二章は『普通の人』である『隆司』の葛藤を書いていた。 そうするうちに今度はふと恋人である『之葉』の視点はどうなのだろう?
こういう一人のキャラから見た『主観視点』を別の他者からみた『主観視点』で対比させていくという物語が自分は好きなのだ。
『隆司』の視点から見た恋人である『之葉』は可愛らしい女の子として見ていて、彼の純粋で惚れた欲目で意識的に描いてきた。
でも当然のことながら嫌がっている恋人に自身の趣味を押し付けているというエゴを彼女は理解していて、その罪深さを自覚はしていても『だってしょうがないんだもん』とある種開き直っている部分がある。
まずは彼女が『それ』の種が植えつけられた告白から始めることにした。
これは別段、強烈な体験。 たとえば虐待とか犯罪チックなことをきっかけにすることは最初から考えてなかった。
実は之葉と同じように『殴られたい』という願望を持っていて、実際にそれを恋人にしてもらっている女性と話したことがあって「きっかけはなんだと思う?」と質問したら之葉と同じように、アニメやドラマによって目覚めたと答えてくれたからそれを今作で採用させてもらった。
それにいわゆる心理的外傷(トラウマ)を種に設定すると、多少はズレたとはいえ当初のコンセプトのコメディチックから外れてしまうしね。
そして二章で意識したことは、一章と同じシーンを描きながら『隆司』からではなく『之葉』の視点と『想い』を書くことで一章で感じた印象との齟齬を描写したいと思っていて、それを二章のコンセプトとした。
もっともそれが出来ているかどうかは…どうなんだろうね?
けれども『之葉』はちゃんと隆司のことを愛している。 それでもどうにもならない自身の『度し難さ』を女性らしくしなやかな感性で認めつつも、その実、それは反転していて、『私を罰して!』と願う心で叫ぶシーンが自分的には気に入っている。
これにて二章の解説は終える。
ログインしてコメントを確認・投稿する