天正十八(1590)年豊臣秀吉による小田原征伐以降、関東は徳川家康が治めることとなった。やがて十年後、秀吉亡き後家康が関ヶ原の合戦で天下を簒奪(さんだつ)すると、関東はますますその重要度を増した。江戸に幕府が開かれると、周りを固めるように各地に親藩
司馬遼太郎は間違いなく偉大な作家だ。ただ彼の厄介さは、没後二十数年を経てなお小説などあらゆる著作が事実が余すことなく描かれていると誤解を受けていることだ。特に司馬史観で一括りにされがちな小説群は、史実に徹底的に忠実なものと思われてしまってい
元禄十五(1702)年十二月十四日に起きた、赤穂四十七士による吉良邸討ち入り。この事件ほど極めて日本的で、後世まで語り継がれるようになったものも少なくなかろう。同時に、これほど有名でありながら虚飾にまみれた事件もない。まず事件の発端となった浅野内