mixiユーザー(id:12784286)

2020年09月26日22:43

175 view

【音楽】 東京交響楽団定期演奏会@サントリーホール

関東直撃の可能性もあった台風12号も、東の海上に大きく逸れて何事もなく済んだが、雨はずっと降り続け、ここ数日で一気に涼しくなった。今日も冷たい雨が降る1日だった。

さて今日は、東京交響楽団の演奏会に行った。プログラムは次のとおりである。

 ・リャードフ: 交響詩「魔法にかけられた湖」
 ・ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲第1番
 ・バルトーク :管弦楽のための協奏曲

   指揮:尾高忠明/ヴァイオリン:川久保賜紀
   会場:サントリーホール (18:00 開演)

ようやく入場人数制限も緩和され、コンサートも通常の状態に近づきつつあるが、マスク着用や入場時の検温などはこれまで通りである。会場にはまだ空席も多かった。今日の演奏会は当初の予定から指揮者とヴァイオリニストが変更になっている。海外からの渡航にはまだ制限があるのだ。しかし、こういう時こそ日本の優れた演奏家の演奏を十分に堪能する良い機会だと、そんな気がしている。

まずはリャードフの「魔法にかけられた湖」から始まる。指揮者の尾高さんは、始まる前にゆっくりと間を取って演奏に入る。幻想的な風景が浮かぶような曲であり、ロシアには行ったことがないが、北海道あたりの湖の風景にも近いところがあるかなと勝手に想像して、心地よく聴いていた。なかなかいい感じである。

続いて、川久保さんが登場して、ショスタコーヴィチの協奏曲第1番である。この曲を生で聴くのは初めてかもしれない。川久保さんは銀色の衣装で登場。身体にアルミ箔でも巻き付けたような感じ(?)である。それはともかく、演奏は実に素晴らしいものであった。圧巻は第3楽章後半の長いカデンツァで、聴いていて息を呑むようであった。このあとに続く第4楽章は、冒頭の主題は独奏ヴァイオリンはお休みなのだが、これはカデンツァでの超絶な演奏のあと間をおくために、わざとそう作られているのだとか。すなわち、初演者のオイストラフですら「休み」が必要だった凄まじいカデンツァなのだ。もちろん、ここだけではなく、第1楽章のなんともいえぬ瞑想的な雰囲気も満点で、最後まで楽しめた演奏であった。演奏終了後は盛大な拍手で、演奏の素晴らしさとともに、会場に大勢の客が戻ってきたことも実感できた。

休憩のあとは、バルトークの「管弦楽のための協奏曲」である。協奏曲とはいっても、さきほどのような独奏楽器とオーケストラの協奏曲ではなく、バロックの合奏協奏曲の流れを汲むような、楽器ごとの対比による協奏曲なのである。第2楽章は「対の遊び」という標題が示すとおり、各管楽器を順に際立たせながら展開していく曲で、生で聴いていると視覚的にも楽器の動きが分かるため一層楽しめる、もっとも「協奏曲」らしい楽章である。第4楽章では途中から突然ユーモラスな曲想になるところが面白い。第5楽章のフィナーレは大きく盛り上げて、最後はビシッと終えた。この曲を聴くのはかなり久しぶりだが、なかなか楽しめる中身の濃い音楽であると改めて感じた。

演奏会が終わっても一度に退場はできず、ロビーが密状態にならないよう順番に座席エリア別に出ていくことになる。自分がいた席のあたりは最後に出るエリアになってしまったが、その分余韻を感じながら座っていることが出来たといえる。演奏会終了後も、楽団員が全員ステージから引き揚げるまで拍手がずっと続いていたが、こういうことも普段はあまりなかったような気がする。

まだ小雨が降っていたが、晴れ晴れした気分で会場を出た。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2020年09月>
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930