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2009年09月29日00:11

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アドリブ一発芸

マイケル・ジャクソンと、プリンス。
共に80年代を代表するトップ・スターだが、両者の才能のベクトルは驚くほど真逆を向いている。
かたやショー・ビジネスを知り尽くした生粋のエンターテイナー。
かたや聴衆の嫌がることをし続ける変態カルト・スター。
彼らに共通点があるとすれば、実は心に闇を抱えていること、そして影響を公言してはばからないジェームス・ブラウンの存在だろうか。そう、JBがいなければ両者のその後の躍進もありえなかった。

1983年に行われたJBのツアーに、マイケルとプリンスが観客の中に密かに混ざっていたことがあった。それがJBの耳に入るやいなや、二人は飛び入りでステージに上がることになる。
そう、これは「ファンクの帝王」と「キング・オブ・ポップ」と「殿下」が夢の共演を果たす瞬間を収めた、一度きりの貴重なフィルムである。(音声が乱れているがご了承ください)

まずはマイケルが呼ばれる。
彼の驚異的なステージ・パフォーマンスの数々は、もともとJBのステップを見てそれを発展させたものだった。恩師を前にしてのアドリブは、さぞかし緊張したに違いない。
しかし生粋のエンターテイナーにそんな心配は杞憂。即興で歌を創作し、おまけにムーンウォークまで披露してみせる。さすがにこの男は一瞬にして観客を湧かせる術を心得ているようだ。爆笑するJBの姿が見物。

会場のボルテージは冷めやらぬまま、次はプリンスにバトンが渡される。
もともと殿下は宅録の人なんで、アドリブにはめっぽう弱い「内気なジョニー」なんだが(少なくともこの時点では)、JBがそういう気遣いのできる人だったら苦労はない。
ハッキリ言って、これは罰ゲームである。だって、よりによって世界最高のエンターテイナーのあとに、抜き打ちの一発芸をやらされるのだ。ミュージシャンにとって、いや芸人にとっても、これほどプレッシャーの掛かる「フリ」があるだろうか。もはや会場の雰囲気からして、「ごめん、パス」は通用しない。
遂にプリンスはセキュリティにおんぶした格好でステージに連れ出される。

そこからの顛末は…もう見てもらうしかない。
終始鼻をすすっている姿が映し出されるが、おそらくコカインを吸引した直後だったんだろう。フラフラと挙動不審で(いつものことだが)、最後は照明セットを倒してのご退場…。
彼の意味不明なパフォーマンスを見兼ねたJB’Sのドラムスが、シンバルで相の手を合わせて空気を読んでいる。唯一、心温まる演出であった。

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