人間とはいかなる生き物なのか。芸術や美食を愛する反面、普段なら目をそむけたくなるような現象を凝視してしまう。本書はいわば、人であれば誰もが潜在的に抱えている怖いもの見たさに集約したノンフィクションだ。幕末における攘夷浪士などの獄門写真、ある
時は鎌倉末期のある年の大晦日。幕府に内緒で京に出ていた足利又太郎高氏(後の尊氏)と一色右馬介主従は、酒屋で年越しをしていた。ちょうどその時、執権北条高時の闘犬に献じる犬を連れた十数人の武者が酒を求めてやって来た。まるで貴人を敬うかのような犬へ
2000年3月28日〜2005年12月28日にかけてNHKで放送されたドキュメンタリー大作の最初の書籍化。昭和33(1958)年と34年と2年続けてわが国は台風の甚大な被害に見舞われた。特に34年9月に起きた伊勢湾台風は、死者・行方不明者合わせて5041人という記録的な災害と
日本における小説版『三国志』の先達である吉川英治の古典的名作。第一巻と第ニ巻が一冊にまとまった新装版。中国後漢末期、黄巾党の乱で中国全土が戦乱で渦巻く中、劉備こと玄徳は旅先で張飛という浪人に命を救われたのをきっかけに、関羽という人物を加えて
これは小説なのか、エッセイなのか。読んでいて同じ問い掛けを幾度繰り返したか知れない。著者の豪放磊落な物語の紡ぎ方を期待されている人には、見事な肩透かしとなるだろう。物語は正岡子規の死後、その妹律の養子となった忠三郎氏、彼が長じて後大阪の阪急