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日記一覧

女ゆえの
2023年12月25日19:55

かつての我が国の女性は、特に江戸時代の頃はさまざまな制約を受けながら生きざるを得なかった。いわゆる"シーボルト事件"を引き起こしたフォン・シーボルトの娘を産んだお滝も、貧しさゆえにオランダ人専用の遊女となるしかなかった。それがなかったら、楠本

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百通りの学び舎
2023年12月21日17:04

私より上の世代(55歳以上)から見れば、マンガを教科書の如く扱うのに抵抗があるかもしれない。少なくとも私などは、「マンガばかり読んでないで勉強しろ」と叱られたこと度々だった。たしかにマンガばかり読んでと、眉をひそめられるような作品だってある。玉

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百通りの学び舎
2023年12月21日13:11

私より上の世代(55歳以上)から見れば、マンガを教科書の如く扱うのに抵抗があるかもしれない。少なくとも私などは、「マンガばかり読んでないで勉強しろ」と叱られたこと度々だった。たしかにマンガばかり読んでと、眉をひそめられるような作品だってある。玉

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信州人の心意気
2023年12月13日09:53

司馬さんは「信州佐久平みち」の中で、自分は大阪の在のため信州という土地柄には不案内だと記している。それでもその地に居住していた先人や現代の人々には敬意を払っている様子がそこかしこに窺える。たとえば真田昌幸。徳川家康に二度も苦汁を飲ませ、石田

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文豪の裏の顔
2023年12月03日14:09

司馬遼󠄁太郎というと、今日の私たちは膨大な資料の読み込みに裏打ちされた綿密な歴史小説を産み出した合理主義者、その一面だけを見がちだ。事実後年になるほど彼はその側面を強調するかのように世間に印象を与え続けてきた。反面、デビュー作『ペル

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この世に二人だけ
2023年11月27日09:20

双子ものというのは、往年のミステリー小説ならばド定番のトリックの一つに使われていた手法だ。そういったある種、使い古されたと言われかねない双生児(大人だから児ではなく、双生者と言うべきなのか)を主人公にしたこの物語。双子をそのまま扱えば、ああ、

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一時(いっとき)の方便
2023年11月17日22:28

"蔵六がなすべきことは、幕末に貯蔵された革命のエネルギーを、軍事的手段でもっと全日本に普及するしごとであり、もし維新というものが正義であるとすれば(蔵六はそうおもっていた)津々浦々の枯れ木にその花を咲かせてまわる役目であった。中国では花咲爺(は

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読書に国境がないように
2023年11月10日10:30

たとえば、ヒュー・ロフティングの『ドリトル先生物語全集』全十二巻。私がこれを読破したのは十五、六の時と割と遅く、そのことが自分の読書体験の中で恥部のように感じられていた。しかし本書の著者は、そんな事は大して重要ではないとばかりに笑い飛ばして

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未来への道標
2023年10月31日21:58

人によっては、司馬遼󠄁太郎という存在はオワコンとして封印したい気もあろう。これは特に保守派といわれる論客に見られがちな特徴で、あるネット系出版社などは司馬さんの代表作中の代表作である『坂の上の雲』よりも自分たちの所が出す出版物のほう

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不安な幕開け
2023年10月18日21:33

昭和の文学史は、芥川龍之介の自殺によって幕を開いた。これは衆目一致するところであろう。宮本顕治のようにこれを否定して乗り越えようとするにせよ、太宰治のようにこの人の苦悩がわからなければ真の文学者たり得ないと擁護するにせよ、芥川を避

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嘘か誠か
2023年09月10日04:23

たとえば20世紀最高の喜劇王と謳われたチャールズ・チャップリン。第二次世界大戦後にアメリカ全土で吹き荒れたいわゆるレッド・パージの逆風を食らって、ハリウッドだけでなくアメリカ本土から彼は永久追放を受けた。それもこれも多年にわたる10代の少女たち

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文化の源泉
2023年09月03日08:45

今回の『街道をゆく』は、精妙な短編集を彷彿とさせる読み応えがある。とはいえ、すべての紀行文に触れるには紙幅が足りない。四編あるうちから最後の"砂鉄のみち"を拾い起こしてみる。わが国に稲作が急速に伝播した背景として、鉄の存在を抜きには語

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伝説の始まり
2023年08月20日09:43

小説家としてデビューするにはどうしたらどうしたらいいのだろう。一番の近道はなんといっても各出版社が主催する新人賞に応募することだろう。現在名の売れている作家の多くは、このコースを登竜門にしている。後は出版社に持ち込んで評価を仰ぐこと

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最後の作品
2023年08月06日18:46

司馬遼太郎がこの作品を世に問うたのは、昭和62(1987)年のこと。これを最後に以後彼は小説を書かなくなった。背景に何があったのか。もはや創作では己の信条を表し切れないと悟ったとか、いろいろ言われていた。少なくとも以降のこの大家は、小説家の

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かりそめの平和のために
2023年07月14日11:01

人の世のありようというのは、何をもって正常とするのだろう。戦乱に明け暮れる日々を常態とするのか、それとも人々が笑って暮らせる平穏な日常をもって是とするのか。本編の主人公"図書館の魔女"ことマツリカは、後者を推すことにためらいを

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日本人の原型
2023年06月22日11:56

"商売している商人というものは、どういう精神構造ですかね。たとえば要領の良い、自分が生きるため、自分が儲かるため、人を何とも思わない、そういう境遇で育ったものが、或る極限の状況でポツンで現れて来るのではないか、と僕は思ったり

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新たな勉強思考
2023年06月06日21:22

俗に五十からの手習いということわざがある。江戸時代後期の伊能忠敬の例をひもとくまでもなく、この年齢になると人生の後半戦に入るだけに脳のアップデートが求められる。ましてや人生100年時代と言われる今日、何事も学ばず残り時間を過ごすことは

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新たな勉強思考
2023年06月06日21:21

俗に五十からの手習いということわざがある。江戸時代後期の伊能忠敬の例をひもとくまでもなく、この年齢になると人生の後半戦に入るだけに脳のアップデートが求められる。ましてや人生100年時代と言われる今日、何事も学ばず残り時間を過ごすことは

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改革者の肖像
2023年05月30日14:40

かつてケネディ大統領が生前、日本の記者団に尊敬する日本人は誰かと尋ねられたところ、「上杉鷹山」と即座に答えたという。ただし悲しいのは日本記者団は一人として"ウエスギヨウザン"なる名前を知らず、我が身の無知をさらす羽目になったのだとか。

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400年の奮闘
2023年05月22日20:35

人は死んだらどうなるのか。魂は存在するのか。何より神はいるのか。人類がこの地球上に誕生して以来、幾千万、幾億回となく繰り返されたこの問いかけ。普段は死というものが特に遠ざけられた現代社会においては、この問答はややもすると忘れられがちだ。しか

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ほっとけない現実
2023年04月25日10:23

猫町倶楽部という読書会がある。名古屋にある国内最大のコミュニティで、20代〜60代と会員の年齢層は幅広い。著者がその会員の一人である中宮崇さんと出会ったのは、先輩ライターを通じてである。1000万人ともいわれる孤独死予備軍のひとりとして彼と在籍する

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遥かなる地平
2023年03月20日22:30

今、この稿を書くにあたり関東の某ホテルに缶詰めになっている。というのは嘘だが、ちょうどこの著作を読み終える頃にホテルに泊まったのは事実だ。ここでは冷たいカフェオレやミルクティーが飲み放題ときている。司馬さんがモンゴルにおいて、彼の地

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