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2024年05月27日12:41

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詩『月に吠えたンねえ』

太陽が沈むのが既知のごとく
月もまた朝光に溶けていく。

叫ぶも虚しく。 願いは夢幻。

シュワシュワと朧に悲しくも
当たり前にじわじわと。

血を流し、痛みが走れども傷もやがては癒えて再生し消えていく。
吠えた声は枯れつつも、やがては元の潤いを戻して帰ってくる。

それでも僅かな残滓のように跡は残る。
それでも掠れて引き攣る感覚は忘れられず。
それでも記憶が未だ、心の中に在る。

揺らいだ感情だけは常に天頂で消えることはなく、まるで月のように。
そう、月のように孤独に、でも煌々と闇夜を照らしてくれるものだから

叫ぶのだ。 叫んだのだ。 吠えたのだ。

何も見えない。誰も居ない。 
深海にも似た夜に窒息して息もできず、ゼエゼエパクパクと口を、喉を開くも一人ぼっちで『いき』苦しくて。

だから唐突に刺した儚げな月光に救われた。

自分の形と世界との隔たり。
無機質な道の上。
やはりここには『自分』しか居ない。

けれど見上げれば同じく頼りなくも月がそこに在る。

遥か先、途方も無く離れて決して邂逅すること無き遠い距離。
『彼女』に感謝しつつ足を進めよう。

おっかなびっくりフラフラと足取りからもわかる不安を振り払うため

上を見て言葉を叫び続ける。 創り続ける。

不安を、憤りを、僅かな喜びを。

想いは残る。
想いは残る。
想いは残る。

やがて夜は消え、月も消え、空は白く虚無へと至りても。

叫んだ記憶は消えず。
揺らいだ感情は止まらず。
刻んだ言葉は心に在る。

ああそれでもあと少し、もう少し、月がまだそこに有ればいいのにと嘆く。

…月に吠えたンねえ。



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