■造語能力
・6世紀に漢字を使い始めてからたった200年で、日本人は
奈良に世界一の巨大な木造建築と金銅仏をつくった。
また明治になって、漢字の造語能力をフルに活用して、日本人は
西欧文明のエッセンスを理解した。
現在では、中国で使われている「高級語彙」の半分以上が、
実は日本で作られた「新漢語」である。「人民」「共和国」
「権利」「義務」「憲法」「金融」「投資」「抽象」すべて
日本製の漢語である。
・「網膜剥離」「盲腸炎」「認知症」「性同一性障害」など、
一般の人にとって、漢字の便利さを痛感するのは「病気の名前」で
ある。もしこれが英語圏の言葉であったら、こうは簡単にどんな
病気か理解できない。
■日本語としての漢字
・和語には色彩をあらわす言葉は、明暗・濃淡を表す語しかなく、
赤は「明(あか)し」、青は「淡(あわ)し」、白は「著(しる)し」、
黒は「暗(くら)し」からの転用で表現した。
・古来、中国人は色彩に敏感な民族だと言われている。
同じ、「ミドリ色」でも
緑 ・・・ 植物系の暖かいミドリ
碧 ・・・ 宝石のような無機質で冷たいミドリ
翠 ・・・ カワセミの羽のように光り輝く高貴なミドリ
と、使い分けた。
これに反して、和語に色の「ミドリ」を表すことばはなく、
水(ミズ)の派生語で、「みずみずしい感触」を表す「ミドリ」と
いうことばを転用した。「みどり子(嬰児)」や「みどりの
黒髪」などに、その本来の用法を残している。
また、和語の「淡い」という意味の「アオ」という音を、
漢語の「若い」という意味の漢字「青」にあてて、そして
この「青」の漢字をブルーの色彩の意味に使った。
そのため、「ミドリ」と「アオ」は色彩と文字が混乱する結果となった。
たとえば、グリーンの野菜は「青物」であり、ミドリの信号機の
色は「青」である。
しかし、日本人は漢字を使い始めてから、この外国の文字を
あたかも日本の文字のようにして使ってきた。
「文」という字は、訓で「あや」「ふみ」、音で「ブン」「モン」
などのように読み、使ってきた。一文字にいくつもの読みがある
という「棲み分け」を行ってきた。
呉音は「モン」で、文書(モンジョ)、天文(テンモン)など のように
読み、仏教関係の用語では「呉音」で読むものが多い。
一方、いわゆる「漢音」というのは、時代が下って
遣唐使として中国にわたった留学生が持ち帰ったもので、
唐の都・長安(現在の西安)での中国語の発音を真似たものである。
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