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2014年03月20日04:16

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『影武者』〜詩を書く人・タイトルリレーより


「其処に直れーぃ!」

地を震わす程の怒号が辺りに響き渡り
先程まで囀ずっていた鳥達も鳴りを潜める。

声の主の軍配は大男の正面に向き微動だにせず。
取り巻きは冷静さを装い頭を低く構えている。

名刀が抜かれた、其の時、

「あいや、親方様、此の様な者等捨て置かれませ」

古参らしき男が落ち着き払って言う。

「ふん、其の方、命拾いをしたのう、
じじいには敵わん!はっはっはっ」

大将は素早く踵を返し、本陣に消えた。


      *


「間違いは無かろう、奴は生きて居るわ」

身を潜めていた数名の忍共は
敵の大将、病に臥す、
とされた噂の真偽を確めに来ていた。

「影武者?」
   「馬鹿な、貴様も見たであろう」
「如何にも。奴に相違あるまい」
   「では、参るぞ」 

忍共は、まんまと策に嵌まったか、
或いは、真の大将であったか、
其の実は、本陣の者のみぞ知らん。


      * 


再び、野太い声が高らかに
其れも複数、

謡が響き始めたのであった。




     −完− 



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