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2017年04月30日20:39

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【音楽】 伊福部昭百年紀Vol.5

9連休2日目の今日は、演奏会に行った。すでに5回目になる「伊福部昭百年紀演奏会」である。伊福部昭は2014年に生誕百年を迎え、その年は各種演奏会で盛り上がったが、103年目の今年も「百年紀演奏会」は続いているのである。もちろん、第1回から毎回行っている。

◎伊福部昭百年紀Vol.5
 ・伊福部昭:「PR映画」組曲
 ・伊福部昭:「大魔神」組曲」
 ・伊福部昭:「キングコングの逆襲」組曲
 ・伊福部昭:「怪獣総進撃」組曲
 ・伊福部昭:「伊福部昭百年紀」組曲

   松井慶太指揮オーケストラ・トリプティーク
   会場:渋谷区総合文化センター 大和田さくらホール (14:00開演)


多数の映画音楽をはじめ、伊福部昭の残した作品は数多いが、まだまだ埋もれているものもあるようだ。そういう作品も演奏されることによって再発見となる訳だが、どこから見つけてきたのかと思うような曲もある。この演奏会ではそういう曲も生演奏で聴けるのである。最初の「PR映画」組曲もそうだ。「ペニシリン」、「昭和シェル石油」、「ビタミンB1」の何バージョンかを、合計7曲の組曲として演奏するものである。全く初めて聴く曲だが(意識せずにどこかで聴いた可能性はゼロではないが)、これが演奏が始まった瞬間に伊福部昭作だとすぐに分かる、おなじみの「伊福部節」である。どこかで聴いたようなメロディーも顔を出し、やはり伊福部昭だ。現在のCMもそうだが、耳に残る印象的な音楽を付すとPR効果は大きくなるのである。

ここで、司会の小林淳氏と河内春香氏が登場する。小林さんは慣れた司会だが、ピアニストの河内さんは、セリフ棒読みの司会だぞ。まあ、それはともかく、楽しい演奏会の始まりだ。

2曲目以降は、特撮映画の音楽の組曲である。(組曲に編んだのは伊福部昭ではなく、今日の演奏会のために組まれたものである。) 昨日、予習のために(?)、自宅で「大魔神」、「キングコングの逆襲」、「怪獣総進撃」の映画を観た。(「家でのんびりと過ごした」というのは、これをしていたのである。)

「大魔神」は大映の傑作映画であると思うが、「ゴジラ」のような怪獣とは違い、相手は神である。普段は柔和な武神像が、憤怒の表情に変わるや、まさに「神の怒り」で邪な心を持った人々に天罰を下すのである。「ゴジラ」に似た音型が出てくるが、「大魔神」は重々しく響き、怪獣と神を同じにはしていない。その微妙な差異を改めて感じ取れるような気がしたのも、生での演奏を聴いたからだろう。「魔人退散の踊り」は打楽器だけで演奏されるが、これがまた素晴らしい。映像なしで音楽だけ聴いている訳だが、ズシッと響く。打楽器群だけの演奏の時は、指揮者も棒を止めて奏者の演奏に任せていた。素晴らしい演奏だった。

このあとゲストの宝田明さんが登場。「ゴジラ」第1作に出演した他、いくつかの「ゴジラ」シリーズにも出演しており、次に演奏する「キングコングの逆襲」にも出演したのである。「日米を代表する怪獣どちらにも対したのは宝田さんぐらいだ」というが、確かにそうだ。伊福部さんと関わりは何度も聞いた話だが、「キングコングはゴジラに比べるとチャチっぽいと思った」、「今はCG全盛だが、CG多用は好きではない」など、関係者が聞いたらちょっと気になりそうなこともおっしゃり、キングコングで共演したリンダ・ミラーは、「当時は細身の可愛らしい方だったが、今はすっかりお太りになった」らしい。

「キングコングの逆襲」は、いきなり太鼓の強打で始まり、ズシンと響く。生物であるキングコングと、機械であるメカニコングを書き分けるのは、ゴジラとメカゴジラの場合と同じであり、そのあたりもさすが伊福部昭はうまい。これも満足の演奏で、前半だけでもすっかり楽しめた。

再び小林淳さんが登場し、宝田さんをステージ中央に呼んで、ここでサプライズ。昨日が83歳の誕生日だった宝田さんに捧げる、「伊福部的ハッピーバースデー」を演奏した。ゴジラ風に始まったと思ったらいつの間にか「ハッピーバースデー」の曲になっているという曲である。宝田さんもちょっと目が潤んで、「80歳を過ぎた男を泣かすなよ」と。ここで宝田さんは満州での戦争体験など話をされた。

休憩のあとは、「怪獣総進撃」組曲だ。映画自体は「ゴジラ」シリーズの中ではB級っぽいが、要所での伊福部音楽がきっちりと締めているというようなものである。(子供の頃は、怪獣がたくさん出てくる映画なので楽しかったと思うが。) お馴染みの伊福部音楽が次々と出てきて楽しめる。やはり「ゴジラ」映画に伊福部音楽は欠かせないのだなと、改めて思う。

ここで会場にいるという小林夕岐子さんが紹介された。結構なご年齢とは思うが、遠目に見てだが、結構若くきれいに見えた。「怪獣総進撃」でキラアク星人に操られてしまう真鍋杏子役を演じた方だが、「ウルトラセブン」での「アンドロイド01」の印象が強いかな。

最後は「伊福部昭百年紀組曲」である。このタイトルでは意味不明だが、もともとは「シン・ゴジラ組曲」という題名で予定されていた。ただ、「シン・ゴジラ」の音楽は鷺巣詩郎であり、伊福部昭は過去の楽曲を流用したものであることなどから、「シン・ゴジラにも使用された伊福部音楽だけを抜き抜き出して組曲形式にしたもの」として、「伊福部昭百年紀組曲」という標題にしたのだろう。お馴染みの「ゴジラ」シリーズの伊福部音楽の総集編ともいうべき音楽であり、伊福部昭百年紀を締めくくるのに相応しい選択である。もう何度も聴いている音楽ばかりが次々に展開するが、何度聴いても飽きることがない。

大いに盛り上がったついでにアンコール演奏。2種類用意しているが、どちらを演奏するかは客席の拍手の大きさで決めるという。「怪獣総進撃マーチ」か「宇宙大戦争マーチ」+「メカゴジラ」で、拍手の大きさで後者に決定した。(どちらにも拍手していた人も結構いたぞ。) 

今日も楽しすぎる演奏会であった。
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