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2014年01月19日21:33

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【音楽】 新交響楽団演奏会@東京芸術劇場

今日は新交響楽団の演奏会を聴きに行った。オール日本人作曲家のプログラムである。

・黛敏郎:ルンバ・ラプソディ
・芥川也寸志:エローラ交響曲
・松村禎三:ゲッセマネの夜に
・伊福部昭:オーケストラとマリンバのための「ラウダ・コンチェルタータ」

  指揮:湯浅卓雄、マリンバ:安倍圭子
  会場:東京芸術劇場コンサートホール

今年は伊福部昭の生誕100周年ということで、伊福部昭の作品が演奏される機会が多そうだが、本日の演奏会もその一つである。伊福部昭をメインプログラムにおいて、その前を伊福部に縁ある日本人作曲家の作品をおくというプログラムである。

会場はほぼ満席だった。このプログラムで、この指揮者、演奏者、オケでは満席になるのも不思議ではないが。

1曲目は黛の「ルンバ・ラプソディ」だ。実は初めて聴く曲である。若き日(19歳!)の黛が作った曲ということで、どんな曲か楽しみだったが、なかなか面白い曲だった。正直言って黛の作品にはあまり好きな曲はないのだが、この「ルンバ・ラプソディ」は良かった。おしゃれで(?)心地よい音楽であった。このように未知の作品の魅力を新たに知ることが出来るのもコンサートの楽しみである。

あとの3曲は知っている曲ではあるが、生演奏で聴く機会は少ないため、これまた楽しみにしていた。

芥川の「エローラ交響曲」は、芥川がインドのエローラ石窟院を訪れた時の衝撃から強いインスピレーションを得て作られた作品であるという。エローラ石窟院は私はもちろん写真でしか見たことがないが、通常の建築物のように、土台を作りその上に構築していくのではなく、岩山を100年もの歳月をかけて掘って作ったものなのである。つまり、「プラスの建築」ではなく「マイナスの建築」なのである。プラスとかマイナスとか、インドは「数学の国」でもあったなと余計なことまで考えてしまうが、とにかくこれを間近で見たら強い衝撃を受けるだろうことは十分に想像できる。

曲は何やら静かに荘厳な雰囲気で始まるが、油断しているととてつもなく激しい部分が現れ、そしてまた静かになったりする。要はレント楽章とアレグロ楽章の計20楽章が入れ替わりながら出てくるわけで、激しいところでは打楽器は鳴りまくり、弦はうねり、管は吠える。静と動の対比が激しい曲だ。こうやって生で聴くと、エローラ石窟院に圧倒された作曲者の意図が少しは分かる(ような気がした)。「得体の知れない怪物に遭遇したような不気味な感覚」である。こういうのはCDで聴くよりも生演奏で聴くと分かるものなのかもしれない。

休憩のあとは松村の「ゲッセマネの夜に」である。これはユダがイエスを裏切った瞬間を描いたジョットの絵に触発されて作られた曲であるという。松村はイエスがユダを見つめる目に、それこそ目を注いだらしい。「イエスの眼差しはユダを突き刺し、通り越して永遠の彼方に人間の悲しい営みを見通しているように見える」という。これはこの曲を書くための基盤となったという。私自身クリスチャンではないし、そもそもキリスト教にも興味は全くないが、松村もこの「物事を凝視する」という部分が創作の土台になっているようである。凝視の音楽、なんとも不思議な気分にさえなるが、これも静と動の対比がある音楽。改めて聴くとまた新たな発見があった(ような気がする)。

プログラムの最後は、マリンバ奏者の第一人者である安倍圭子さんが真っ赤なドレスで登場した。今日はこの伊福部の「ラウダ」を聴きたくて行ったようなものである。安部さんのマリンバは、やはりすごい。この名曲を名曲たらしめてくれる演奏である。(時々オケの音量に埋もれてしまうところもないではなかったが。) 以前この曲を、あるアマオケの演奏で聴いた時も感動したが、今回の演奏は安心して曲そのものに浸れることが出来たと思う。

このあとはアンコールで、安倍さんのソロでドナドナ即興演奏。これで終わりかと思ったら、今度はオケでアンコール曲をもう1曲。今日は伊福部昭がメインプログラムだったので、もしかしたらと期待したら、そのとおりの「SF交響ファンファジー1番」だった。「ゴジラ」の音楽を中心に構成された曲である。生演奏で「ゴジラ」を聴くとやはり大迫力だ。

新交響楽団はアマオケであるが、それは音楽を本業としていない人の集まりというだけのことで、演奏レベルはプロ並みである。したがって音楽自体を楽しむことが出来るのである。(下手なプロオケよりもレベルは上かも。)

今回も十分に楽しめた演奏会であった。

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