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2018年11月26日20:53

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【読書】 最近読んだ本 備忘録

最近読んだ本の備忘的メモ。

●「人工知能はなぜ椅子に座れないのか」 (松田雄馬著、新潮選書)

人工知能は正しい、だから間違える。数理生物学者による人工知能についての本である。人工知能は実際の生活に役立っているものも多いが、やがて人工知能が人智を凌駕し、人間を支配するようになるというSFのようなことが起こるのだろうか。タイトルを見れば結論は明らかだが、そもそも「知能」とは何か、そして「生命」とは何かを考えると、人工知能が人間の知能を超えることなど有り得ない。人間なら何の苦もなく判断し行動できることが、人工知能には出来ないのである。「生命」を深く考察すれば、「椅子に座ること」の本当の意味が分かる。人工知能は、人間の活動の一部を代替する「道具」にはなり得る。しかし、それ以上にはならないのである。


●「鉄路2万7千キロ 世界の「超」長距離列車を乗りつぶす」 (下川裕治著、新潮文庫)

日本では夜行列車は激減し、長距離を走るのは新幹線ばかりになってしまったが、世界には何日も走り続ける長距離列車が健在である。この本は、インド、中国、ロシア、カナダ、アメリカのそんな長距離列車の走破の記録である。寝台券を確保しても寝る場所が確保されたとは言えないインドの列車、空気も希薄なチベットを行く中国の列車、ひたすら音のない極寒の地を行くロシアのシベリア鉄道、山々を眺めながらも、なぜか貨物列車優先で遅れに遅れるカナダ横断鉄道、そして、まともな食事の確保に難儀するアメリカ横断鉄道。風呂もシャワーも無く、ただ列車に乗っているしかない数日間の酔狂な旅であるが、なんだかんだと楽しいようである。


●「古代の鉄と神々」 (真弓常忠著、ちくま学芸文庫)

葦や茅の根付近には、鉄バクテリアの作用による褐鉄鉱が形成されることがあるが、これによる鉄製錬技術が弥生時代に存在したという。その根拠として、神話や祭祀を詳しく見ていくと、まさに鉄文化が形成されていったということが分かるらしい。イザナミ、イザナギも鉄文化を象徴する神であり、「スズ」という言葉、それに由来する地名などを追っていくと、見事に符合するのである。古代史は絶対に正しいことを誰も証明できないため、限られた情報から時には大胆な推論がなされるが、なかなかユニークな視点である。要するに、「鉄文化という視点で古代史を見ると多くの謎が解けていく。そのことを発見した私はすごい」という本である。


●「エムエス 継続捜査ゼミ2」 (今野敏著、講談社)

継続捜査シリーズの2作目である。警察を定年退職後、三宿女子大学教授に転身した小早川。小早川ゼミは未解決事件を取り上げる「継続捜査」がテーマで、5人の女子学生が在籍する。「三女祭」も近づき学内は盛り上がるが、一方でメインイベントの学内ミスコンを阻止しようとするグループがあり、そのリーダ格の高樹晶が学内で襲撃されるという事件が起きる。警察は小早川教授を被疑者扱いし、任意同行を求め執拗に尋問する。真実を突き止めようとするゼミの学生たち。被害者の高樹に会って話を聞いた際に、ある違和感を覚えた小早川とゼミの学生は、ついに意外な真犯人を突き止める。軽く楽しめる今野氏のエンターテインメント小説である。(三宿女子大のモデルは、明らかに昭和女子大だね。)


●「電車たちの第二の人生」 (梅原淳著、交通新聞社新書)

JRや大手私鉄で廃車になった車両が地方私鉄に譲渡されて、その後も活躍することが多い。元々の路線では、性能を満たせなくなったり、設備が陳腐化したりして、新しい車両に置き換えられても、地方私鉄では十分に使用に耐え得るのである。単なる中古の「お下がり」ではなく、第二の活躍場所に相応しく改造され、新車同然になっているものも多い。線路幅が違ったり、集電方式が違ったりすると大改造になる。それでも全く新しい車両を導入するよりもはるかに安いコストで済むのである。東急や京王の18m車は地方私鉄でも使いやすく、今や全国各地で走っている。小田急のロマンスカーも富士急行や長野電鉄で、観光特急として看板車両になっている。地方を旅行すると、首都圏在住者には懐かしい車両に出会えるのだ。
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