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2016年08月12日22:08

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【散策】 葉山散策

お盆休みの休暇中で、天気も良いので、今日も出かけることにした。ふと葉山に行きたくなり、武蔵小杉から横須賀線に乗って逗子まで行った。

逗子駅を降りると、すぐ目の前に葉山(一色)行きの京急バス乗り場があるので、ここからバスに乗っていく。海岸経由の[逗12]系統だ。ある程度予想していたが、バスは結構混雑している。バスはほぼ定刻に発車したものの、なかなか進まない。渋滞しているのかと思ったが、単に信号に何度も引っかかっているだけだった。新逗子駅を抜けるまでは、必ず停まるようなタイミングの悪い赤信号の連続だ。新逗子駅を抜けると、意外なほどすいすいと進む。逗子市内を抜けて葉山町に入ると、葉山マリーナ、元町、森戸海岸などでかなりおりて、途中からはゆったりした車内となった。葉山のどこに行くかは決めていなかったので、終点の葉山(一色)まで行くつもりだったが、「次は、三ヶ丘・近代美術館前」という案内を聞いた瞬間、ここに行こうと思い、降車ボタンを押した。県立近代美術館葉山では、今非常に興味ある展示をしているのを思い出したのだ。

県立近代美術館はバス停の目の前である。9:30開館なので、ちょうど開いたばかりだ。現在この美術館で行なっているのは、「クエイ兄弟−ファントム・ミュージアム」である。ファントム・ミュージアムというだけで、何か惹かれるではないか。クエイ兄弟は、幻想的、不可思議、哲学的、病的、魔術的、悪夢、抒情的などの言葉でイメージされるような、独特の作品を、コマ撮りアニメーションで生み出している。早速中に入る。入館料は1300円である。中は少し暗い。クエイ兄弟の制作した映画の断片が館内に流れているのだ。いきなり、脳みそを掻き出している映像が目に入るが、まずは5編の映画を各2分ずつ流しているのを見る。ストラヴィンスキーやヤナーチェクといった作曲家に関する映画の他、先ほど書いた脳みそ掻き出しの「ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋」、さらに「ギルガメッシュ叙事詩を大幅に偽装して縮小した、ハナ―・ルウスの局長のちょっとした歌、またはこの名付け難い小さなほうき」と「ストリート・オブ・クロコダイル」を各2分ずつ流している。最初からいきなり不思議なクエイ兄弟の世界に入るが、館内には他にも、2分程度で映画の断片がいくつか繰り返し流されていて、もちろん一通り観た。詳細はここでは省略する。映画に使うために作られた「人形」や「部屋」なども展示してあり、間近で眺めることが出来るのもよい。数分の映像を撮るのに、何時間もかかるであろう。そして、出来上がった作品からは、独特の幻想的な世界が浮かび上がるのである。

初期の素描画も展示してあり、「ラポネキュイエール城」などは「普通の」デッサンっぽいが、早くものちの作品につながるような雰囲気のある、「喜びの電気拷問」、「死体の学校」、「ベンチの上の分離した肉体」などの作品もある。1967年の「ポーランド・ポスターの芸術展」の斬新なポスターに魅せられたというクエイ兄弟だが、それに関連した作品もある。ミュージック・ヴィデオやコマーシャル・フイルムの作品も多く、オペラや演劇のための舞台デザインやプロジェクション映像も手掛けているクエイ兄弟。館内でも種々の作品に触れることが出来る。「ボドワ」という清涼飲料のコマーシャル・フイルムは、ライオンとシマウマ、キツネとカラスの2パターンが、これも館内上映付きだが、珍しく(?)明るい作品である。「さほど不思議でない国のアリス」の、幻想的で不思議すぎる映像も面白い。クエイ兄弟の作品の魅力を十分に堪能できる展示であった。

近代美術館の外に出て、屋外に展示してあるオブジェなども眺めるが、これらは抽象的で私には少し分かりにくい。清水九兵衛の「BELT」はなんとなく分かる。富樫一の「ハーモニーII」はよくわからないが、周囲の景観とはマッチしている。

さて、折角葉山に来たので、他のところにも行ってみよう。近代美術館のすぐ近くにあるのが、しおさい公園だ。大正天皇崩御・昭和天皇皇位継承之地である。しかし、なんということか、本日休園であった。見ると、「月曜、祝日の翌日は休園日」とある。昨日は新しい祝日「山の日」であったので、今日は休園日になる訳だ。余計な祝日が増えたために、折角来たのに入れないことになってしまった。

仕方がないので、さらに南側に向けて歩いてみる。葉山御用邸の横を過ぎ、下山橋を渡ると、まもなく葉山公園がある。こちらは無料でいつでも開放している公園だ。テントを張っているグループもいるが、ちょっと落ち着けるスポットといった風情の公園である。海を眺めつつ園内を一周して戻り、さらに行くと長者ヶ崎だ。神奈川の景観50選の一つである。しばらく海を眺めている。

長者ヶ崎を過ぎると横須賀市内に入るので、来た道を戻ることにした。葉山(一色)バス停近くまで戻ると、正午をかなり過ぎていることにようやく気付き、昼食を取ることにした。たまたま近くにあった、一見洒落た雰囲気の店「旬彩」で、小魚唐揚ネギソースを食べる。ちょっとお洒落な和食という感じで、なかなか良かった。店は鞄店と一体になっている変わった店であるが、葉山らしい店という気がする。

食事を終えて、バスで戻ることにする。このまま逗子駅まで戻ってもいいが、折角だから途中で降りて、もう1〜2箇所ぐらいは寄ってみたい。葉山(一色)から乗った時は空いていたが、森戸神社、森戸海岸で満員に近くなり、元町でさらに混雑してきた。この混雑したバスから脱出したいと思い、葉山マリーナでふらりと降りることにした。葉山港は日本ヨット発祥の地である。多くのヨットが係留されており、ここもまた葉山らしい雰囲気のある場所といえるだろう。別にヨットに乗る訳ではないし、マリーナ・ショップで食事や買物をする訳でもないので、あまりここに長居しても仕方ないと思い、最後は森戸神社に行こうと、先ほどバスで採って来た道を徒歩で少し戻った。

森戸神社は大きな鳥居がバス停の目の前にあり、そこから海岸に向けて歩くとすぐだ。森戸神社(森戸大明神)は、平治の乱に敗れた源頼朝が再興を期し三島明神に祈願し、その加護により旗揚げに成功すると、三島明神の分霊をこの葉山の地に歓請したことによるもので、大山祗命、事代主命を祭神とする。森戸大明神にお詣りし、海を眺めたりして、心を静かに落ち着けようと思うが、神聖な神社のすぐ近くが海水浴場で賑わっていて、神社の境内だけが別世界のようである。さすがに神社に水着姿で来る人はいない。

森戸神社からは逗子駅行きの京急バスに乗る。あとは帰るだけだ。森戸神社でほぼ満員になり、次の森戸海岸で無理矢理詰め込み、元町では全員を乗せ切れず、葉山マリーナでは「次のバスが続いていますので通過します」となった。最後に森戸神社に行こうと少し戻って正解である。来る時はJR横須賀線だったので、帰りは京急にした。終点の手前の新逗子駅で降りて、京急で川崎まで帰った。

今日も暑いことは暑かったが、どことなく和らいできたような気がした。近代美術館を中心に、葉山の夏を楽しんだ一日だった。
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