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日記一覧
- 悪党として生きる
- 2018年12月26日20:34
俺はこの世においてどう生きていくべきか。河内の住人で悪党として生活している楠木正成は、武士ではない自分は悪党として生きるしか術がないと思い定める。都鄙(とひ)名誉の悪党寺田方念の、六波羅探題の大軍を向こうに回した命を散らした激闘を目の当たりに
- 孤独の肖像
- 2018年12月24日19:29
中年童貞と聞いて、あなたなら何を思い浮かべるか。そういう人生もあると捉えるか。いい歳して気持ち悪っ！と眉をひそめるか。著者が中年童貞というテーマを取り上げたのは、これが深刻な社会問題だと気づかされたからだという。ライター稼業をドロップアウト
- 日本人の存在証明(アイデンティティ)
- 2018年12月16日01:02
我々日本人の根っことなる部分とはなんなのか。それは歴史への誇りだと著者は言う。同時に歴史ほど曖昧で、捉え所のないものもないと著者は言い切ってしまう。そんなあやふやなものを日本人のアイデンティティとして見ていいのか。何しろ一級史料とされる文献
- 雌伏の時
- 2018年12月11日20:27
関ヶ原の合戦の敗戦により、上田城の引き渡しと謹慎を余儀なくされた真田昌幸・幸村父子。長男信幸(後に信之)、彼の舅である本多忠勝の助命嘆願により真田父子は一命こそは免れた。ただし赦免されるかとなると、徳川家康の後に二代将軍となった秀忠に睨まれて
- 戦士たちに捧げる挽歌
- 2018年11月17日14:57
右翼とか保守が世の潮流になってからどれほど経っただろう。少なくとも2011年の東日本大震災以降より、絆というか国の形というものが見直されてきたように思う。これを左翼の化けの皮が剥がれたと見るべきか。左翼がパヨクへと衰退したと捉えるべきか。こう思
- 門はあって無きが如し
- 2018年11月10日11:47
例年の飢饉により、京市中では餓死した者たちの遺体で一杯となっている。これをなんとかせねばなるまい。一休は、自分の書いた看板で打ち壊しの難から逃れた酒問屋などから礼金を貰い、その金で墓掘りの人夫を百人近く集める。人夫と共に、餓死者供養の墓掘り
- その門の先に
- 2018年11月07日19:40
飢饉や打ち壊しが続く室町中期。まともに生きても食べていくことさえ出来ないせちがらい時勢。押し込み強盗で糊口をしのごうとする輩が出ても不思議でない。その二人の悪党は、酒でもあるかとそれを目当てに京市中のある寺に忍び込んだ。粗末な貧乏寺である。
- 妖(あやかし)の町にて
- 2018年10月28日06:06
別れは突然やって来るものらしい。中学三年生の初夏、ぼくの親友椎野春が行方をくらました。春の父親からの電話に、ぼくは妙な胸騒ぎを覚える。ひょっとしたらあの場所ではないか。小学校五年生のある日、同級生と語らって他校の上級生相手に喧嘩へと出向いた
- 永遠の今日
- 2018年10月25日03:54
それはいつからだったのだろう。女子大生の藍は、同じ日を繰り返し体験していた。いつまで経っても十一月七日の水曜日を重ね合わせるように過ごしていった。本当ならテレビに出られるんじゃない？のんきに返してくる友人の、繰り返される行動にうんざりしなが
- 僕は弟を売った
- 2018年10月21日14:21
裕司は高校時代、野球が上手くて有名だった。そんな裕司が高校を退学してから数年。彼といつの間にかつき合っていた女子大生のいずみは、初めて一人暮らししているアパートへ行く。幾ばくかの不安と期待を滲ませながら訪問した。夜市(よいち)に行かないか。裕
- 我が宿命
- 2018年10月15日21:01
伊勢の田舎道を歩いていた宮本武蔵は、対立する五人の兵法者を見かける。四人に囲まれるように対峙していた鳴海八郎太なる兵法者は、隙を突いて相手を皆殺しにしてしまう。武蔵の存在に気づいた鳴海は、柳生兵庫助の門弟と名乗った上で自分の武勇について武蔵
- 日本人よ！
- 2018年10月12日21:18
日本は戦後民主主義の名の元に、アメリカから精神的支配を受けた。我々国民がそのことを自覚したのはいつだったのだろう。少なくとも本書でインタビューを受けたマハティール・モハメド氏は、早い時期から日本や日本人に警告していた。今年(2018年)マレーシア
- 魚が食えなくなる！？
- 2018年10月03日20:21
サーモンばかり食べるな。本書の第6章で著者は警告する。むろん、サーモンに限ったことではなく、大西洋クロマグロやウナギといったいわゆる高級魚が食べられなくなる。そのことがわが国・日本の食文化衰退に繋がるのかと疑問を呈している。考えてみれば我々
- 風わいわいとの日々
- 2018年09月02日18:20
ここではないどこか。地図にも載っていない隠れ里「穏(おん)」で暮らす少年・賢也は、雷の季節に姉が行方をくらまして以来、自分がここに住むべきでないという疎外感を味わう。穂高という、どこか男っぽい雰囲気を湛えた少女と仲良くなった賢也はようやく物寂
- 復活の時
- 2018年08月25日18:57
今でこそ当たり前のように存在している新幹線。開発が遡上に乗り始めた昭和32(1957)年当時は、夢物語と捉えられていた。その後も高速道路の段階的な完成により、自動車社会となっていく過程から反対論も巻き起こった。新聞は、新幹線建設を「万里の長城」「戦
- 囚われの帝
- 2018年08月08日19:57
宮方に属するべきか拒否するべきか。一旦は笠置山に籠もった後醍醐帝からの勅を断った楠木正成。しかし妻久子から、自分たちを守るために帝に逆らうようなことはしないでいいと諭される。己の家族や一族の保身のため、腰抜けの謗(そし)りも甘んじて受けようと
- 孫権、立つ
- 2018年07月31日18:33
曹操は男惚れした関羽に夢中になっていた。玄徳の居所がわかり次第、立ち去らせてもらう。曹操とそのような約定をしていた関羽は、袁紹の将二人を討ち取ったことでその元で玄徳が食客になっていたことを知らされる。玄徳の二夫人も保護してくれるという約束で
- 戦国武将の道程
- 2018年07月24日18:08
戦国武将というと、かつては企業の経営者がお手本にしていた時期があった。特に、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった天下人は経営の指針として崇め奉られた。無論、そういった視点での戦国武将の見方も間違ってはいないと思う。しかし本来彼らは、生きるか
- 平成男学
- 2018年07月09日17:58
何がつらいといって、男のくせにとか言われるほど切ないものはない。別にこちらは、好きで生まれたわけでなし。そんな男としての生きづらさを代弁するように生まれたのが、男性学というものらしい。著者はその方面の専門家である。ただし、これを無批判に男性
- 漢(おとこ)はかくの如く死んだ
- 2018年07月05日21:40
越後長岡藩の家老として京へ上洛した河井継之助。幼帝(後の明治天皇)を擁して天下を私せんとする薩長を糾弾する弾劾書を、朝廷に提出した継之助。だが、長岡藩自体が小藩であるためか波風一つ起こらなかった。継之助はあまりの呆気なさに拍子抜けする。譜代と
- 大戦(おおいくさ)と後始末
- 2018年06月29日19:30
大戦(おおいくさ)が始まる前、東軍は西軍の陣地の一つである岐阜城を落としたりと戦いに余念がない。一方西軍を統率する石田三成のほうは、味方が思いの外動いてくれないのを嘆く日々が続く。そんな状況を知らずにいる真田昌幸・幸村父子は、上田城にて東軍の
- 動乱が始まる時
- 2018年06月23日22:05
正中の変で朝廷の倒幕計画が未然に防がれ、数年が経とうとしていた。幕府御家人である足利高氏(後の尊氏)・直義兄弟の倒幕の意志を密かに知ってしまった親戚筋にあたる全盲の少年覚一。彼は将来琵琶法師になりたいという理由にかこつけて、母親の草心尼に都で
- 曹操、倒すべし！
- 2018年06月20日16:39
董卓の横死後、暗殺に加担した呂布は政争に敗れ徐州を治めていた劉備の元に寄食した。中央では董卓の家臣であった郭��(かくし)と李傕(りかく)が天子を巡って戦を繰り返していた。二人の将軍の政争の具にされうんざりしていた天子は、周囲の朝臣と語らっ
- 漢(おとこ)はかくの如く生きた
- 2018年06月18日19:08
河井継之助。幕末の早い時期から、幕府の崩壊を予見しながらも武士として生涯を終えた男。本作は、越後長岡藩の家老としていつか藩を改革していくと一人勝手に思い込んでいく継之助の青春期(といっても、三十といい年だが)から実際に家老になるまでを描いてい
- 百四十年目の真実
- 2018年06月12日18:28
今年は明治維新百五十年にあたる。それに合わせるように、NHK大河ドラマ「西郷(せご)どん」も放映中だ。本書が発行されたのが去年の十二月なので、やはり大河ドラマの関連本の一つなのだろう。ある意味どストレートな著名に惹かれて手に取った。少年時代から
- 書評とは何ぞや
- 2018年06月07日14:36
書評らしきものを書き始めて四年近く経つ。まったくの独学で始めたので、正直今日に至るまで自分のものには自信がない。豊崎由美氏の本書を手に取ったのも、いわば己のコンプレックス解消の手がかりにしたかったからだ。一読してなるほどと思ったのは、粗筋が
- 過去との対峙
- 2018年06月04日21:21
黒田家の騒動を落着させた帰り道、宮本武蔵の一行は奇妙な騒ぎを目撃する。街道脇の地蔵堂の縁でどっかりと座り握り飯を平然と頬張る僧に、彼に懇願して握り飯を貰おうとする牢人二人。楽をして食べ物を貰うのは御仏の教えにそむくと意に介さない僧に、牢人た
- 私は誰？
- 2018年06月01日15:05
わが国における大人のADHD(注意欠陥・多動性障害)はどれだけの数になるのか。小生は寡聞にして知らない。ただ大人の発達障害として認知されるようになったADHDと診断されるまでの著者の悪戦苦闘は、読んでいて身につまされる思いだった。子供の頃落ち着きがな
- 人間、その裏の本質
- 2018年05月28日12:11
人間とはいかなる生き物なのか。芸術や美食を愛する反面、普段なら目をそむけたくなるような現象を凝視してしまう。本書はいわば、人であれば誰もが潜在的に抱えている怖いもの見たさに集約したノンフィクションだ。幕末における攘夷浪士などの獄門写真、ある
