世の中には、60年代前後のロック音楽しか聴かないという頑固オヤジたちがかなりの人数いらっしゃるようだけど、それと同様に、90年代以降のヒップホップは認めないという、オールドスクール愛好者たちも数多く存在しているらしい。 時代もジャンルも異なる
ユーロビートの話をしたついでに、80年代の音楽についても語ってみたいと思います。 81年のMTV開局をきっかけに、プロモーション・ビデオを筆頭とするメディア・ミックス手法が一般化し、音楽という娯楽が巨大産業化した時代。消費社会の加速に伴い、音
もはや修復できないほど険悪な仲になってしまった二人が、「とりあえずヒットするアルバムを作ろう」という共通の目的に集約される形で、皮肉にも一致団結できているという印象がある。 サイモン&ガーファンクルのラスト・アルバム『明日に架ける橋』を聴
よく言われる法則のひとつに、「アーティストはデビュー作(出世作)にこそ、作家の本質が集約されている」というのがあります。もちろんすべてのアーティストに当てはまる法則とはとても言えないですが、先日紹介したビリー・ジョエルと、彼とよく比較され
わりとブリグリが好きでした。 若い子のために一応説明しておくと、ブリグリとは97年にデビューしたザ・ブリリアント・グリーンという日本のロック・バンドの略称です。90年代の米オルタナティヴ・ロックをJ−POP的な解釈で取り入れたような和洋折衷サ
ピアノの生演奏をバックに食事できるレストランってありますよね。 自分、あれが微妙に苦手なんです。素人が生意気なことを言うようだけど、僕の場合なぜかやたらと下手くそなピアニストやバンドにあたることが多い気がするのだ。高級なレストラン経験がな
“パラノイド・アンドロイド”繋がりで、レディオヘッドのギタリスト、ジョニー・グリーンウッドをテーマにお届けします。 ギタリストと言っても、ジョニーはもっともギターに執着しないギタリストとして知られています。英BBCの専属作曲家として迎えら
音楽全般に関する造詣が深く、ただしその引き出しの多さをひけらかすような言動が鼻に付くこともあり、生意気で、とにかく小賢しいイメージを持たれがち。そんなくるりが、はじめて小細工無しのストレートなロックンロールに向き合った『アンテナ』。 まず
べックが全曲を書き下ろすなど完全プロデュースを買って出たことが話題となり、まるで彼の新作であるかのように取り沙汰されたシャルロット・ゲンスブール最新作『IRM』。なぜベックがシャルロットに乗り上げているかは、彼の音楽ルーツや趣向、生い立ち
大好きで、その才能を高く評価していて、つまりは心底「サイコー!」だと思っているアーティストのCDを買うだけなのに、なぜこんなにも気まずい思いをしないといけないのか…。(女性店員の表情の変化を俺は見逃さなかった!) なまじプリンスというアイ
2年程前。カニエ・ウエストが自身のブログで、「現代のスーパースターを過去のレジェンドに当て嵌めると誰になるか?」というテーマで、おもしろおかしく語っていたことがあった。カニエ曰く、ジャスティン・ティンバーレイクはマイケル・ジャクソン、ビヨ
次は、ルーツ回帰というより、ルーツそのものな楽曲を紹介します。 サイモン&ガーファンクルが現代的にアレンジしたことで一躍有名になったイギリス民謡“スカボロー・フェア”。ただ、現代的と言っても60年代の曲なので、僕にとっては十分に古めかしいサ
中華人民共和国。 どんなに控え目に言ったとしても、今の時代にこの日本で暮らしている限り、この国に対して、あるいは彼らの国民性とリテラシーに対して、なんらかの否定的な感情を抱かずにいられる日本国民はごくわずかに違ない。アジア人として、あるい
これまで数回に別けて「アフリカンな音楽」を紹介してきましたが、ラストはデーモン・アルバーンのサイド・プロジェクト『マリ・ミュージック』から一曲お届けします。 その名の通り、2002年にデーモンが西アフリカのマリ共和国にて現地のミュージシャンと
ポストパンクとニューウェイブの違いがいまいち分からないのは、きっと僕だけじゃないだろう。ただし、ポストパンクという言葉がもっとも似合うアーティストといったら、誰もがまずパブリック・イメージ・リミテッドのことを思い出すに違いない。 「パンク
すっかりお疲れモードだった僕たちは、軽く大阪巡りをした後、夕方頃にのんびりと会場入り。 今回は相方の観たいアクトを観る!ということで、まずは木村カエラの涼しげな歌唱に耳を澄ませる。次はリップ・スライム。これはいつのまにか全部聴いてしまった
次のお目当てはプライマル・スクリーム。崖の下からなにやらX JAPANのTOSHIらしき人物の雄叫びが聞こえてきますが、無視して準備体操を進める。というのも、今回のプライマルのショーは、91年発表の大傑作『スクリーマデリカ』の発表20周年を記念してスクリ
帰省ラッシュに巻き込まれながらも、9時間(!)掛けて大阪/舞洲アリーナまで行って参りました。 うだるような暑さのなか、フレンドリー・ファイアーズ“パリス”を聴きながらタオルを装備し、パニック・アット・ザ・ディスコを聴きながらポカリの列に並
速くて、うるさくて、単純で、爆音なパンク・ロックでも久しぶりに聴きたくなって、これまた久しぶりにパンク界のゴッド・ファーザー、イギー・ポップに手を伸ばす。結論から言うと、今回もハマり切れずに終わってしまったわけですが、そもそも僕がイギーさ
広義に解釈したところの「ダンス・ミュージック」に分類される音楽家であれば、誰もが一度は考えたことがあるに違いない――「我々を躍らせるこの“リズム”という概念は、一体どこから生まれたのだろう?」と。 諸説あると思うけど、ビッグ・ビートの雄ケ
ヨーロッパを中心とする欧米諸国のポピュラー・ミュージックの作り手たちは、ありとあらゆる音楽を第三世界から盗んでは独自に発展させてきましたが、ローリング・ストーンズはそれをやってはじめに成功したイギリスのバンドと言えるかもしれない。彼らがル
「夏といったら、やっぱりレゲエでしょ!」 そんなバカンス感覚の軽いノリでボブ・マーリーを手に取った僕のようなふとどき者に冷や水を浴びせかける、ウェイラーズ名義の世界デビュー作『キャッチ・ア・ファイア』。 ハモンド・オルガンの不穏な響きに、
久しぶりの「萌える女性ベーシスト」。第二弾はトーキング・ヘッズのティナ・ウェイマスです。 インテリ集団のバンドにあって、この人も例に漏れずインテリジェンスなプレイを持ち味としてました。一聴してファンキーに聴こえるけれど、いわゆる黒人ファン
恰幅の良い黒人女性を見たとき、なんとなくそれだけで「ソウルフルなゴスペル・ナンバーを歌い上げそうな気がする」というステレオタイプなイメージを全人類に植え付けたおそらくはじめの人物であり、そして未だにその道では最高峰であり続けている。 僕は
ローリング・ストーン誌が選ぶ「史上もっとも過小評価されているギタリスト」にて、第3位に選ばれたニール・ヤング。 これはミュージシャンにとって栄誉なことなのか、不名誉なことなのか…。よくわからないけれど、このランキングはプリンスを一位に選ん
今回のテーマは、「生まれてはじめて感動した楽曲」。ということは、必然的に『MOTHER』の収録曲ということになってしまいます。 ゲームのなかでもっとも重要な楽曲であり、作品のテーマの根幹に深く関わっている“Eight Melodies”。この曲の重要さ
当アルバム・レビューのコーナーは、原則的にリアルタイムで聴いているディスクのみ挙げることにしてますが、今回は特別に思い入れの深い作品なので例外にします。 テーマは、「生まれてはじめて感動した音楽」! 遡ること20年前…。僕はとある音楽作品に
1000年間の拷問と飢えの歴史を経て/我が民はこの土地を追われた 美と神秘に満ちた国は/イギリスの略奪者どもに強奪された 虐げられたアイルランド人の無念を代弁するかの如く、直接的な怒りがぶちまけられている。前回のU2「血の日曜日」に続き、アイ
僕がはじめてU2の音楽に興味を持った記念すべき楽曲、 “ブラディ・サンデー”。 当時、このトライバルなリズム・パターンが単純におもしろいな、と思った記憶がある。ただ、このころのボノの歌唱は高音のシャウトに頼り過ぎている印象で、今と比べると全
「信じられないほど素晴らしい。」 かのジョージ・マーティンが、ジョージ・ハリスン初のソロ作品『オール・シングス・マスト・パス』に寄せたコメントだが、「あのジョージにしては信じられない」という意図も少なからずあったのだろう。 事実、二人の