りてみようと思いつつも、結局おりるのが面倒になり、そのまま高崎まで行ってしまった。

高崎駅前でとりあえず食事をしたあと、ふと上信電鉄にでも乗ろうと思い付いた。吉井、上州富岡、下仁田しか降りたことがないので、他の駅で降りてみよう。とりあえず、根小屋まで切符を買う。ICカードは使えず、現金で切符を買い、駅員に鋏を入れてもらう。今や貴重な昭和の鉄道風景だ。元西武の500形２両編成で根小屋に向かう。長閑なローカル線だが、平日の昼間なのに意外と乗車率がよい。根小屋で下車する。無人駅では乗降口は先頭車両の前扉のみだが、｢全てのドアが開きます｣という。根小屋は有人駅なのか？　根小屋でおりたのは私１人だけだったが、女性駅員が迎えてくれた。この駅は有人駅なのだ。


(高崎駅に停車中の上信電鉄)


(根小屋駅)

駅周辺は何もないなと思っていると、｢金井沢碑｣なる文字が見え、案内図がある。上野三碑(こうずけさんぴ)と呼ばれる飛鳥時代に造立された三つの碑が上信電鉄沿線にあるようで、根小屋駅から行けるのは金井沢碑だ。それならば行ってみよう。田舎道を10分ほど歩くと、その金井沢碑の前に出た。

日本国内で現存する平安時代以前の古碑は１８しかないそうで、そのうちの三つがこの高崎市に集中しているのだ。碑文からは古代豪族の婚姻や氏族のつながりなどが分かり、当時を知る貴重な史料ということで、国の特別史跡にも指定されている。また、ユネスコ｢世界の記憶｣にも登録されている。金井沢碑は、建屋の中に厳重に保管され、直接触れることは出来ないが、何が書いているかは外側にも書いてある。もっとも、これを読んでも内容が分かるほど、古文書には詳しくないのだが。


(金井沢碑)

少し戻ると、ちょっとした休憩場所があり、三碑をめぐる無料バスが存在することを知る。時刻表もあるので確認すると、次は13：25とあり、時計を見ると今13：25。えっ、と思った瞬間バスがやってきたので、乗り込んでしまった。山名八幡宮(山名駅)、産業技術専門校(西山名駅)を経由して、山上碑に到着。ここで下車した。乗客はずっと私１人のみであった。運転手から山上碑への道順を教えてもらい、それに従っていく。途中結構な上り階段があり、その先に山上碑があった。こちらも碑は厳重に建屋の中に入れられている。風雨にさらされて劣化することを避けるためだろうが、直接見たいというのが本音である。山上碑の横には山上古墳がある。有力豪族の佐野三家の族長が埋葬されたと考えられているとのことである。


(山上碑バス停)


(山上碑)


(山上古墳)

見学を終えて山上碑バス乗り場に戻るが、次のバスまではかなり時間がある。西山名駅までは徒歩20分とのことで、これなら歩いた方が早い。先ほどバスで通ってきた道のはずだが、本当にこっちで合っているのかと不安になりかけた時、踏切の音が聞こえ、遠くを電車が通っていくのが見えた。この方向で間違いない。間もなく西山名駅に着いた。こちらは無人駅である。

下仁田方面は今行ったばかりだが、高崎行きは５分後に来る。三碑のもう一つの多胡碑は吉井駅が最寄りのようだが、こちらは駅から結構遠く、バスもしばらく来ないことから、これは次の機会に取っておくことにし、今日は二碑のみを見て終わり、高崎行きに乗車した。205形の２両編成だ。高崎商科大学前からは大学生と思われる人がたくさん乗ってきた。通学電車としても利用されているようである。平日日中にも関わらず、学生以外にも乗客は多く、危機的状態のローカル線も多い中、上信電鉄は大丈夫なようだ。高崎で下車する。


(西山名から上信電鉄に乗車)

先ほどは気付かなかったが、高崎駅コンコースには上野三碑のレプリカが展示してあり、上信電鉄としても、富岡製糸場とともに沿線観光の目玉として宣伝しているようである。でも、バスの運転手以外には誰一人会わなかったし、まだ地味な場所のようだ。

あとは高崎駅周辺を適当にブラブラして、普通電車でのんびりと帰った。新幹線という選択肢もあったが使わない。