mixiユーザー(id:12784286)

2023年02月23日21:55

149 view

【音楽】 アイノラ交響楽団演奏会

今日は休日。午後は川崎に行った。アイノラ交響楽団の演奏会である。シベリウスを中心に演奏しているオーケストラで、今回が20回目の演奏会ということである。

プログラムは次のとおりである。

 ・シベリウス:バレエの情景
 ・カヤヌス:交響詩「アイノ」
 ・シベリウス:クッレルヴォ

   指揮:新田ユリ
   メゾソプラノ:駒ヶ嶺ゆかり/バリトン:鈴木啓之/合唱団お江戸コラリアーず
   会場:ミューザ川崎 (13:30 開演)

シベリウスの管弦楽作品をほとんど演奏しているようなオーケストラだが、今日はそのシベリウスの若き日の作品を取り上げ、いわばシベリウスの原点に迫るという演奏会のようだ。

最初は「バレエの情景」で、25歳の時の作品ということである。プログラムの解説にも書かれているが、CDで聴いても「バレエの情景」というタイトルから想像する曲とはイメージが違うような気がしていた。それもそのはず、何かのバレエ公演のための曲ではなく、娼館で見た踊り子から退廃的な感傷をいだき、そこから作り上げた曲だとか。そういわれて聴くと、なるほどそんな感じもするのである。そして、やはりシベリウスの響きがする曲だと改めて感じた。シベリウスの作品の中ではマイナーだと思うが、なかなか面白い曲だと思う。

続いては、男声合唱団も加わり、カヤヌスの「アイノ」だ。フィンランドの民族叙事詩「カレワラ」を題材にした曲で、これがシベリウスに何らかの影響を与えたに違いなく、「クッレルヴォ」につながっていくのだろう。聴くとシベリウスとは少し雰囲気の違う「カレワラ」由来の作品だが、どこか通じるところもあるようだ。ゆったりとした冒頭部から、やがてクライマックスを迎え、最後は合唱も加わり曲を終える。オーケストラも合唱も素晴らしい演奏であった。

次はメイン・プログラムの「クッレルヴォ」である。この曲を生で聴くのは2回目だ。プログラムにはバリトンは末吉利行と書かれているが、体調不良のため急遽代役になったとアナウンスがあった。急に代役を勤められる人がいるのもすごい。第1楽章、第2楽章は管弦楽のみで演奏される。こちらもなかなか激しい部分もあるが、圧巻は第3楽章だ。男声合唱と2人の独唱が加わる。独唱の2人は第3楽章からステージに登場し、拍手も入り若干の間があって第3楽章に入る。急遽代役となった鈴木啓之は、最初の方はオーケストラに押されているようにも聞こえたが、次第に熱くなっていき、最後の方は、まさにクッレルヴォの慟哭であった。まるでオペラの第一幕が終わったような雰囲気で、第3楽章が終わったところで拍手が起こったが、曲はさらに続くのである。

第4楽章も管弦楽のみで演奏されるが、最後は激しく盛り上がって終わり、ここでも拍手が起こった。でも、ここで終わるという英雄の勝利の曲ではないのだ。最後の第5楽章で「クッレルヴォの死」が描かれる。静かな弦のトレモロで始まり合唱も静かに加わる。急にしんみりとするが、そのあとは音楽も激しく展開して、最後はクッレルヴォの壮絶な死で締めくくる。

演奏時間が1時間20分に及ぶ曲を聴き終えると、やはりすごい作品だなと思う。そして演奏も素晴らしい。アマチュア・オーケストラを侮るなかれ、そこらのプロよりもシベリウス作品に対する思いは強いのだということを、演奏で示している。

このあと、さらにアンコール演奏もある。まずは「フィンランディア」だ。「クッレルヴォ」のあとをそのまま受けてか、これまた力強い「フィンランディア」であった。合唱団もそのまま残っていたので、もちろん合唱付きのバージョンである。こちらも大いに盛り上がったが、最後はいつものとおり、恒例のアンコール曲「アンダンテ・フェスティーヴォ」で、クールダウンして、演奏会を締めくくった。

このオーケストラの演奏会は、毎回行く価値がある。次回も楽しみだ。
1 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2023年02月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728